永遠の友情
ユウキは村に戻ると麦畑の丘に向かった。よく3人で水遊びをした場所だ。
そこに1人の少女の姿が見えた。アリサだ。
アリサがユウキに気がつくと近づいてきた。すると怪訝な顔をして言い出した。
「なんか女の匂いがする・・」
ちょま、あれだ、落ち着け俺!
ユウキはポーカーフェイスを崩さず、動揺など微塵も感じさせない風を装って答えた。
「さっきグライスのところに行ってきたんだ。そこに女性がいたからね。」
するとアリサはふーん?と言いたげな表情をしていた。女は怖い。
「それにアリサには関係ないだろうに。」
それを聞いてアリサは真っ赤になる。
「あ、当たり前よ!ただちょっと気になっただけ・・・よ。」
ユウキはニコリとして、「本当に何もなかったしね。」と付け足した。
大木に近づくと小太りの少年がいた。
「ガラス!」
ガラスはユウキを一瞥すると「よう」と挨拶した。
「俺たちもこうして会えるのは今日で最後だな。」
アリサも後から付いてきた。
「うん、でもやる事は変わるけど俺たちは変わらない。たまに帰ってくるさ。」
それを聞いてにこやかに返事をする。
「あぁ、村は任せろ。次に来た時はもっとビックリさせてやる。むしろ王都までサウスホープの名を轟かせてやるぜ。」
ユウキは満足気に頷いた。
「俺はもっと守るための力を。」
アリサが続く。
「私は誰にも負けない大魔導士を。」
ガラスが続く。
「サウスホープを最大の農作地に。」
それを確認しあい、三人は手を合わせた。
「「「目的は違えど友情は永遠に。」」」
そして一つの大きなウォーターボールが出来た。
それをアリサは上に打ち上げると炸裂させた。小さな虹ができている。
それを振り返らず三人は別々の道を行く。
それぞれの向かう未来へ、それぞれの大事な人が待つ場所に。
彼らの行く道は険しいが決して折れない。
支え合う者が居るから。