事の顛末
3人はバルトフェルドに連れられて学長室にきていた。
「すると君達は最下層で扉を発見し中に入ったら、サージェントースケルトンと戦闘になったと。」
3人は頷き答える。
「この刀はその時の戦利品として出現しました。その後黒龍と戦闘になり勝利して帰還しました。」
学園長は自分でも整理するように告げた。
「ー本来あのダンジョンは最下層に転移魔法陣があるだけで何もなかった。幾度の調査でも明確だったはずだ。」
バルトフェルドはスルーされている部分に食いついた。
「黒龍はどうした?勝利と言ったが、あんな個体は人が倒し得る物じゃなかろう。」
3人は顔を見合わせた。
「そのままの意味で、倒しましたが・・」
ちょっと現実離れし過ぎていてついて行けていない。
「何だって?試験の時は本気じゃなかったのか?」
ユウキの瞳の力はまだ知られていない。と言うより、測定器で発現して以降はそれほどの窮地に立たされる事がなかった。
バルトフェルドは何か嫌な予感がして、話を切るように紙の束を学園長に渡した。
「これは3人の研究室にあったもので、完成している。俺たちが見て添削しておいた。」
内容を見て学園長は晴れやかな表情になった。
「そういえば論文の期限が迫っていたね。素晴らしい内容だ。私が査読した後協会に提出しよう。」
そして学園長は立ち上がると告げた。
「ユウキ・ブレイク、アリサ、レナード・ドールの3名はこの時を持って卒業過程の修了を言い渡す。残って更なる精進も自由だ。」
流石に面食らった。まさかこの論文で卒業資格を得るとは思っていなかった。
「それなら俺たちは残ることにします。もっと学びたい事や研究したい事かありますので。」
それを聞いて学園長は大いに喜んだ。
「その刀は自由にすると良い。これからも王都や人類のために精進してください。」
3人はこれから実力検定試験に向けて勉強していく。
それとは別に各々の鍛錬をこなしていく事になる。
ユウキは黒龍戦で真紅の瞳の真髄が分かり、自由に魔力を引き出す事ができる。
まだ未熟なので魔力操作に余念なく鍛錬を重ねていく。
レナードとアリサも譲り受けた膨大な魔力を制御しなければならない。課題山積みだ。
3人が学長室を出ると、バルトフェルドとノイントが残された。ノイントが問いかける。
「ーどう思う?」
「あのダンジョンは戦争後に出現したと言われている。戦時関係者が関わっていると思うが・・」
ノイントはそこで考えることを辞めた。
「君が話題を変えた理由が分かった。藪蛇は突かない方がいい。」
それを聞いてバルトフェルドは嬉しくなり、無骨な笑顔を向ける。
「あぁ、対抗試合は期待していてくれ。」
ノイントも笑顔で答えると、バルトフェルドは鍛錬場に向かっていった。
論文の束を読みながらノイントが呟く。
「彼らを中心に世界が変わるだろうな。私はその立会人になりたいと願うよ。」




