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英雄の書庫

 黒龍の消えた場所に20枚ほどの鱗と小瓶が置かれていた。ユウキは黒龍に感謝すると共に、ポーチに入れて立ち上がり周りを見渡した。


 奥には新たな魔法陣が展開されており、封印されていたものであることは容易に想像がついた。



 そして3人が顔を見合わせると改めて互いの魔力を視認して驚愕した。なぜなら黒龍戦前までより明らかに魔力が上昇していたのだ。


「また凄いものを託されたな。」



 3人は優しく微笑むと、魔法陣に向けて歩き出した。


 魔法陣は転移魔法陣で触れることにより起動する仕組みになっている。黒龍の守護していた物を聞いているので3人は迷うことなく魔法陣に触れた。


 やがて光に包まれると景色は真っ白に染まっていき、その眩しさに自然と目蓋を閉じた。



 目を開けるとそこは書庫になっていた。


 部屋は8畳ほどと広くなく、所狭しと本が並べられいて横には先ほど転移してきた魔法陣とは異なる転移魔法陣が2つあった。

 だが1つは光を失い魔力の残滓も確認できず起動していないのが一目で分かった。


『後継者が真に望む時、扉は開かれん』



「今はその時じゃ無いみたいだね。」


 レナードは誰に言うともなく呟いた。


 アリサは本を読み漁っているが、全然読めない!と騒いでいる。

 それを聞いていたユウキは本を一冊手に取ると、目を疑う事が書かれていた。



『固有血技ノ書』


(・・・これ、日本語じゃ!だけど少し古いな。)



 中身をパラパラとめくると、様々な固有血技について詳細に書かれていた。



『光ノ翼』


 魔力を高濃度に体内で循環させる。

 飛躍的な肉体向上と刃の鋭さを増す事が可能。ナルシッサの協力により、魔力の操作で出力を変える事が可能と判明。

 まーー光ー粒ーのーー1つーー



『点穴』


 ナルシッサ・ブレイクが聖都サンクチュアリの南、モリス森林で聖都から奇襲を受けた際に発現。

 魔力を詳細に見る事ができ、その流れを読む事ができる。

 究極的は魔力の流れを予知する事が出来た。

 ー龍によーとーー




 うーん、知りたい事は掠れて読めない。

 更にページを進めると、気になるものがあった。




『人心掌握』


 ダルメシア王族に発現した能力。

 対象を錯乱させて自分の言うことを聞かせる。

 弱点は無い。強いて言うなら、複数同時には使えない点と《点穴》には気付かれる。


 ナルシーーが気付ーーため、彼女は国外追放を受け、帝ーーにーーーと余ーをーー






(人心掌握?ダルメシア戦争では何が??)


 考え込んでいると突然呼び掛けられて我に帰った。


「ダメだわ!・・・ユウキ何を考えてるの?まさかこの奇妙な線の羅列が読めるの!?」



 少し考えてから、必要な情報もあるので隠さないことにした。


「あぁ、読める。だけど掠れて読めない部分もある。」


 そしてレナードも近寄ってくると、先ほど読んだ固有血技について話して聞かせた。


「大凡知っている情報ね。だけど人心掌握・・王の前では要注意ね。」



 この書庫の本は全て動かさないことにした。劣化が激しく損傷する危険もあり、内容が世に漏れては困る物もある。


「取り敢えずその魔法陣に乗ろう。恐らくは帰還用でしょ。」


 2人は頷いて魔法陣に乗った。






 ー地下ダンジョン1層ー


 3人は小部屋に出た。最初にユウキが地図を描いた場所だ。


 どうやら鱗が鍵になっているようで、ここから自由に出入りができる。



 ひとまずダンジョンを出て外の空気を吸い込んだ。するとバルトフェルド先生とアトリア先生が近寄ってきた。


「お前ら!無事だったか!!」



 3人は頭に???が沢山浮かんでいた。


 確かに強敵と戦ったが、ボス部屋まで4時間で到達して戦闘をしたはずだ。



「ん?お前達なんだその魔力は・・!」



「色々ありまして、俺たちは突入してから4時間で10層のボス部屋に辿り着きました。

 俺らが入ってからどのくらいの時間が?」




 バルドフェルドとアトリアは、顔を見合わせると答えた。



「ボス部屋?まぁ後で聞こう。1週間だ。」




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