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ジナイーダ

作者: 井鷹 冬樹

第4回TKP参加作品です。 

 

 ロシア 10月1日


 ジナイーダ・マクシモウナはカフェで音楽を聴きながらコーヒーとパンケーキを味わっている。

 本を開いて文章と絵が並んだ小説をゆっくり読みながら、自分の時間を過ごしている。だが、彼女はそれとは別の目的を持って一連の行動を行っていた。

彼女が客として利用しているカフェの眼前には、4,5階建てアパートが建ち並ぶ居住群があり、路上の駐車場に数台の車が停車してある。

 そのうちの1台、外装に灰色が混じったような濃い緑の自動車を見つめていた。対象がそれに乗るからだ。

 本に送っていた目線をゆっくりと対象が乗るであろう緑の車に寄せて、彼女はじっと待つ。

 一度、本を置いて携帯をジーパンのポケットから取り出して時間を確認する。確認を終えた後、携帯をテーブルに画面を開いたままの状態で置いてから再び読書を始めた。

 本のページをゆっくりと開いていき、他人からは読書を楽しんでいるという印象を与えたうえで彼女は仕事を遂行していく。

 動きがあったのはそれから数分。見つめた先のアパートの出入り口のドアが開き、対象が出てくる。

対象の姿は大きめのリュックを背負ったガタイの良い男性で年齢は35~40代。軍隊に所属していたのか、歩き方は独特とジナイーダは判断していた。彼は自分の愛車である緑の自動車へと向かって歩く。


 十数メートル。


 彼女は歩いている彼を見つめながらゆっくりとコーヒーを手に取り口へと運んだ。コーヒーの入ったカップを置いた後で右手に携帯を持ち、それの数字盤を軽く親指で押し始める。

 その間に彼は車まで近づいており、ポケットから車のキーを取り出して自動ロックを解除し、運転席のドアを開けた。背負っていたリュックを運転席から助手席へと置いて、その後で彼は運転席に乗った。


 《56634651938》


 彼女が持つ携帯の画面には電話番号とは言えない数字の羅列が表示されている。

対象が乗った車からは、エンジンの起動音と排気ガスがゆっくりとで始めていた。車はバッグを始め、駐車場を出て行く。車はそのまま通りの道路へと入り、目的地へと進行を始めた。スピードメータ―の表示が5から10、10から20、20から30へと一気に上げ始めていく。カフェを通り過ぎていったのを彼女は目視で確認。

 ある程度、車の姿が小さくなったところで、携帯を持つ右手の親指が電話のボタンを押した。押した瞬間、遠くで大きな爆破音が響く。カフェにいた客、スタッフ達は大きな異変に気付き、その先を見つめる。

 そこから数十メートル離れた所で、濃い緑の自動車が炎上し白煙を上げ、車体が逆さになっていた。車内は炎に包まれていき、白煙が周りを包み込んでいた。

 近くでは女性の悲鳴や野次馬たちが爆破した先へと近づいたり避けたりと動いている


「なんだ!?」


「爆弾だ!」


 慌ただしい状況の中で、彼女は本を鞄にしまい、財布からお金をテーブルに置いてカフェを後にする。

 ゆっくり爆破した先とは正反対の方向へと歩き始め、後ろを振り向き大きな爆破が起きている通りに向けて、再び携帯を取り出してカメラのレンズを仕事現場となった通りに向けて、数回、シャッターを押す。押し終えた後、携帯のデータアルバムを開き、撮った写真を確認。画面を切り替えてメールを作製してそれを添付して送った。作業を終えると彼女は、携帯をしまって、そのまま現場へと離れていく。

 白煙が大きく空へと高く上がっていく事を確認せず、彼女は通りを後にした。




1日後 モスクワ FSB(ロシア連邦保安庁)




