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闇ギルドの真実

 倒れたユウキを見てアリサが駆け寄る。


「ユウキ!!」


 ガルドは懐から青色の液体が入った小瓶を取り出した。以前アリサが学長から貰った魔力回復薬だ。



 ガルドはユウキに飲ませると、ユウキの体から光が漏れ出した。


 普通の人が見ても分かるほど強力な魔力が回復していた。




「これは・・!この薬はほんの少し回復するだけなのに彼は・・」


 ムクっと起き上がると周りをキョロキョロし出した。


「ごめん、アリサ。抑えきれなかった。」




 するとアリサがユウキに抱きついた。


「ばか、心配したんだから・・」


「ごめん。」




 ガルドは落ち着いたところで、鎖に繋がれた人達を一瞥した。


「無理やり連れて来られた者は解放しよう。」


 皆が唖然とする中、当主が1人の娘に駆け寄っていった。



「チヨ、無事だっだかい。もう大丈夫だ。」



 そう言われて、チヨと呼ばれた少女は当主に抱きついた。


「あの子は・・」


 そこでユウキが気が付いた。チヨはこの街に来て最初にぶつかった少女だった。



 ユウキが近づくとチヨは警戒感を露わにした。


「リンゴを落とした時はごめんね。」



 それだけ言うと、チヨも何の事か気が付いたようだ。


「あ、あの、ありがとうごさいました。」



 すると周りの人身売買にかけられる予定だった者達が皆、ユウキに礼を述べてきた。



「ユウキ、君の暴走は予定外だったけど、結果的に皆を守れたんだよ。」


 レナードに言われてユウキは俯いた。しかし直ぐに切り替えた。



「ありがとうレナード。俺はまだまだだな。」



 そこでガルドが商業ギルドに皆を案内し、後はギルド職員に任せる事にした。





 ユウキ、レナード、アリサ、ルインはギルド長の部屋に通されていた。


「この度はすまなかった。」


 ガルドはそう言うと、頭を下げてきた。




「やめて下さい。貴方は悪い人じゃない気がします。ただルインの事は教えてもらえますか?」


 ガルドは頭を上げて頷くと、闇ギルドについて話し始めた。


「私は三代目プレジャーと呼ばれていた。闇ギルド本来のギルド長だ。先程も述べたが、ボーロを泳がせる為に王都と協力して潜伏していた。」



「ルインは6歳の頃に両親が賊に襲われた。

 王都の裏方を仕切る我々は賊の情報を得て現場に向かったが・・助けられたのは彼女だけだった。」



 それを聞いてルインが涙を流した。


「やっぱりギルドが襲ったんじゃ無かったんですね。」



 ガルドは静かに頷くと、先を続けた。


「本来の闇ギルドは、正規の警備軍が手続きや法で動き難い箇所に対して、迅速に対応する為に作られた組織だ。

 貴族の汚職も制裁対象だが、それを拡大解釈して私営と化してボーロは金と権力に目が眩んだ。」




 ガルドは少し悲しい顔をしてルイン告げた。


「ボーロはルインが死んだと私に報告してきた。独自に情報ルートを持つ私はこれが虚偽の報告だと看破していた。

 しかし、あそこまで非道な事をしていると知ったのは最近だった。歳もいい頃合いだったので、私の推薦で学園に入れてボーロから離したのだ。」




 ユウキを見たガルドが最初のコンタクトの話をした。


「そこでユウキ君、君のことを知りバルトフェルドに相談した結果、あぁ言う形で君と直接会うことにした。

 そして信用に値すると感じてバッジを渡したのだ。」



「あの時と今回とやり方が似ていただろう。冒険者ギルドを通したのは、そちらの方が自然だったからだ。」



 ユウキはルインの事が気になった。


「闇ギルドはこれから正常に戻るんですよね。今後何かあったら力になって貰えませんか?

 それとルインの今後はどうするつもりですか?」



 ガルドは力強く頷いた。


「もちろん力になる。ルインはギルドから離れて普通の生活を送ってもらうつもりだ。」



 そこでルインが食いついた。


「ボクは自分みたいな子を増やしたくないから、ギルドに協力したい。もう殺しは嫌だけどね。」




 皆優しい目をルインに向けていた。


「ルインがそうしたいなら自由だ。だがまずは闇ギルドを正常に戻さないといけない。これからも頼む。」



 そこでユウキが立ち上がると、皆それに習った。


 そしてユウキが右手を差し出すと言った。


「サウスホープの件も引き続きお願いします。そしてこの街に安寧を。」



 ユウキが差し出した手をガルドは受け取った。


「あの時とは手を出す順番が変わったね。この街に安寧を。」





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