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旅立ちの前に

 村がゴブリンと共存してから4年が経過した。

 貨幣取引ではないので、特にこれといった小競り合いもなく上手くやっていた。


 そして村は大改革を遂げていた。



 一見すると昔と変わらない麦畑や野菜畑が広がるのどかな村だ。


 しかし新しく建てられた農具倉庫は違った。

 馬引きによる耕運機、鎌や鍬は研ぎ澄まされ、麦の刈り取り機まで存在している。

 更に肥料にも改善が加えられ、実りや味も格段に向上した。


 これらはユウキが提案し、ガラスが実用的に改良を加えて生まれた。



 またゴブリン側にも変化があった。


 森の一部を開いて野菜畑の栽培を始めたのだ。個体数が多くて村からの提供では間に合わない。


 人の薬剤知識などを得ることで子供の生存率が上がり、野菜の栄養でスクスク育つものだから健康な戦士達が激増した。



 そしてユウキはグライスのところに向かっていた。


 12歳になり、この4年間鍛錬を続けたおかげもあって、身長は150㎝程に伸び肉付きもよく立派に成長していた。



 ユウキがゴブリンの集落につくと、衛兵も道を開けた。

 もはや馴染みの顔パスである。そのままグライスの建屋に向かった。



「やぁグライス、元気かい?」


 その声にベッドからグライスは起き上がる。


「ふむ、ユウキもだいぶ一端の戦士に成長したな。久方ぶりだな。」


 その挨拶に笑みで返す。

「まだまだだね。全体的に強くなっているけど、あの時のような強さはないから。」



 そう言うユウキは真紅の瞳の力を自由に使えず、あの時に2回発現してからは1度発現しただけで、4度目は無かった。


「それよりも明日行くよ。グライス・・・俺は寂しいけど向かう道もなんとか見えてきた。」



 それを聞いてグライスは満足した。ここで腐ってもらっては困る。


「互いに守るものがあるな。さて、それなら最後にやって貰いたいことがある。」


 そう言いながら衛兵を呼び、使いを出した。





 暫くして各集落の族長が集まった。全員で5体だ。


 皆通常よりやや大きく、今のユウキと同じくらいの身長だ。一体だけツインテールの女性が少し低い。



 最初に女性陣二体だ。


 武器を持たないツインテールの方は物凄く可愛い。

 杖の方はショートヘアでカッコいいお姉さん。



 続いて男性陣だ。


 剣と盾を持つものは、無骨でガッチリしている。

 短剣を腰に携えた者は、無駄な肉が無く洗練された動きをしている。

 弓を背負う者はチャラっとしていた。唯一手を振っている。



「ユウキ、こいつらと闘ってほしい。認めたものに名を付けてくれ。」


 それを聞いて驚いた。獣人の名はどうやって決まっているのか疑問が湧いた。



 それを察してグライスが説明する。


「俺たちは強き戦士と認めた者に闘いを挑み、強者に認められれば名を頂戴する。

 それがいつしか世間で知られるようになるが、それはそいつ次第だ。」



 かくして新設された闘技場に移動した。

 これはゴブリン達が闘争本能を発散するためと、強さを決するために作られた。


「これは凄いな、この円形華麗だね。どうやって測量したのやら。」


 グライスはふんと鼻を鳴らして答える。


「棒をぶっ刺して紐を張り、回れば円が出来る。大きさは闘いやすいように歩数換算だ。

 誰から最初にやる?」



 それを聞いてユウキが「全員一緒でいいよ?」と言った。



 族長達がピクッとした。

 魔力の奔流が迸ったのをユウキは確認すると、ニヤリと笑った。


「来いよ。それともビビっちまったか?辞めてもいいんだぜ。」


 すると雄叫びをあげて迫ってきた。



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