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氷結時代の終わり  作者: 六角光汰
第四章 終末の詠唱
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 それに対してラロス艦隊も一歩も引かない。それどころが前進している。やがて、ラロス艦隊はミサイルやレーザーなどのありったけの火器を使い始めた。しかし、目ぼしい効果はない。

 二者の距離が縮まるのが、無人偵察艦からの超望遠映像でもわかる。そして次の瞬間、敵戦艦の後方に出現した一隻のレイスタニス級戦艦が大型のミサイルを発射した。

 敵はAIだ。前方へ注意を集中するあまり、後方の索敵を怠っているとは思えない。しかし、どうしたわけか後方の防御が遅れたようだ。そのミサイルが直撃して敵戦艦はおろか前方の味方艦多数を巻き込んだ大爆発が起こった。周辺空域は解放されたエネルギーのためにホワイトアウトするほどだった。

 ブリッジの全員が固唾を飲んでいた。そして「こりゃあ、味方も助からんな」「今の爆発は何だ? ミサイルにしては威力がありすぎる」「あれはレイスタニスだろ?」「ということはヨアヒム?」「おそらくそうだ。何かやらかしてくれたんだ」「重力パルスを吹き飛ばしたのか?」「あの爆発の規模からすると、出力を抑えた相転移爆弾だと思う」「そんな調整が可能なのか?」「超AIだぞ?」「そして俺たち人類は勝ったのか?」「まだわからん」「いや、勝ったも同然だろう」

 そんな言葉が飛び交った。

 我に戻り、スクリーンから視線を戻したオルシアが、今決めたことを復習する。

「本当はリーダー会議で決めたかったが、白色矮星がレザムを通過するまであと百二十時間だ。したがって、百二十時間以内に惑星スラーまで移動、そこでレザム星を観察した後に出発する。こうしよう、リーダー」

「わかりました」とイアインは返事をした。胸の前でちぢこまっているルディは、スクリーンの残光を見つめていた。その肩の緊張をほぐそうと、彼女は両手で揉んだ。力を入れるたびに少女の頭が揺れる。

 目の前の細い髪が左右になびくのを見ながら、自分の周囲で運命がどんどん進行していくのを感じた。

 あの母親のことだ、必ずアセンションを実行する。あとわずかな時間で母親が消滅する。もう会うことはできなくなる。その事実がイアインの心を刺し続ける。苦して大きな感情が膨らんでいく。それが情動となって全身に広がっていく。最後に何か言っておくべきこと、聞いておくべきことはないのか。そして、百二十時間あれば、母親に会いに行けることに気づいた。

ここまでで80%くらいは進行しています。よろしかったら「つまらなかった」でもOKですので感想書いてやってください。

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