 FSBの捜査官であるセルゲイ・ジョコフは捜査会議室の液晶モニターで、爆破事件が起きた通りの監視カメラの映像を見つめていた。

 昨日の白昼、堂々と起きた爆破は、彼を悩ませる。犯人特定まで、時間がかかるだろうとジョゴフ自身は考えていた。

 あの爆破の原因は車のエンジンに仕掛けられていた爆破物によるもので、犯人は素人ではなく爆破物を扱うプロの仕業だと理解していた。

 その後ろでジョゴフの部下、ボリス・ズコフスキーは被害者についての情報が記載された書類を読んでいる。


 《アレクセイ・ドミドフ 39歳 元ロシア軍人 最終階級:大佐》


「第一次チェチェン紛争の英雄だった男がこんな目に会うなんて……」


 彼はドミトフが死んだ爆破事件の映像を見つめながらボリスの会話に対して答えた。


「超強硬派であり、現大統領に認められていた男の1人。しかも政界にも出馬予定っていう噂も出ていたし、まぁ、いずれにしろ衝撃はすごいだろうな。高級車が逆さになるくらいだからな」


「怖いもんですね」


 と2人が会話を繰り広げていると、2人の上司であり、事件捜査の指揮を執っている捜査主任、ヤコフ・ボロニャンが会議室へと入り、彼らの会話に続けて言葉を発した。


「それも近々、2件目が起きそうだぞ」


「主任」


「これを……」


 ヤコフは1つの封が開けられた郵便封筒をジョゴフに手渡した。彼は封筒から一枚の手紙を取り出す。

 取り出した手紙をボリスは隣で見る。


《俺は貴様を殺す。何が起きても、俺の目前を誰が妨害しようとしても……俺は貴様を殺す。あの爆破の様に、貴様をバラバラに吹き飛ばす。それがお前が今までしてきた罪への罰だ》


「脅迫状ですか?」


「誰に宛てられた物だと思うね……? アルカージー・アルバキンだよ」


「ロシア軍、元大将ですか……」


「このまま犯人の好きなようにはさせん。警護庁の方に連絡し、連携を取って大将を警護する事になった。1時間後に会議を行う。準備を忘れるな」


「はい」



 同時刻 モスクワ 国立図書館


 

 ジナイーダは、図書館で猫の図鑑を椅子に座って、それを眺めている。右手にはスケッチブックと鉛筆。彼女は図鑑の猫をイラストで描き時間を過ごして楽しむのが日課で会った。その静かな時間が変わるのは早い。それは彼女も分かっていた。

 

 待ち合わせの時間がきているからだ。

 

 勿論、ジナイーダは待ち合わせで遅れるようなことはしない。時間通り。これは爆弾を扱う者になくてはならない意識である。

 彼女の対面側に1人の黒いスーツを着けた中年男性が一冊の書籍を持って座り、机に本とノート、ペンを置く。

 彼は徐にそれで何かを書き始めた。彼は文章を書き始めた後、彼女に見える様に、ゆっくりとノートを机上でスライドさせていく。


《この前は御苦労様。彼が喜んでいた。流石はdead endそう呼ばれる理由が理解できた気がするよ。脅迫文の件はあれで良かったのか?》


 彼女もまた自分のノートを彼に見える様に、しながら書く。


《ええ。いいの》


《それは良かった。これでお前の復讐が後、1人で完遂するわけだな。》


《この仕事が終わったら、偽造戸籍を作って欲しいの2つ分》


《2つ? 1つじゃないのか?》


《ええ。2つ》


《分かった。手配しておくよ。アルバキンは、20:30頃にはパーティに出席する。招待状も全て通してある。同志のおかげだ》


《あとは私に任せて》


 彼女はノートをしまい、席を立つ。図鑑を元の場世に返した後で図書館を出て行く。図書館の外を出ると自分の携帯から振動と音を感じ取り、手にとって確認する。

メールが一件。


【警護庁が動き出した。早いうちに動いた方がいいぞ】


 彼女はメールを転送し、文面を打って返す。


【了解】


 携帯を閉じ、ズボンのポケットにしまう。自分の脳裏には幼少時代の忌まわしき記憶がフラッシュバックとなって襲い掛かる。誰かの悲鳴。銃撃と爆破音、軍靴の音と共に行進してくる戦車のキャタピラ音、手をつないで歩く自分ともう一人の兄。兄は泣くことなく、薄い切り傷の痕を掻いていた。

