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父の救援

 ボストンとガルシアは森の中を疾走していた。


 ガルシアは唸った。

「あの煙、近いようで距離がある!」



 そしてボストンも答える。

「森の外と中では距離感が全然違うから気をつけろ!

 それにさっき響いていた爆音が、もう聞こえない!」




 途中ボアなどに出くわすが、2人は過ぎ去りざまに流れるように切り抜ける。


 熟練した技が見て取れた。



 そして現地に着くと2人はたたらを踏んだ。

「くそっ!なんだこの熱風は!」



 ガルシアが提案する。

「こんな中に本当にいるのか!?

 ボストン!ウォーターボールを自分にかけて進もう!」


 2人は慣れたもので、障害に対して即座に対策を立てる。



 だが、炎の中から人影が見えた。

 相手との距離が詰まると、2人は同時に剣を抜いた。



 ボストンは警告した。

「止まれ!何者だ!!ゴブリンか!?」



 しかし、前方の人影は止まらない。

 ガルシアはボストンを見て、ボストンは頷く。


 そして人影が長身、ロングソードを構えたガルシアの間合いに入った。



 ガルシアは疾走すると剣を一気に横薙ぎへ振り切った。しかし人影は回避した。


「なっ!えっ!」



 ガルシアは二度驚いた。

 一つ目は回避された事。

 二つ目はそれが、子供を抱いた人間の子供だった。



「すまない!大丈夫か!

 ってあれ?この髪の色・・おい、ボストン!(せがれ)だぞ!!」



 それを聞いて剣を放り投げて駆け出した。

 剣士として有るまじき失態だが、父としては正解だった。


「ユウキ!大丈夫・・かぁ〜ぁ?どうした?その髪??」



 ガルシアはそれを見て訝しんだ。

「何言ってんだ、お前の遺伝子じゃねぇか。証拠があって良かったな!」


「リースはそんな尻軽じゃない!

 あ、いや今はそうじゃなくてだな、ユウキは黒髪なんだ。」



 それを聞いて納得したようにガルシアが言う。

「何?リースは金髪だろ。じゃあそう言う事じゃないか!がははっ」



 ユウキは初めて口を開く。

「おじさん誰?」



 ガルシアが驚いたように言う。


「おいおいボストン、(せがれ)は記憶喪失か?親父の顔も忘れているぞ?」



 それを聞いたボストンが突っ込んだ。


「いや、お前の事だと思うぞガルシア。

 こいつはガルシア、父さんの古い友達だ。ゴブリンの件で来てもらった。」



 ユウキはボストンを見つめて言った。

「おじさん誰?」



 空気が凍りついた。

 流石にヤバイと思ってユウキは焦った。


「冗談だよお父さん!()だよ、ユウキだよ!」



 まだ空気が微妙だった。

「あの・・()?」



 それを聞いてボストンはやっと柔らかい顔になった。

「ユウキ・・本当に良かった。アリサちゃんは大丈夫か?」



 ユウキは焦り言った。

「そうだ!深手を負っている!はやく回復魔法を使わないと!」



 それを聞いてガルシアは野太い声で詠唱した。

「汝は我を信じ癒しを求める《ヒール!》」


 ガルシアは歯を輝かせて親指を立てた。

「ハスキーボイスだろ?」


 ユウキは笑顔を向けながら思った。

(面白い人だなぁ。)



 ガルシアは真顔になると「取り敢えず安静なら大丈夫だ。」と言った。


 ボストンはそれを聞いてまとめた。

「森は危険だから自然鎮火を待つ。我々は戻ろう。

ユウキ、後で何があったか教えてくれ。」



 そう言うと、ガルシアがアリサを受け取った。

 ユウキはそれを見て、父の背中に抱きついた。


「おいおい、もう8歳だろうが本当に。」



 ガルシアがすかさず突っ込む。


「子供には変わらねぇ、その髪が証拠だ。」

「まだ言うか!」


 ユウキはそのやり取りを、羨ましいなと思った。

 そしてそっと目を閉じるのであった。




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