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失敗作?

 物資の移動を終えると中身を確認した。


 アクセサリー群に目を光らせるが、どれもある程度の力を持った物のようであった。


「んー?何でこんなにアクセサリーをくれたんだ?」


 ユウキは徐に首飾りを手に取ると、一枚の便箋がヒラヒラと舞い落ちる。


 そこには学園長が認めた事が書いてあり、彼の魔力同調により強化した失敗作であることが書かれていた。


「おい、このアクセサリーはつまり処分品ってことか?」



 中身を3人に伝えると、皆困ったような表情を浮かべている。


「ははっ、まぁ旅の資金にするのがいいのかな?」


「そうだねーボク達で使う分を残して路銀かな」


 あっこれ綺麗。と言ってルインとアリサは喜んで物色していた。


 しかし失敗作。

 その割には少し気になるものがあった。


 とある指輪を手に持つと、その魔力の本質が異質なものであることがわかる。


「もうしたのユウキ?その指輪に何かあるの?」


 アリサが気になって声をかけてきたが、一先ず指輪をはめて魔力を流してみた。


 すると若干だが癒しの様な効果が現れた。魔力が回復していると言った感じだろうか。


「アリサ、こいつを付けてみてくれ」


 アリサに指輪を渡すと、何故かモジモジしだした。


「えっと・・・その、いいのかな?」


「ん?何の効果か確かめたいんだ」


 アリサはそれを聞いても若干赤い顔をして、ゆっくりと指にはめた。


 レナードは何やらニヤニヤしている。



 するとアリサが驚愕の表情をして大きな声を出した。


「何これ!魔力が・・・凄い!」


「ん?魔力の回復じゃないの?」


「違うわ!」



 すると指先からファイアボールを出して、安全な場所に放つ。


 ヒュルヒュルー

 ドォォォォォン!!



 火柱の上がるその場所を、4人はポカンとして眺めている。


「アリサ、軽く中級魔法はマズいと思うなボクは」


「ち、違うわ!今のは初級よ!」


「んーこれはその人の本質で効果が変わる指輪だな。

 きっと学園長は知らずにここに置いたな」


 3人はそれに頷くと、似たような性質を持つアクセサリーを選別して各員に配った。


 レナードには魔力制御補助。

 ルインには肉体強化。


 レナードはこれまでより緻密な《光の翼》が使えると言い、ルインは更なる速度とその辺の巨漢なら腕一本で倒せる膂力を得た。


 残りは売却する事にして、馬と荷馬車は馬小屋に保管するために準備していたその時、異変が起こった。


「さてとそれじゃ今日はこれく・・・」


「ユウキ!便箋が!」


 アリサに言われて便箋を見ると、火が吹き出して新たな文字が宙に浮かび上がってきた。



 “窮余の一策と成らん事を”



 謎の火文字を茫然と眺めていると、便箋が突如としてパンッと言う音と共に便箋が弾け飛んだ。


「うおっ!何だったんだ?」


「さぁ?学園長が小難しくイタズラしただけでは?」


「あの人も変なユーモアがあるからねぇー」


 そんなやり取りに、ハハッと乾いた笑いが木霊して消えていく。



 それからユウキとルインは馬術訓練と学生を両立し、アリサとレナードは日々の鍛錬と魔法の研究に勤しんだ。


 ダンジョンには数回一人で入ったが、あまり時間もなく思った成果は得られなかった。


 そんなこんなで2ヶ月が過ぎようとした頃、やっと安全に馬を走らせることが出来るようになった。


「ごめん、馬に時間を使っちゃった。

 例の書物はあまり読めていないけど、夏本番を迎える前に出ようと思う」


「ええ、それが良いわ」


「ボクはいつでもー」


「準備は万端さ」


 それに頷き、来週に出立するとバルトフェルド先生に告げる事にした。


 バルトフェルドからの返答は簡潔明瞭。


「国の代表として恥ずかしくない格好をしろ」



 つまり学園の制服でもいいが、ラフな格好は御法度という事だ。


 学園の制服はこれからの旅に少々心ともない物がある。

 それをバルトフェルドに言うと、彼は既に準備していたようだ。


「安心しろ、仕立てからやっていては時間がかかる。この間の試練を見て各々の戦闘に合う旅装を用意した」


「流石です!ありがとうございます!」


 それぞれバルトフェルドに礼を言い、その場を後にした。


 こうしてそれぞれ旅の服を得ることができ、旅の準備も整いつつあった。






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