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1つの終わりと始まり

 待機室に戻ると、アリサとレナードが迎えてくれた。


 ユウキは2人に優しく微笑んだ。



「ありがとう。」



「らしくないね、最高だったよ。」


「強いて言うなら、ボムは要らなかったわよね?」



 2人もニヤリと笑う。



「アリサ、あれはどう言うことだ?」



 アリサの挙動がおかしい。


「あれはその・・エルザとは相部屋で色んな話をしたの。」


「俺の過去をか?」



 指でもじもじしながら「うん」とだけ答えた。


 何となく気が付いていた。アリサの気持ちを。



「バトルロイヤルで待ってる。」



 アリサは真剣な眼差しでユウキを見た。


「分かったわ。」



 レナードはそんなやり取りを優しく見守っていた。


「それじゃ僕は邪魔が入らないようにしようかな!」



 そんなことを言っていたら、特に消耗がないのでそのままバトルロイヤルが始まると告げられた。



 6人が闘技場な入ると、歓声があがる。



「お待ちかね!Sクラスによるバトルロイヤルゥゥ!これは恐らく上級生同士のバトルより見応えがあるはず!!」



 6人は円になり離れた所についた。



 臨戦態勢になり、今までと違って空気がピリピリするのを肌で感じていた。



 カンッ!



 ゴングと同時に動いた者は居ない。


 強者同士の戦いは準備と駆け引きから始まる。



 防護壁や魔法障壁を展開する中、約2名おかしい。



 アリサは魔力を全開で《真・ストロング》を発動させると炎流がアリサの周囲に回り出した。


 ユウキも最初から魔力を解放させると、真紅の瞳に変化する。


 炎が唸りを上げていた。




 最初に動いたのはアリサだった。


 《ファイアボール》を20個出現させると、《ヒートエンドボム》をユウキに座標設定して放ってきた。



 ズガァァァァン!!



 真紅のヴェールで無力化させるが、凄まじい熱量と風圧に錐揉みしながら吹き飛ばされる。


 ユウキが勢いを利用して《ファストブロー》を仕掛けた。



 が、ユウキは地面の妙な魔力を見て急停止する。



 すると、アリサを中心に半径10mの炎の魔法陣から巨大な火柱が出現した。


 《バーニングサークル》


「流石ねユウキ!普通なら今ので黒焦げよ。」


「はっ、言ってろ!」



 ユウキは地面を殴りつけ、幾重にも亀裂が生じさせてサークルのブラックスポットを破壊していく。



 ユウキは看板したと今度こそ接近を試みた瞬間、異変に気が付いた。



 20個のファイアボールに囲まれていた。


 炎の隙間からアリサのニヤリとした顔が見えた。




 ユウキは両手を左右に打ち出し、真紅のヴェールを全周囲に展開させる。


 ズガガガガン!!



 モウモウと煙が上がる中、真紅の輝きが増して風圧で全ての煙を消しとばした。




 ユウキは俯いた顔を上げると、真紅の瞳を見た者は恐怖を覚え、中には失神してしまう者もいた。



 アリサが先手を打たれる前に流炎を纏ったまま、ユウキに接近した。


 パアァァァァン!!




 ストロングの膂力でユウキを殴りつけた勢いで地面にが抉れる。


 しかし掌で受け止められた。



 アリサは左手を突き出し爆発させようとしたが、ユウキにヴェールで包まれて押し込められた。



 掴んだ右手を振り上げて、アリサを上方へ投げ飛ばした。



 シュッ!


 ユウキは跳躍して先回りすると、流炎ごとアリサを受け止めた。



「アリサ、チェックメイト。」


 ブワッと一気に魔力を放出すると、真紅の魔力が一輪の華のように咲き誇った。



「ーーあの時の技ね、負けたわ。」


 物凄く悔しそうに瞳から涙をこぼす。



「アリサは成長したね。

 ガラスとウォーターボールで遊んでいた時とは比べ物にならない程に。」


「ユウキこそ・・バケツで水をかけていた頃よりずっと立派だわ。」



 2人は空中で懐かしい話をしていた。


 それは完全に2人の世界であった。




 下ではレナードが光の翼でザックとシンシアを圧倒しているが、ルインの素早さに苦戦している。





「アリサ、好きだ。」


 アリサは目を見開いて、ポロポロと涙を零した。



「私もよ、ユウキ。」



 2人は唇を合わせると、真紅のヴェールと流炎が1つに絡み合った。


 それは神秘的で見ていた誰もが魅了された。




 ただ1人を除いて。



「アリサぁぁぁ!何てこーー」


 ガタガタ!!ピッー!



 会場はみなアナウス席とユウキ達どちらを見ていいか困っていた。




「それじゃ、終わらせないとね。」


「ええ、そうね。」



 2人は空中で手を繋ぎ、お互い手を伸ばすと真紅のヴェールに変化が起こった。



 炎を纏ったヴェールが闘技場全体を包み込んだ。


 次の瞬間、全てを破壊する大爆発が発生する。



 ズガァァァァン!!




 4人の周辺を残して闘技場に大穴が空いていた。



 ユウキの助言でアリサが細かく調整して、2人の魔力を同調させ一気に炸裂させたのだ。



「ーーこれは?ユウキとアリサちゃんの勝利?だぁぁぁぁ!!」



 勝敗を会長が決めた。



 そして闘技場全体が大歓声に包まれた。


 アリサと手を繋いだままレナードの横に着地すると、レナードは嬉しそうに一言申した。


「僕も嬉しいよ。」


「「ありがとう!」」



 ユウキは両手を地に付けると、意識を魔力に集中した。


「ハアァァァァ!!」



 ゴゴゴゴゴ!!


 凄まじい地響きと共に巨大な穴が大地に埋め尽くされる。


 土属性魔法で闘技場を元に戻したのだ。




 こうして波乱の実力検定試験は、アリサとユウキが結ばれてダブル優勝するという前代未聞の結果に終わった。




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