 フラッシュバックから解き放たれると再び彼女は歩き出す。

 自分の運命を狂わせた男達に復讐する為に。




 同日。



 アルカージー・アルバキンは、自身の邸宅で新聞を広げていた。かつての直属の部下であり、友と呼んでいた男が爆破テロにあって死亡した事。新聞の一面に大きく報道されている内容にアルカージーは恐怖を感じていた。

 自分自身の過去を顧みると、狙われていると感じざる負えなく、頭が痛い。虐殺、強盗、暴力、強姦、あの時はおかしかった……と自己弁護して生きてきた。友の死で今更、罪悪感が出てきている。

 新聞を机に置いた瞬間、インターホンが鳴り、家政婦が確認しに玄関まで向かう。

 アルカージーは席を立ち、部屋の窓に近づいてみると数台のFSB車両が停まっているのが見えた。それと同時に家政婦が、自分を呼ぶ。


「旦那様、FSBの方がいらしゃっています」


「ああ」


「失礼します」


「アルバキンさん。FSBのボロニャンです。隣は部下のジョゴフ。こちらはズコフスキー」


「どうも」


「この犯人を君たちが追っているわけだな?」


 とアルカージーは新聞記事の一面を彼らに見える様に示す。


「ええ。現時点で犯人は、ロシア独立派の犯行でないかと考えています」


「なるほどな。君たちに協力できるかどうかは定かではないが私もこの爆破事件の犯人を追う事に協力できたらと思ってね」


「我々は捜査を、あなたの警護をFSOの担当官に任せます。レゴール・エーキンは御存じですね?」


 部屋に入ってきたのは黒スーツを付けた巨体。1m90cmはあるのではないかとアルカージーは感じたが以前、一緒に仕事をしていたのか顔を知っている。


「ああ、この前の国立式典で会ったな?」


 エーキンは軽く礼をして、アルカージーに挨拶した。


「その説はどうも。今回も我々がお守りします」


「うむ……」


 ヤコフは彼らのあいさつが終わった後で次の話を切り出す。


「ちなみに、今夜のご予定は?」


「夜には友人のパーティーに呼ばれていてね。それに参加する。勿論君たちが守ってくれるのであれば、安心だし、爆破に気にする事なく参加できそうだ」


「そうですか」


「ちょっと失礼します」


 ヤコフは電話の振動を感じ、その場を外れて、電話の相手をする。電話の主は自分の部下でロシア独立派のアジトを捜索していた。

 電話をかけてきたという事は何か大きな情報を掴んだのだろうと推理し、ヤコフは期待していた。


「はいヤコフ。……ほんとうか! 分かった。部下と特殊部隊を送り、突入する。早速準備をしてくれ。こちらからも何名か送る」


 電話をしている間にエーキンはアルカージーに当日の護衛警備についての計画説明を行っていた。


「パーティーでの警備は通常よりも、多く配置します」


「失礼。犯人と思われる一派のアジトを見つけたそうだ。ジョゴフ、ズコフスキー向かってくれ」


「了解」


2人はアルカージーの部屋を出て、車へと向かう。ジョゴフは運転席へ乗り、シートベルトを締めめた。





 同日 夕方5時




 ジナイーダ―は自室で、運動に励んでいた。懸垂を何度も何度も。自分の体を鍛えていく。

その筋力トレーニングに励んでいる中で、FSBの特殊部隊が少し距離のはなれた所で突入の準備をする。

POCHの特殊部隊の隊長が隊員に向けて、合図をする。


「準備しろ」


 そう言うと10数人の隊員達はガスマスクを着け、いつでも相手からの攻撃を対応できるように準備した。

 全員の準備が完了し、装甲車から1人ずつ素早く降りる。

 隊列を組み、自分のポジショニングが確認できたところで、一斉に、アジトと思われる民家の玄関付近まで近づく。

 それと同時に、特殊部隊の後方に、ジョコフ、ズコフスキーの両名と数名の部下も控えた。胸には警察用の防弾チョッキとあまり使わないMP5を所持し、待機。

 隊長が合図をして玄関のドアに、軽度な爆弾を設置して、ドアを壊す。

心の中でカウントが開始され、ドアが爆破した瞬間、隊列を組んだ隊員達は一斉に、民家の中へと入りこんだ。



「よし! 行け! 行け!」


「動くな! 警察だ!」



 民家に突入していく隊員の姿が、ジョゴフの目に写り、自身たちも後続に続いて中に入る。部屋の中には、隊員たちによって取り押さえられた中年の大男と若い男性、近くには床に伏せて取り押さえられた女性。その中にジナイーダの姿はない。彼女は依然、筋力トレーニングを続けているが、休憩に入っている。携帯にはメールが来ていた。


