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ルインの過去

「いつからボクだと気がついたの?」


 ユウキはため息を吐きながら答えた。


「あんな強烈な殺気を出してちゃ、実力検定試験を見てた人なら気がつくよ。それと点穴は固有波長を見抜ける。」



 そしてユウキは手を離してもう一度聞いた。


「何故こんなことをしたんだい?」




「はっ、ボクには何も無いんだよ。これを見れば分かるさ。」


 そう言いながらルインは腕の布を引き千切ると、黒い魔法陣に鎖が描かれていた。


 それを見てアリサとレナードが息を飲んだ。




 それは奴隷であることを示し、人権が売買された証拠であった。


「ボクは両親が殺されて拾ったのが闇ギルドだった。そして教育されたんだ。」



「暗殺の教育か?」



 ルインは首を横に払った。


「そんな生温いものじゃない。拾われたのは6歳の時、いきなり数名の部屋に入れられてバトルロイヤルをやらされた。」



 アリサとレナードは酷い!と顔をしかめた。


「そしてボクは生き残った。けど、死んだ方がマシな殺戮の戦士としての教育が待っていた。」



 ルインは過去を思い出すように語る。


「戦士として成長したボクは、闇ギルドの暗殺を担うようになった。けれど善人の殺害は拒否してきた。

 お前のような、奴隷に非人道的な事をするか、肥えた豚に限定してね。」




 そこで当主が声を上げた。


「ワシは大切な娘のように育ててきた子を賊に攫われた!競売に出た情報を得てギルドに抗議しただけだ!!」



 ユウキは考えていた。もしかしてルインはギルドに嵌められていないか?と。



「ルインに戦闘中に聞いたが、その情報は正しいのか?」



「これはボクに優しくしてくれた人から得ている情報だよ。ボクのことを誰よりも分かっている。」



 ユウキは額に手を当てた。


 洗脳が先か、盲目が先か。彼女に優しさを見せて嫌がることを気が付かない内にやらせている。



「ルイン、そいつは君の嫌がる事を嘘の情報で正当化させてやらせている。」



 ルインは口をパクパクさせ、目はキョロキョロさせた。


「そんな・・ボクは・・そんな事はない。」




 ユウキはルインの同様の激しさに危険を感じた。


 故にルインを優しく包み込んだ。




「君は当主の言葉に動揺していた。薄々気が付いていたんだよね。だけど、もう大丈夫。」



 ルインは未だ整理がつかず「あっウソだ・・」と呟いていた。


 そしてユウキはルインに力強く、確かに言い切った。



「俺がそんな鎖を断ち切ってやる。」




 ユウキは鎖の魔法陣を凝視した。


 点穴で魔力痕跡のブラックスポットを探し回っているのだ。


 そしてその綻びを見つけると、真紅の瞳で強く鋭い視線を投げつけた。


 ピシッ!



 すると魔法陣が自壊を初めて、鎖の魔法陣は掠れていく。



「あっ・・ぁ・・こんな事って・・」



 ルインはボロボロと涙をこぼして顔を左手で覆った。



「ーありが・・とう。」



 ルインの肩を優しく抱きしめると告げた。


「ルインは俺の友達だ、まだ終わらないよ。闇ギルドの場所と名前は?」



 ルインは目を見開いた。まさか闇ギルドに喧嘩を売ろうとしているのでは?と疑問に思った。


 ユウキは友達だと言ってくれた。守らなくては。






「ユウキ、ありがとう。でもこれいじー」


「闇ギルドの場所と名前は?」



 ゾクッ。



 その場にいる全員が悪寒を覚えた。


 ユウキからは凄まじい真紅の魔力が静かに漂っていた。


 息を飲んでルインは静かに伝えた。


「闇ギルドの名前はプレジャー、ボクを育ててくれたのはボーロで拠点は商業ギルドの東にある教会地下。だよ」



「分かった。すぐ終わる。」



 するとユウキは風を纏い、窓から一気に飛び出すと古教会へと疾走した。



『2人とも当主とルインを頼む。』


 首飾りからそう伝えてきたが、2人は頷きあうと当主とルインを連れて教会へと向かった。



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