家族会議(2)
そして少し悲しい顔になりユウキが続けた。
「うん、だけどストロングだっけ?強くなる魔法を使ったホブゴブリンに手も足も出なかった。」
ボストンとガルシアが同時に呻いた。
「「ストロングだと!?」」
顔を見合わせた二人はガルシアが引き継いだ。
「ストロングは人も含めて使えるヤツは限られる。強力だがそれくらいクセが強い魔法なんだ。
そいつは名前がなかったか?」
ユウキは考える素振りをみせた。
「グライスって言ってた。」
「「グライスだと!?」」
また二人はまた被ってしまった。
ボストンは両手を挙げ、ガルシアがまた説明する。
「グライスは数年前まで東の帝国領土に集落を構築していた。俺はその関係で帝国領土に行っていたんだ。
だが、ヤツは狡猾で一向に姿を見せないから戻ってきたら、ボストンから手紙が来ていた。
そして我々が分かっている中でだが、ゴブリンの中でも上位に位置するヤツだ。」
ユウキは呆けて「そうなんだ。」と無気力に答えた。
それを見てボストンは続きを促した。
「アリサと自分自身を守れない不甲斐なさを感じていたら、急に力が湧いてきたんだ。
そうしたら頭がお父さんと同じ色になったみたい。
あと《点穴》が普段よりもっと鮮明になったよ。
魔力の流れが先に動いて見えるから、グライスの攻撃が僕に当たらなかったんだ。」
ボストンは自分でも気がつかないうちに呟いていた。
「・・・《点穴》って一体なんだ?伝承と大分違うな。」
ユウキは補足で特異点を述べた。
「それと土がいつも以上に動いたり、ちょっといつもと違った。
なんか不思議な感じだった。」
顎に手をやりながらボストンは考えた。
「それについては良く分からない。今は考えなくていいだろう。
それとホブ・・グライスはどうした?」
ユウキはどうすべきかを真剣に考えた。そして隠した。
「グライスは倒した。最後にゴブリンもこの村、サウスホープから離れるって言ってた。」
ガルシアは唸った。
「倒しただと!?ゴールドクラスじゃないか!8歳の子供二人がホブを追い込むなんて・・・
しかもネーム(名前持ち)だぞ。」
ここまで聞いていたリースがただ一言述べた。
「ユウキ、良くがんばったわね。でも大事なことは家族にだけは話しちゃいなさい。」
それを聞いて全員が一同に驚いた。リースは微妙な息子の変化を感じ取っていた。
ユウキは苦笑いしながら言った。
「お母さんにはグライスも敵わないや。」