【アジトに突入が入った? お前は?】


 ジナイーダはメールを打ち込み、返信する。


【大丈夫】


 再び、ジナイーダは筋力トレーニングを始める。


 隊員達は一回のフロアを調べ終わり、次は2階の部屋へと入る。2階のドア前まで近づいていると、運動しているのか荒い息をついている。

 相手は気づいていないと確信した隊員は突入し、ドアを蹴り破った。


「動くなっ!!」


 蹴り破ったドアの先はもぬけの殻で、机に一台のパソコンとそれに接続されたスピーカーがあり、部屋の棚に小型のカメラが設置してある。

 ジナイーダは筋力トレーニングを終えて、ノートPCから写る民家の映像を見て、軽く微笑んだ。

 映像は中継され、丁度、ジョゴフが二階の部屋に入ってきた。隊員の1人が、両手で何もないとジェスチャーを示している。

ジョゴフは構えていた銃を降ろし、呟いた。


「もぬけの殻か」


「どうやら実行犯は、ここに突入する事を気づいてたみたいですね」


「くそっ」


 ズコフスキーも2階に入り、下の取り押さえた者達について報告をする。


「下の男達が脅迫状を送った者だと判断して間違いないですね。下書きのコピーや便せんがゴミ箱の中にありました」


 ジョゴフは首を軽く縦に振って、反応した。


「よし、ただ実行犯が現在も逃走中だ。こんな大仕掛けもしてる抜け目のない奴だなんとしてでも捕まえるぞ」


 中継映像をジナイーダはノートPCを閉じて、時間を確認する。

 

            17;30分。


 彼女はトレーニングを止めて、仕事の準備を開始する。そしてこれが最後の仕事。その為にも念入りに準備していく。



 同日 20:40



 FSB捜査本部では、爆弾テロ実行犯アジト突入で、緊張した空気から緩んだムードが包んでいた。しかし、実行犯を逃した事実。その事実は捜査員達の背中に重くのしかかる。

 ジョゴフやズコフスキー、捜査員達にはそんな事実はどうだってよかった。たとえ失敗しても、次は犯人を掴む為にも色々な情報をかき集める。

ズコフスキーが映像を調べていると1つの防犯カメラの映像、それが目に入った。


「これは……」


 その映像はあの爆破事件が起きた時の通りの映像。爆破が起きている瞬間、1人の女性がカメラを撮っている光景に目が入った。


「おい。この映像を拡大できますか?」


 映像担当の捜査官が反応した


「これですか? ええ。ちょっと待ってください」


 映像を捜査会議室の大きなモニターへと写し、映像を再生する。


「拡大した映像です」


 女性が携帯で写真を撮影し、撮り終えた後現場とは逆の方向へと歩いていく。


「それ、ちょっとズームしてください」


「ええ」


 ズコフスキーは映像の女について、ジョゴフに説明する。


「この女、現場の写真を撮ってますよ」


 ジョゴフは続けて映像を操作、再生作業を行っている捜査官に訊く。


「数分前の女の行動とか見れるか?」


 そう訊かれた捜査員は少し口ごもりながらではあるが彼の問いに答えた。


「通りのカメラが撮っていればですけど……」


「お願いします」


 捜査員は今、再生している映像を別のモニターに移動させ、通りの監視カメラの映像を何台も表示させる。モニターは四角い映像の枠を縦4×横4列を作り、それぞれ通りの監視カメラの映像を表示して並べる。


「カメラは16台。この16台の中にあの女のが写っていればいいんですが……いったん映像を巻き戻して事件発生の1分前に巻き戻して再生させます」


 映像は全て巻き戻され、爆破事件1分前の現場映像となった。その映像には発進しだす緑の自動車が写しだされている。何個かのカメラにはその光景が写しだされ、残りのカメラは、その他の映像が写し出された。

