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鉄壁の守備隊

 ボブの眼前にリザードマンが迫ってきていた。



「蜥蜴どもに目にもの見せてくれよう!」


 《ソリッドフィールド!》


 ゴブリン2万もの軍勢全てに三角錐の防御壁が展開される。



 リザードマンは勢いを潰さず一気にゴブリンに体当たりを仕掛けてきた。


 行軍の勢いで体当たりを行えば、それだけで破壊の渦となる。



 ・・はずだった。



 ドガガガガガ!



 先陣ボブ隊の鉄壁を押し崩せず、将棋倒しのようにリザードマンの進軍が阻まれた。


 それを見た左右のリザードマンが進軍を止めて浮き足立つ。


 しかし直ぐに部隊長が鼓舞して立て直しにかかる。ここは流石に場数を踏んでいる点が生かされた。


「怯むな!硬いだけなら槍で貫け!横っ腹から食い破れ!!」



 リザードマンは四角く陣を張ったゴブリンを、数の優位で包囲するように展開し攻め立てる。



 しかしボブの固有血技、ソリッドフィールドは簡単に貫けるものではない。


 ガキン!バキッ!



 防御壁に阻まれるリザードマン。如何ほども動かず護りを固めるゴブリン。



「ええい!オレが本体をやるぞ!!」


 一体のホブリザードが痺れを切らして、発動者のボブに襲いかかる。



「誰が発動中は動けないと言った?」



 ボブはそう言うとリザードマンが刺そうとした槍を掴み取り、本体ごとボブリザードに投げつけた。



 ザシュ!


「邪魔だどけ!」



 味方であれど障害ならその命を絶つ。


 それを見てボブは不快感をあらわにし、静かに魔力をたぎらせた。


「実に不愉快だ。味方は仲間、仲間は家族だ!」



 するとボブから魔力の奔流が迸った。


 そして盾を地に叩きつけると地割れが発生し、鋭利な土塊がボブリザードに襲いかかる。


 《アーススパイク!》


 ユウキが8歳のときにグライス戦で使った技だ。



「うおおおおお!こんなもの引き裂いてやるわ!」



 ボブリザードは槍に魔力を込めると、横薙ぎに一閃してリザードマン諸共切断する技を放った。


「愚将よ、だから蜥蜴は進歩しないのだ。」


 ボブは巻き込まれるリザードマンとアーススパイクに対して、《ゾーンバリア》を展開させる。



 バリア対象は表面が淡く光り、物理攻撃を一度位は守ってくれる。



 バリバリバリ!グサグサッ!!



「ガハッ・・何故切れん・・」


「貴様の命の灯火なら切れたぞ。仲間は無事なので安心しろ。」


 ボブリザードはアーススパイクの串刺しになり絶命した。



「なぜ?」


 そう聞いたのはリザードマンの兵士だった。



「あれではただの無駄死にだ。敵といえど捨て置けなかった、ただそれだけよ。

 しかし今は戦場で次は無い。しかとその身を守り切って見せよ。」


 そう言いながら再度防御に徹した。これがボブの戦い方であった。


 これで戦場にいるボブリザードは残り四体となった。





 リザードマンを十分森へ引きつけた所で、ゴブリンの別働隊が動いた。


 ゾゾの弓隊1万5千である。



「今だ!リザードマンに風穴を開けるよ!」


 ゾゾの弓隊が森から一斉射する。


 矢は弧を描き雨のようにリザードマンに襲いかかる。



 槍を主体とした攻撃部隊は腕や鎧を盾にするが、ゾゾはユウキに言われた事を実行していた。



(弓と魔法を鍛え上げろ。)



 鏃に風を纏わせて貫通力を増加させていたのだ。


 矢という矢が粗末な鉄鋼で作ったリザードマンの鎧を紙のように貫いて行く。



 そして最後まで弓を引いていたゾゾが、最後に弦を解放する。


 ズオォォォ!


 戦場に一本の矢が射られた。それは風を纏い嵐となって直線上にあるもの全てを貫通して行った。



「くそ!まだあんな戦力があったか!だがこれで終いよ、全軍!防御隊を貫き森へ疾走せー」



 スパーン!


 指示したボブリザードの頭を何かが貫いた。


 ゾゾの放った矢である。


 倒れる前に風圧で錐揉みしながら吹き飛ばされ、もはや他のリザードマンと合わさり何処に居るか分からない。


「どうよユウキ様。今夜もパーティできちゃうかな!」



 ゾゾは部下に白い目で見られていたが、気が付いていなかった。


 ボブリザード、残り三体。



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