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初の実戦

 6歳の誕生日から半年と少し経った。


 あの日からユウキは畑仕事に加えて鍛錬を積んだ。


 剣の素振り。

 剣を頭の後ろに兎跳び。

 庭の木に布団を巻いた、突きや蹴りの反復。


 時々お父さんと木剣を使った打ち合い。

 半分は自分で決めた鍛錬だった。



 ある日打ち合いをしつつボストンが言った。

「そろそろユウキも森に入るか。」


 それを聞いて驚いたように返す。

「えっ? 森は危険だから近づいてはいけないって・・」



 木剣を収納して森の方に親指を立て、ボストンは言った。


「この半年十分に基礎鍛錬を行ったし、あの時村長の許可も取っている。まずは様子見からだな。」



 そう言いながら、2人は森を目指した。





 森の入り口に到着し、ボストンは注意を促した。


「この先は本当に危険だ。遊び半分で集中出来ないようなら直ぐに撤退する。

 ここに出る魔物は兎のラピッドや猪のボアだ。夜には狼のワイルドウルフが活発になる。

 ここまでで質問は?」



「ゴブリンは?」


「知性はあるが話が通じず好戦的な種族、これを獣人に分類している。

 小鬼のゴブリン、豚のオーク、蜥蜴のリザードマン、鳥のホルアクティ、代表的なのはこの4種族だ。

 何処にでも居るのはゴブリンだけだ。」



 ユウキは理解して「ハイ!」と返事をした。


 そこで注意された。

「警戒エリアで大声は厳禁だ。これからはパーティを組んだ状態を意識してユウキに教える。

 森に入ったら固有血技『点穴』を十分に使え。ユウキならば気配察知に使えるだろう。」


「うん、半径100mに3匹の魔力反応があるよ。」



 それを聞いてボストンはまた驚いてしまった。


「ユウキはそこまで・・常識を教える。

 魔力反応は、通常目視した対象しか見えない。

 つまりそれは魔力察知に優れた『点穴』の副産物なんだ。

 だが、ブレイクでもそれほどの気配察知は初代だけだ。」


 そう補足して、ボストンは言った。

「最も小さい反応に行こう。警戒して進むぞ。」


 ユウキは頷いて移動を開始した。



 そして近づくとラピッドが視認できた。

(ユウキ、抜剣してあのラピッドに近づき奇襲をかけるんだ。)


(うん、やってみるね。)



 ゆっくりとラピッドに近づき思いっきり踏み込み、左下から右上に切り上げた。



 ラピッドは察知してスレスレで回避する。

(思うように動けない! 違う!剣が()()()!)


 そして回避したラピッドは剣を()()()()()()



 それを見ていたボストンは静観する。

(ユウキは剣の才能が致命的なほど無い。)


 そして父ではなく、一剣士の鋭い瞳でユウキを見つめた。

(さぁ、ここからどうする!俺はお前の進む道が知りたい!!)



 ユウキは地面に足を突っ込み、土塊をラピッドに蹴り飛ばした。


 続けてラピッドに向かって全力で跳躍し、勢いのまま肘を打ち付けて吹き飛ばした。



 ユウキは半身を出して構えを解かずに警戒する。だがラピッドの絶命していた。


 今の技をユウキは《ファストブロー》と名付けていた。



 ボストンが喜んで言った。

「よくやった、合格だ!剣を使う必要はない。

 やりたい闘い方をするが良い。」


 それを聞いてユウキが苦笑いする。

「ごめんなさい、お父さん。どうしても僕の力と武器の相性が合わなくて・・・。」




 次に狩ったのは猪のボア。

 体長2mほどのある巨体で、突進力が非常に強い。


 ユウキは()()で構えると、突進してくるボアに向かって行った。


 そして鼻を踏み台にする。右足で鼻を蹴り上げ、返しで脳天に踵落としを見舞った。



 ボアの巨体は頭から地面に深々と突き刺さっており、脚はピクピクしていた。


《ダブルドローニング》である。





 その後も順調に狩りを終え無事に森をでた。

 気になってユウキが聞いた。


「この魔物の肉どうするの?」


「皮は加工して使えるし、肉は食材だ。

 森で狩った魔物は村の備蓄に回すのさ。」


 続けてボストンは言った。

「ユウキ、この森の巡回を中心に今後は行う。

 慢心せずに頼むぞ。」



「うん!鍛錬も続けていくよ!」





 こうしてユウキは初の実戦を、怪我なくこなせて満足していた。


 数日後、ひとりの少女がルンルンで家に来るとは眉知らず。



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