 歩道で、数名の観光客が列を組んで歩いて観光を楽しんでいる映像。 カフェの付近では、お客がカフェで癒しを体感している映像が写し出されている。

 映像は運命の時間10秒前、その映像の中でズコフスキーがカフェがピンポイントで写し出されている映像に目を付けた。そこにあの女が写っていたからだ。


「あの女だ! カフェの映像を!」


 カフェの映像が拡大表示されている。そこにはジナイーダの姿がいた。読書を楽しんでいる姿が見えた。

 映像は丁度、車が爆破した瞬間。その映像を見てズコフスキーは異変を感じていた。


「やはり、この女、妙ですよ」


 ボロニャンはズコフスキーの反応に疑問を感じていた。


「どういう事だ?」


「爆破起きた瞬間、あの女、爆破した方向を見向きもしてませんよ。普通なら驚きませんか?」


「確かに……」


ジョゴフが続けて捜査官に訊く。


「女の顔、アップできるか?」


 捜査員は首を縦に振る。


「ええ、もちろん」


「やってくれ」


 映像を止めて、カフェでのジナイーダの顔を拡大し、全員に見える様に表示した。

 それを見たボロニャンは捜査員達に発破をかける。


「この女の情報を集めろ。急げ!」


 捜査員達はあらゆる情報網を使い、ジナイーダの情報を集め始めた。まず顔から照合していき、経歴や住所、職業を探し集める。


「女の名前と経歴が分かりました……。エレナ・ノースカヤ。26歳。フリージャーナリストですね」


「こちらもわかりましたよ! 住所です。表示します!」


 もう1人の捜査官が2人に告げる。


「大変ですこの女の正体が分かりました。このエレナ・ノースカヤは偽名です」


「何?」


 ジョゴフはその捜査官のパソコンを見つめる。捜査官はICPO(<国際刑事警察機構>International Criminal Police Organization)の指名手配リストに女の顔を載せて検索をかけていた。

 PCの画面には女の写真と共に経歴と本名等が載っていた。


《ジナイーダ・マクシモウナ 殺し屋 14件の爆破及び6件の政府要人暗殺に関わっている模様。裏では対象を足止めさせてから始末する事からDead_End(行き詰まり)と呼ばれている》



 ボロニャンは2人の捜査官に指示した。


「よし。ジョゴフは女の住所に向かってくれ! ズコフスキーはアルバキン氏の所に向かうんだ。連絡器を忘れるな! 逐一、状況を伝える」


「了解!」


 ジョゴフは右耳に片耳用トランシーバーを着けて、捜査本部室を後にしていく。地下駐車場に停めてある車両に乗り、シートベルトを締め、エンジンキーを差し込み始動。車を運転し、地下駐車場から地上へと出て、国道へと走行する。ジョゴフは近くの通りを曲がった。




 ― パーティー会場 高層高級ホテル チェルグラン 20:40 ―


 パーティーはアルカージーの乾杯の音頭から始まった。


「我が国の繁栄の為に!」


「繁栄の為に!」


 アルカージーは、グラスに入ったシャンパンを口注いだ。空になったグラスを置いて、ステージを降り、友人たちとの談笑に入る。

 パーティー会場の入り口で、体をドレスで包んだジナイーダが現れ近くのパーティー会場と併設されている豪華なホテルのバーカウンターに座って、カクテルのオーダーをする。


「ブラッディ・マリー」


「かしこまりました」


 バーカウンターがカクテルの準備をしている間に、腕時計で時間と対象の位置を確認する。

 まだ対象は談笑中だった。


「お待たせしました」


「ありがとう」


 一杯目をゆっくりと口へそそぐ。カクテルの入ったグラスを置き、アルカージーの姿を眺める。楽しそうな表情。その楽しそうな表情を壊したいとジナイーダは、心に秘め、獲物をしとめようと見つめている。

 彼女が待っている間に、対象が自ら動いた。自分が誘導しなくても良くなったのだ。アルカージーは友人のスピーチを笑顔で聞いている。スピーチが終わった後で、ジナイーダの仕事が始まる。

