地下ダンジョンBOSS
重厚な扉の先はドーム型になっており、奥行きは200mほどある広い場所だった。
そして中央に鎧があった。
ガシャン・・ガシャン
鎧が起き上がった。いや、骨が鎧を着ており腰には2本の刀が収められている。
3人は一気に警戒心を上げた。
「本気だな・・今までの比じゃない。」
アリサが本で読んだ魔物の情報を共有した。
「恐らく『サージェントースケルトン』だわ。獣人で言ったらホブクラスに匹敵するわ。」
「それって学生3人が攻略できることを想定してないでしょ・・」
それを聞いてユウキが補足した。
「恐らく扉の前にあった魔法陣は帰還用じゃないかな。強敵から撤退する能力も必要という事か。」
ユウキは相手の魔力を読取る。ネームドほど強くはない。
武器を構えて2人に告げた。
「アリサは支援を、俺が惹きつけるからレナードは炎を纏うんだ。」
「「了解!」」
そしてアリサの支援魔法が終わると、腰を深く落とした。
「行くぞ!!」
ナックルの風支援を受けて、《ファストブロー》でスケルトンの右腕を一気に撃ち抜いた。
するとスケルトンの右腕が弾かれ体制が崩れるが、左手で抜刀と同時に逆手で切り上げてきた。
攻撃が届く前にレナードの《ファストスラッシュ》が脇腹の鎧を切り裂き、刀はユウキの上方を掠める。
スケルトンは切り返すが、両手を交差させてナックルでガードした。
ギイィィィン!
甲高い音がなると、スケルトンはもう一本を抜刀しようとした。
刀を挟んだまま右側に大きく振り抜き、刀を流す。
そして勢いのままに回し蹴りを放ち、スケルトンを吹き飛ばした。
そこにアリサが土属性上級魔法の《ボーグ》を放った。
するとスケルトンの付近が沼地になり、身動きを封じることに成功する。
レナードは隙を逃さず沼地を跳躍しながら、光の粒子を纏った綺麗な一閃を放ち、スケルトンが溶けるように切断された。
カクカクカク
「まだ動くぞ!」
沼地は再度固まり、スケルトンの下半身が土に埋もれている。
しかしスケルトンは両腕の骨を地面に叩きつけると、勢いを付けて上半身でレナードに突進してきた。
ユウキは思いっきり前方を殴りつけた。
《烈風掌破》
ナックルが唸りを上げて空気を切り裂いた。
スケルトンは空中で錐揉みしながら、骨がバラバラに四散して沈黙した。
「あ、ありがとうユウキ。油断していた。」
ユウキは構えを解くと「ふぅ」と息を吐いた。
「レナード仕方がないわ。あの状態で動くとは思わないもの。アンデットは特に注意ね。」
2人は頷くと魔法陣が出現し、宝箱が出現した。そしてユウキが宝箱に近づき中身を確認した。
そこには長刀と小太刀の二本が入っていた。
それを手に取るとレナードに向き直り差し出す。
「レナード、君が持つべきだ。騎士剣を使っているけど、型が刀にマッチしている。」
それは前世の知識によるもので、この世界では刀自体が稀有なのだ。
「よく分かったね。でも職人がいなくて刀は家宝しかなかったんだよ。いいのかい?」
2人には何の問題もない。
「あぁ、受け取ってくれ。」
腰に二本の刀を挿すと、だいぶ様になっていた。
「ありがとう、もっと強くなるように頑張るよ!」
ユウキは二本の刀からかなり特殊な魔力を感じた。
だが、これが何なのかは分からない。
3人は入ってきた扉の横の魔法陣を目指した。
ここで異変が生じた。いち早く察知したユウキが警告する。
「なんだ!?上から異常な魔力が!!」
ズガァァァァン!!
中央の天井が崩落して何かが落ちてきた。
「汝、光を持つものか?それとも無知なる愚者か?」