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乙女達

 ーダルメシア王国城 客間ー


 城の一室で一人の少女がベッドからムクリと起き上がった。


「うーんまだ眠いよ、もう少し・・このベッド柔らかすぎぃ〜。」


 気怠げに起きた少女は栗色の髪の毛を肩まで伸ばし、寝癖のついたままに枕に再度突っ伏した。


 起きたような寝ているような微睡みの中に、自分の使い慣れた枕と違う所で脳が覚醒する。



 アリサはバッと起き上がると辺りを見回した。


「・・・ハッ!

 そっか・・お城に泊まったんだ。」



 そしてベッドから降りて鏡台に行くと自分の髪の毛が異常に乱れていることに気がつく。


「うわっ寝癖ひど、どうやって整えよう・・シャワー浴びようかな?

 そう言えば昨日は夜遅くまで話し込んじゃったんだ。・・・ってルイン?あれ??もしかして・・」


 そこでソファーに腰掛けて優雅に朝のティータイムを楽しむルインがニヤニヤしながらアリサを見ていた。



「まだ眠いよ〜って誰に言ったのかな?ボクすっごく気になっちゃうよ?シャワー浴びてきたら?」


 聞かれていた。完全に最初から最後まで見られていた。しかも完璧に気配を消して・・



「ルゥイィンー!!居たなら起こしてよ!」


「ボクは何度も起こしたよ。その結果で三度目がアレだったんだけど?ぷふっ」


 ルインは完全に楽しんでいた。そんな彼女の笑顔にアリサは「もぅ」と頬を膨らませて拗ねた表情をしてシャワールームへと向かっていった。



 程なくしてシャワーを浴びたアリサが戻ってきた。バスローブ一枚を体に巻いて長い髪の毛を絞って出てきたのだ。


 無駄のない肉体はスリム過ぎず、程よい肉付きでバランスの良い痩せ型体系であり同性が見ても美しいと思えた。



 だがルインはある一点に目が入った。キランとルインの瞳が光ると固有血技を発動した。


(《サイレントミスト》、《ミスト分身》からのぉ〜魔力隠密!)



 アリサは髪を整えているためバスローブと言う防御力の低さを完全に失念している。


 ガバッと突然鷲掴みにされた!


「ふぁ!ちょっ!」


 抵抗虚しく実体を持った分身はアリサの背後から胸部をモミモミした。大きさはさほど無いが出るところとしては出ており、形もお椀型で綺麗にハリがある。


 ルインは立ち上がりアリサの前までやって来ると、自分の胸を隠すようにして見下ろした。


「アリサは綺麗だけど意外かな〜もうちょっとあると思ってたんだ。サウスホープの小麦が育んだ結果なのかな?」


「あちょっ、ルイン!」



 そのままアリサは分身に抱えられるように崩れてしまった。


「ありゃ!やり過ぎちゃった!?ボクそこまでのつもりじゃ・・ごめんね。」



 アリサは恨めしそうな顔をしてルインを見つめた。


「ぅ〜良いわよ。それより手を貸してくれるかしら。その・・足に力が入らないのよ。」


 ルインは慌ててアリサに肩を貸して起き上がらせた。そのままソファまで手伝うと暖かい紅茶をアリサに入れてあげた。


 アリサは一息つくとルインを見て聞いた。



「所でルインはどうなのよ。私のより少し小さい?」


「ボクはサラシだよ。大きさはアリサと同じ!見てみる?」


 この後アリサは慌てて服を脱ごうとするルインを止めた。危うく藪蛇になりそうであったが、結局アリサは紅茶を飲んだ後にまたシャワーを浴びに行くことになった。


(ルインってユウキのことが好きなんじゃ無いの?)


 とシャワーを浴びながら一人疑問に葛藤するアリサであった。





 食事ができる部屋を急遽用意してもらっていたので、アリサとルインはそこに向かって行った。

 中に入るとバイキング形式で城下町や農村ではお目にかかれない豪勢な料理が朝から並んでいた。


 アリサ達が料理を見て回っていると、レナードが先に来ているのに気がついた。



「「おはようレナード!」」


「やぁおはよう。

 あれ?何か今日はツヤツヤしているね。数日ぶりににユウキに会うからかい?」


 そう言うレナードが笑顔で返してきた。微妙なところにも気がつくのは彼の性格なのか、貴族教育の賜物なのかは分からない。


 だが一つだけ確かに言える事がある。


 それは違うと言う事だ。



 朝から女二人で遊んでいたなどとは口が裂けても言えない。

 二人は気まずそうな微妙な笑顔をしてレナードに返した。そんな二人の裏若き乙女達であった。





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