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固有血技《光の翼》

 落ちてきた物に3人は数秒硬直してしまった。


 それは3mはある翼を広げた漆黒の龍だった。



「こ、黒龍!?こんなの人がまともに勝てるものじゃないわ!」


「おちつけアリサ、質問に答えよう。」


 ユウキはなるべく刺激しないように黒龍に話しかけた。




「すみません、光を持つ者が分かー」



 グガァァァァァアアア!!



 そこで、黒龍の咆哮が響き渡った。3人は竦み上がり両手で耳を塞いだ。


「貴様のような雑魚に興味はない!」



 魔力のないユウキを雑魚と一蹴した。用事があったのはレナードであったようだ。


「僕は確かに光を持ちますが、貴方が望む力は無いと思います。」



(光を持つ?何のことだ?そう言えばさっき・・)



 黒龍はそれを聞いて満足し、両翼を一気に広げた。


「十分だ。汝を試してやろう!」




 それを聞いて3人は臨戦態勢に入った。


「来るぞ!」



 レナードは刀を手に取ると精神統一を始めた。


 するとレナードの周りには光の粒子が瞬いていた。それは幻想的で、遥かな力の強さを感じた。



 その効果を自身から刀にまで伝播させる。


「固有血技《光の翼》」



 光の粒子は背中の方に密度が上がり、翼のように形成される。


「ごめんね、黙ってたんじゃなくて上手く使えないんだ。短時間だけ身体能力と武器に纏って切れ味を飛躍的に向上させてくれる。」



 レナードは黒龍に向き直ると、一気に距離を詰めた。


 光の残滓が残像となって実態を隠す。


 黒龍は鋭い爪で迎え撃つが、残像に撹乱させて当たらず、レナードの攻撃は鱗に傷を残した。



 ユウキは隙を見て突っ込み、横腹から《烈風掌破》で目一杯殴りつけた。



 ガキィィィン!!



 物凄い金属音と共に弾かれ、風圧は霧散された。


「何だこの硬さ・・!」



 アリサも前衛に影響がない程度に《クラスターボム》を単発で炸裂させる。


 しかし、黒龍に魔法障壁が展開され気にもされなかった。


「何なのあの障壁・・」



 龍は魔法に対して高い耐性があり、鱗はこの世界でも最高位に分類される強度を誇る。


 この間にレナードは鱗に傷を負わせるが、決定打に欠けていた。




 そこでレナードは一度立ち止まると、光の翼を大きく展開させた。


 高密度の魔力が翼に集まり、刀から激しい光が瞬いた。


 黒龍は流石に危険を感じて口先に魔力を集中させる。


 双方それが放たれたのは同時だった。



 黒龍からは圧縮した魔力を解放して直線上に放った。


 《レディアントブレス》




 レナードは横薙ぎに空間を引き裂く光を一閃した。


 《清浄なる一閃》



 斬撃はブレスを切断し、上下に分断されたブレスは3人を避けて後方の壁面を抉り取り崩落している。


 ユウキとアリサはその火力の高さに、ただただ呆然とするしかなった。



 レナードは刀を地面に打ち付けて片膝をつき、光の粒子は徐々に消えて行く。


「はぁはぁ、もう魔力が・・」




 黒龍は勝利の咆哮を放ち、衝撃波で大地が揺れる。


 グガァァァァアアア!!



「くそ・・さっきので退路が絶たれた・・」


 ブレスで壁が崩落し扉が埋まってしまったのだ。



 黒龍は止めとばかりに《テールスマッシュ》で3人に対して尾を振り回して打ち付けてきた。



 ズガァァァァン!



 3人はギリギリで回避すると、ユウキはある一点を見つけた。



(あそこだけ魔力が低い?!)



 そこに目掛けて一気に跳躍した。


 《双龍閃》


 高速でブラックスポットに左右のナックルで撃ち抜いた。



 ガァァァァァ!!!!


 黒龍は尻尾を引くと、錐揉みしながらのたうち回った。



「貴様・・・我が逆鱗に触れるとは愚の骨頂!!」


 《レディアントブレス!》



 再度あのブレスの構えが来た。首をもたげて魔力を凝縮させていく。


 レナードは魔力切れ、アリサは対策が障壁しか思い浮かばない。




 絶体絶命。


 死を予感させる。



 ドクン



(もう失いたくない・・)



 ドクンドクン



「そうだ・・死なせない!」



 ドクンドクンドクン



 鼓動が速くなる。


「俺は、もう死なない!!」



 ピリッピシッ!


 ユウキから突風が吹き荒れた。



 そしてレディアントブレスが3人に放たれた。


 グアァァァァ!!



 飛来する死の閃光。


 ユウキはただ右手を前に突き出した。


 《魔法障壁》



 ユウキの目の前に平面魔法陣が展開されると、ブレスはそこで受け止められる。


 物凄い熱量とそれに耐える障壁。



 アリサとレナードは、ユウキから流れる真紅の光に只々見惚れた。



 ブレスの猛攻が終わり、黒龍は勝ち誇った様に翼を広げて鎌首をもたげた。




 しかし目の前にあるのは、右手を突き出した青年の姿だった。


 ユウキの周りでは真紅の霧が溢れ出し、真紅の稲妻が走っていた。



 チリチリと空気を稲妻が切り裂く。


 ユウキの瞳は真紅に変わっており、これまで圧倒していた黒龍が瞳を見て一歩後ずさった。




ユウキはそれを見て一言。


「調子に乗るな、黒い蜥蜴如きが。」




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