表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/269

村長の決断

「サウスホープはゴブリンと和平を結んでもらいたい!」


 ボストンの一言に村人は何を言われたか理解出来なかった。そして声を上げる。


「・・・それは、何を言っているか理解できているのか!?」


 それを皮切りにやれ危険だ、おしまいだなど口々に漏らす。



 ボストンは当たり前の反応が返ってきて、やはりと考えた。

 そこでユウキが告げる。


「グライスは無益な争いを好んでいたとは思えません。戦いが終わって彼が言いました。人と円卓についた事はないと。

 彼らは生きるために森を使い、村の人との接触を避けていたようです。

 お互いのために共存の道を開きませんか?」



 それを聞いても問題はある。人族だ。


「しかし王都にバレたら、俺たち獣人に加担したとかで打首じゃないか!そこに王都の人間もいる!!」



 そう言いながらガルシアの方を指差す。


 それを受けてガルシアが答える。

「俺は冒険者だ。王都に報告する必要もないし、グライスが大人しくしているならギルドも問題あるまいて。」



 駄目押しにユウキが言った。

「彼らは鎧を持っていました。つまり落石と合わせると鉄の精錬技術があります。

 この技術を村の特産にするのは目立ちすぎますが、彼らと協力して農具の整備などをすれば村の発展に繋がります。」


 一同は唸る。

 そこで恰幅のいい少年が間に入った。村長の孫ガラスである。

「村や人に危害がないのなら、親交を深めてもいいんじゃないか?

 このまま静観や敵対をしても良い事は何も無い。考える余地も無いと俺は思う。」



 それを聞いて村長が嬉しそうに決断した。


「わしもいいと思う。前提条件として人や村を襲わない事だがな。王都の件はわしの独断にすれば良いだろう。」



 村人がそれに応じる。

「村長が良しとするなら反対はないが、知らぬ仲で共存も何も無いだろう!

 あとゴブリンと戦ったのはボストンさんじゃないのか?」



 それを聞いてもユウキが答える。

「僕とアリサの2人です。

 グライスと連絡を取ってみます。会合を開きましょう。」


 客間に唖然とした空気が流れた。8歳の子供2人がボブゴブリン達に勝利した。

 俄かには信じられないが、ユウキにはあの大岩を破壊した実績がある。



 村長はにこやかに告げた。

「段取りを頼む。」


 そこで集会はお開きになった。





 帰り道、ユウキは言った。

「お父さん、明日ちょっと森に入りたいんだけどいいかな?大事な事なんだ。

 できればアリサもだけど。」


 アリサが訝しげな表情をした。

「何をする気なの?今日の場所に入るの?」



 ボストンは両手を上げて答える。

「俺も同行していいなら問題ない。」



 それを聞いていたガルシアは嬉しそうに言った。

「俺はリースさんと家でお茶を飲んでいればいいか?」



 3人が一斉に「ダメ!」と答え、夕暮れに輝く麦畑に笑い声が木霊するのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