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十一面体が鎮座するアポイサムの中心地から八十キロの地点に広大なファーミン空港があった。通常時は軌道上にある宇宙港との連絡シャトル専用の飛行場だが、珍しいことに二隻の準光速船の姿があった。全長二・五キロという巨体の大気圏内でのコントロールは、重力制御を使ってゆっくりと降下してきても非常に難しく、その作業はすべてAIに任された。
宇宙空間では塵埃のように小さくても地上に降りればその大きさは圧倒的だ。宇宙港で準光速船の降下を見上げていた人は、空一面に広がる天井に押しつぶされるような錯覚に陥った。
滅多に使わない着陸用支柱を無数に出して巨体を安定させている二隻の船は、人類初の他星系への移住という輝かしい役目を果たすための準備を始めていた。ありとあらゆる機材や人工出産システムの搬入はもちろん、武装強化も施される予定だ。船体の左右には、ひっきりなしに大型車がつき、作業ロボットがせっせと必要なものを運び込んだりしていた。
いままでファーミン宇宙港の近くには、人けのない居住棟がたくさんあったが、イアインの呼びかけに応えた少年少女たちが続々と入居を始めた。いずれ、四十人足らずの大人の移住希望者たちもここに集まることになっている。そのうち、専用の準光速船がもう一隻降下してくるはずだ。
移住組の結団式は、居住棟の中央にあるイベント広場で行われた。三百人足らずだったので、それほど大きな場所は必要ではなかったが、意外に参加人数が膨れた。というのも、アポイサム出身の少年少女たちは小型AIを連れていたし、保護者たちも見送りに来ていたからだった。しかし、年長の者が十歳以下の面倒を見ることがすぐにできるように、班分けが済んでいた。背の高い年長者の周囲には、数人の子供たちが取り囲んでいる。さらにその外側に小型AIや保護者たちが取り巻いている。
ステージの上には、まず最初に首相とヨアヒムのおなじみコンビが現れた。会場内にその声が響く。
「みなさん、よく集まっていただきました。首相のイーアライ・クールグです」
参加者たちがステージを向いて拍手をした。
「今まで我々人類は、他星系への移住を度々考えてきましたが、実は今回が初めての試みです。参加予定者のみなさんは若い。だからこそ絶対にこの移住を成功させなければならない。そこで、ここにいるヨアヒムの知力を総動員して、いま、準光速船をより安全に、より豊かに、より強靭にするために改造を行っています。ただ、居住エリアにはいつでも入ってかまいません。というより、早々に入って、お互いの顔を覚えて慣れておくといいでしょう。では、これから長く続く集団生活のリーダーになってくれる人を紹介しましょう。イアイン・ライントさんです」




