表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/269

入学試験(5)

 武器庫に戻るとアリサが満面の笑みで賞賛した。


「おめでとう!ユウキ!」


 それに笑顔で答える。



 もう一人寄ってくる人がいた。最初にユウキを擁護してくれた人だ。


「やぁおめでとう、素晴らしい手並みだったよ。僕はレナード・ドールよろしくね。」


 そう言って手を差し出してきた彼は、金髪で優しい目をした青年だった。



 その手を取るとユウキはお礼を言った。


「あの、門のところではありがとうございます。」


「いいってあの程度。次は僕の番かな。」

 そう言って闘技場に向かった。



 ナーズは対峙すると、右手の騎士剣をだらりと下げて油断なく構える。


 それをみてアトリアは告げる。


「はじめ!」


 ナーズは若干警戒していた。盾を前方に構えたまま間合いを図る。


 しかし無意味とばかりに勝負は一瞬で決した。レナードが腰だめに剣を日本刀の抜刀術のように構える。


 《ファストスラッシュ》



 一気に跳躍すると去り際に一閃し、横腹を斬られたナーズは片膝を着く。


 アトリアが焦って告げた。

「し、勝負あり!」



 レナードは頭を下げて武器庫に戻ってきた。


「ユウキ君、君のファストブローを真似させてもらったよ。あれはいいね!」



 ユウキは驚いた。ただ見ただけで自分用にアレンジした事もそうだが、ユウキの速度が見えていたのだ。


「凄い!俺が見えていたんだ。」


 レナードは笑みを浮かべると、試験官からアリサが呼ばれた。



「アリサ、頑張って!」


 アリサは手を挙げてそれに答えると、闘技場に向かった。



 短剣を前方に構えると左手を添えた。ナーズは惨敗続きで、ここで一発威厳を取り戻したいところである。


 そしてアトリアが告げる。


「はじめ!」




 アリサは開始と同時に無詠唱で《真・ストロング》と《防御壁》を自前で重ね掛けした。


 それには場が騒然とする。

 なんせ詠唱などしていないのに、多重魔法陣が一気に展開されたのだから。


 しかも一つはあまりにもクセが強すぎるストロングだ。グライスほどの威圧はなくとも、多少はナーズに届く。


「こ・・・これは!なんて奴だ!今年の受験生は化け物か!!」



 そう言ってナーズは一歩下がってしまった。


 アリサはそれを見るとゆっくり近く。


 ナーズは恐怖しながらも声を上げて剣を構えた。これが彼の出せる精一杯の威勢であった。


「わ、わぁぁぁぁ!!」



 何でもない縦切りに、アリサは右手を添えて防御壁を手に集約すると受け止めて、短剣で剣を弾き飛ばした。


 すかさずナーズの首元に短剣を突きつけた。


「勝負あり!」



 それを聞いてアリサは頭を下げると、武器庫に戻っていった。


「な、何なんだよ・・」


「大丈夫ですか?ナーズ。」


 ナーズは顔が青ざめたまま「あぁ。」と答える。



 アリサが武器庫に戻ってくるアリサ。皆唖然とした表情でアリサを見る。


 トレードマークの栗毛のポニーテールが可愛く揺れているが、妙な目で見るものは誰も居なかった。



「アリサ、おめでとう!()()を使えるようになっていたんだね!」


 アリサは両手を上げて答える。


「ええ、でもまだまだよ。師匠のそれとは全然領域が違うわ。」



 レナードも賞賛を送る。


「はは、君の師匠は凄いね。おめでとう!」


「ありがとう、貴方の剣技も素晴らしかったわ。」


 それを呆然と見る受験生。ピクニックにでも来たかのように会話する3人。次元の違いを感じさせていた。



 この後は皆例年通りの試合が行われ、大凡60人程度が残った。


 武器庫にナーズ達がやってくると次の試験を説明した。


「次は魔術試験だ。非常に壊れ難い標的に対して、200m離れた場所から攻撃して評価する。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