 アルカージーは護衛の一人に告げる。


「少し席を外れる」


 護衛は訊いた。


「どちらへ?」


「手洗いだよ」


 彼はそう告げて、パーティー会場を出て行く。出入口で出て行こうとした時、出会い頭で、ジナイーダとぶつかった。

 彼女はよろけ、とっさにアルカージーは、彼女の手を捕まえて、こけない様に守る。


「おおっと、大丈夫ですかな?」


「あ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしていたみたいで……」


 ジナイーダの美しい姿にアルカージーは少々、下心を感じていたが、それを押し殺しながら彼女に紳士的な対応をふるまった。


「それはいい考えでも浮かびましたかな?」


「ええ。いい考えが浮かび上がりました。この後も楽しみます」

 

「それは良い事だ。ではパーティーを楽しんで」

 

 彼はそのまま会場を出て行き、手洗い場へと向かう。その姿を確認した後で、ジナイーダは、そのまま会場を後にしてエレベーターへと向かう。

 さっきまでの行動が彼女の脳裏に焼き付いている。アルカージーとぶつかると同時に彼のポケットに薄い折りたたみ型の携帯を忍ばせたのだ。あの携帯には少し面白い仕掛けを用意してある特別製。

 警備を担当しているFSOにも気づかれていない事実である。ジナの1つ目の仕事は完了していた。次に2つ目、実行へと移す。

 彼女はエレベーターに乗って、地下へと向かう。

 地下に到着し、エレベーターから降りると何台ものの高級車や車が置いてある。そのうち予め止めておいた自分の車へと向かい、仕事の準備を始める。

 トランクを開けてから履いていたパンプス外し、ドレスを脱いで、コンバットスーツを着け、ミリタリーブーツを履いた。

 別の大きなコンテナの箱には、ティッシュ箱と同じサイズの鉄製四角い箱が入っている。

 彼女はそれを取り出し、歩きながら無人の車の何台かを選定して、その下に1つずつ置いていく。置いた後に、スイッチをonにし、その車から後にしていく。

 自身の車へと戻り、次は、グレネードの準備。

 防弾チョッキを着けてから数個のスモークグレネード、スタングレネードをポケットに取り付ける。

 それが終わった後は、後部座席から、武器ケースを取り出し、H&K_Mp5とRG-6グレネードランチャーの弾を込めていく。

 彼女は準備を終え、一回だけ、深い息を着いた。覚悟を決め、対象暗殺を実行へと移す。まずは携帯電話の振動を彼のポケットで発生させ、彼を驚かせる。

 携帯の仕掛けは振動だけではなく隠し玉もあった。

 振動をポケットから確認したアルカージーは、自分の携帯ではない他人の携帯が入っている事実を知りながらも、あえて出る事にし、取り出して電話のボタンを押す。

 するといきなり、携帯は軽い爆発を起こし、触れた右手に激痛を起こさせた。軽い爆破音が発生した後、アルカージーは膝を床につき、激痛に悶え始める。

 異変が起きたパーティー会場は悲鳴と、どよめきが同時に発生している。異変をいち早く気付いたFSOの護衛が一斉に彼に近づいた。エーキンは彼の安否と状況を確認する。


「ミスターアルバキン!」


 アルカージーはFSOのメンバーに、負傷した右手を見せながらも自身の命に別状なはいと示す。


「だ、大丈夫だ。手を怪我しただけだよ」


「危ない。セーフハウスへ向かいましょう」


 服に隠していた小型トランシーバーで、メンバーに連絡する。


「今からセーフハウスへと護衛対象を送る。準備を開始。行きましょう」

 アルカージーを立たせ、エーキンは一回彼の肩を軽く叩いた。

 FSOの一人が簡易的な救護を護衛対象に施しながら歩いていく。アルカージーの右手は白い包帯によって、赤い血が床にこぼれる事なく巻かれていく。

 エレベーターの前で立ち止まり、FSOのメンバー6名が、アルカージーを囲んで車で待機する。その間にエーキンが、ホルスターからMp_443を外し、構えておく。

 エレベーターが到着した音が彼らに告げられ、目の前のドアが開く。

 彼らは乗り込み、地下駐車場へと向かう。

 地下駐車場では3台の4WDと連絡を受けて地下で待機していたFSOのメンバーがエレベーターの前で待機していた。ジナイーダの姿はない。

 メンバーの一人が腕時計で時間を確認する。


 

