表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/269

旅立ち

「ユウキ、忘れ物はない?願書は持った?」


 朝から慌ただしいのは母のリースだ。

 この愛情がたまらなく嬉しい。


「大丈夫だよ母さん、もう子供じゃないよ。」


「何を言っているの?あなたはまだ12歳よ!赤ちゃんだわ!」


 母よ、心配しすぎだ。


 するとボストンが間に入った。

「リース、赤ちゃんは言い過ぎだ。だが、子供には変わらん。無理はするなよ?」



 ユウキは優しく微笑むと、2人に抱きついた。

「ありがとう、ここから俺も進むね。本当に・・ありがとう。」


 3人は泣いていた。

 誰が子供の旅立ちに涙を我慢して送るものか。そんな無駄な努力はしなくていい。



「それじゃ、行ってくるよ。」


 するとボストンが止めた。

「待ってくれ。グライスから選別だ。」



 そう言って出したのは獅子が象られた金色のナックルだった。

 宝石が散りばめられて細部にまで装飾がされており、それだけで喰われてしまいそうな威圧を感じだ。


「これはグライスが昔ダンジョンで取ってきた物だそうだ。これに見合う武闘家がいたら渡そうとしていたらしい。」



「これは凄いね・・でも・・・」


 ボストンが続きを受け取ったり


「そんな物装備して街中を闊歩したら大事だな。本当に必要な時に使えるよう鍛錬は忘れるな。

 それとこれは俺からだ。」


 するとポーチを投げてよこした。

「これは?」


「俺が昔使っていたものだ。マジックポーチと言って中が拡張されている便利品だ。

 だが貴重品でもある。使うところを見られるな。」



 ナックルをポーチにしまい、ボストンとリースを見た。

 姿勢を正すと頭を下げ礼を言う。


「ありがとうごさいました!」



 ボストンとリースは笑顔で手をヒラヒラさせた。

「父さん、母さん、行ってきます。」



 ただ一言だけ言った。


「おう。行ってこい!」

「ユウキ、しっかりね!」






 こうして家族と別れ、行商人の元に行く。

 アリサはまだ来ていなかった。


「おはようございます。すみません、王都までどの位ありますか?」


 聞かれて商人は「うーん、100km位かなぁ。」と答える。


「それじゃぁ、女の子が来たら先に行ったって伝えて貰えますか?俺は先に行きます。」


 行商人は「はっ?」と声を出すと、ユウキはもう村の境に向かっていた。





「ここからが俺の新しい第一歩だ。いっくぞー!!」


 そう言うとユウキは駆け出した。

 どこまでも続く長い道を走って駆け抜けていった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