はじまり
俺は高井 優希、17歳の高校生。
中肉中背でちょっと筋肉質なだけのよくいる日本人だ。
幼少期から始めたスポーツは趣味になり、身体を鍛えていた。
体を何処までイジメれば限界が訪れるのか、好奇心は旺盛だった。
だけど、最近は進路とやらに奔走され始めた。
あいつらは時間と共に刻一刻と後ろからやってくる。
何処にいても道を決めないと「ヒタヒタ」と迫ってくる・・・
最近は自分が何をしたいのか思い至らず、現実があまり見えなくなっていた。
そんなある日、ランニングをしながら将来の事を考えていると、公園の近くを通りかかった。
公園からは子供の元気な遊び声が聞こえてくる。
「サトシ!私のボールを受けてみなさい!ザ・シュート!」
(おいおい、すげぇネーミングセンスだな・・・)
が、しかしボールの勢いは確かに強かった。
相手の少年は、ボールを体に当てて受けようとしたが、勢いが強く弾いてしまった。
「おぃ〜なんだよ今の・・・さやかは乱暴なんだから。」
少年はボヤきながらもボールを慌てて追いかけるが、草の中に突っ込んで公園の外に出てしまった。
その時、正面から猛スピードで走行してくる車が見えた。
俺は咄嗟に走り出した。
止まることなど考えていない。
(やべぇ!間に合うか!)
この鍛え抜かれた肉体なら多少車に跳ねられても大丈夫だと思っていた。
「運転手は少年に・・・気がついてればあんな運転はしないか!くそっ!」
猛然と迫る車。
ボールを追う少年。
少年を助けようとする青年。
運命の交点はここに交わった。
結果、俺は轢かれた・・・
頭がフロントガラスに当たり、ガラスにヒビが入る。
優希の側頭部からは致死量と言える血が流れている。
守るために強張ったせいでフロントガラスが割れず、もろにダメージを受けた。
(あぁ・・・下手打ったわ・・・意識が離れていくのが分かる・・・)
遠退く意識の中、優希はただ一つの心配を見て安心した。
その腕の中にある少年を抱いて。