 夜9時。



 どこか嫌な予感を感じながらも、護衛とエーキンたちが来るまで待っていた。十数秒経過した時、目の前のエレベーターが開き、負傷したアルカージーとエーキン達が現れた。

 目前の4WDがアルカージーの目に写った。


「乗ってください」


 エーキンの指示を受けて、彼はメンバーに促されるまま、ドアが開いた後部座席へと乗り込む。

 乗り込んだのを確認した後で、FSOのメンバーも乗り込み、彼の安全を守れるように近くいた。

 だが、その安全な護衛方法は崩れる。

 先頭車両が走りはじめ地下駐車場から出る為の出入り口へと向かい走り始めるスピードは30。

 勢いの良い走りはじめだと、アルカージーは思っていた。だが、先頭車両に乗っているFSOのメンバーが異変に気付く。


「おい、前!」


 すると先頭車両が通ろうとした矢先、横から勢いよくワゴン車が突っ込み、衝突する。先頭車両が衝突され、エーキン達が乗った車は止まった。

 エーキンは前面の異常事態に、すぐさま後方車両の運転手に向けて連絡する。


「バック!」


 だが、後方車両にも、同じことがすぐ起きた。

 バック走行しながら後退しようとしたら、トランクから大きな衝撃と衝突音がはしった。

 立往生となっている4WDからエーキンは警護対象を降ろし、再び地下から1階の方へ脱出した方がよいと判断し、焦った表情のアルカージーに告げる。


「降りましょう! 急いで!」

 

 そう言われた彼は急いで負傷した手をかばいながら、左手で後部座席のドアを開けて降りる。

 すると遠くから、何か高い音が響いた。それも数回。だが、彼らにとっては聞き覚えのある音で、その音の正体も近くで転がった球体で理解した。


「グレネードだ!!」


 転がった球体の様な弾から煙幕が発生し、彼らの周りを包み込もうとしていた。

 ジナイーダはサーモビジョンのゴーグルをつけて、H&K_Mp5を構えながらゆっくり近づいていき、FSOのメンバーを1人ずつ排除していく。

 まずは先頭車両の運転席に向けて、グレネードランチャーの炸裂弾をフロントガラスに向けて放つ。

 先頭車両のボンネットが勢いよく爆破を起こし、車としての原型が保てなくなったと同時にランチャーからMp5に切り替えて、防弾チョッキではなく彼らの顔面に向けて引き金を引いていく。

 いきなりの対応ができず、メンバーはそのままジナイーダが放つ弾によって倒れていく。


「くそ!! 襲撃だっ!」


 先頭車両に乗っていた人間の排除が完了した後で、ポケットからリモコンを取り出して、ボタンを押していく。


 押した後、先ほど仕掛けておいた鉄製の箱から勢いよく催涙煙幕が流れ出した。


「花火はお好きでしょ?」

 

 そう呟いた後で、ガスマスクを着けて彼女はゆっくりとアルカージーの元へと近づきながら、引き金を引いていく。

 彼女の猛攻に、FSOは何もしないわけではない。彼らもまた、自身の携行銃で彼女を仕留めようとする。その間にアルカージーとエーキンと彼の部下2名を連れて、エレベーターの方向へと向かって足を急がせていた。

 後方車両のメンバーは催涙ガスに苦しんでおり、彼女にとって排除はたやすかった。残りは4名。

 だが、彼らはエレベーターの近くまで来ていた。

 彼女は使い果たした残弾0のマガジンを外し、予備のマガジンを装填。再び彼らに向けて撃つ。

 護衛のうち2人は、アルカージーの肉の壁となって、彼女の弾から防衛。

 2人の護衛は凶弾に倒れる。その間にもエーキンとアルカージーはエレベーターの隣の非常階段まで来ていた。

 エーキンは後方の彼女に向けて発砲する。数発、彼女の左わき腹に当たったが足は止めない。

 かすかだが、防弾チョッキの下が少し赤くなっていた。だが、ジナイーダはそんなことどうでもよかった。

 彼女は足を急がせ、アルカージーの足に、銃口を向け、弾を放つ

 放った瞬間、アルカージーの右足ふくらはぎに激痛が走った。

 

「あああああ!!」


 撃たれた彼は倒れ、悶絶している。

 エーキンが使っていた携行銃の弾が無くなった。

 ジナイーダも使っていたMp5の弾が0だという事が、彼女が引いた引き金と銃口から弾が出ていない結果で理解した。

 拳銃を捨てて、エーキンは彼女の元へと走り向かう。彼女もまた、エーキンの元へと、走り、次は格闘戦を始める。

 まずは、エーキンが警棒を取り出し、ジナイーダの胸に突こうとする。彼女はそれをよけ、彼の腹にジャブ、続けて、右ひじを彼の頬にぶつけようとした。それに対し、エーキンは肘を自身の左腕でブロックし、彼女の腹に右足蹴りを入れる。

 ジナイーダの腹にけりが入り後ずさりしながらもすぐさま反撃をとった。

 警棒を持つ手を奪い、警棒を無理やり落とすように手をひねり、そのまま警棒を振りほどかせ、落とす。それと同時に警棒を蹴って、遠くへとエーキンの手が届かない様に飛ばした。

 彼女は続けてひねりを入れた後で、彼を合気道の技で大きな巨体のエーキンを倒すが、倒れたエーキンは、近づいてきたジナイーダの首を両足で挟み締め、そのまま腹筋するような体勢をとって体重を彼女の体へ馬乗りの状態へと変化させる。

 巨体が彼女を押しつぶす。

 ジナイーダは倒れ、馬乗りのエーキンのわき腹に何度もパンチをくらわすが、彼にはあまり効いていなかった。


「この女ぁっ!! てこずらせやがって!!っ」


 彼は、一発一発、重く日々鍛錬してきた拳で顔を殴る。女性の頬が腫れ、唇からは血が流れ始めていた。

 彼女のパンチはだんだん弱まり、数発繰りだそうとする右腕のパンチをエーキンはブロックし、笑う。


「ははは。この程度か?」


 エーキンは、力強く彼女の顔面を殴り、鼻からの出血を勢いよくさせた。ジナイーダの力は既に無く、無残に荒れた呼吸だけが彼女の口と鼻から漏れている。

 エーキンも荒れた息を整えた後で、立ち上がり、アルカージーの元へゆっくり近づいた。


「立てますか?」


「ああ」


 エーキンは手を差し伸べ、アルカージーを立たせようとする。

 アルカージーは激痛を発している足を押さえながらエーキンの手助けも合って立つことができ、溜息をついた。

 すると近くの地下駐車場出入り口からサイレンが響いてきた。

 彼達の脳裏に一気に安心感が包み始めていた。


「応援だ」


 2人の目の前で1台の警察車両が止まり、運転席から男が降りている。

 彼はホルスターから拳銃を構え、2人に告げる。


「動くな」


 エーキンは、彼の顔を見て安心し、息を整えながら、FSOのバッジを彼に見せる。


「安心したよ。エーキンだ! 来てくれたのかジョゴフ」


 示されたバッジを見た後で、ジョゴフは軽く笑みを浮かべた。


「ああ、そうだ。ジナイーダは?」


「そこにいる」


 そう言ってエーキンは、倒れているジナイーダの方へ視線を向けた。


「そうか。ありがとう。安心したよ」


 そう軽い礼を言った後で、ジョゴフはエーキンの頭部に向けて拳銃の引き金を引いた。放たれた弾丸がエーキンの額を貫く。彼はそのまま地下駐車場のコンクリート製の床に倒れる。血が灰色の床を染めていった。

 ジョゴフが向けている銃口は、アルカージーの方へと向いていた。彼はそのまま彼女に声をかける。


「おい、いつまで寝てるんだ? ジナ!?」


 ジナイーダは彼の声を聴いて、目を覚まし、ゆっくりと立ち上がった。


「んん……ご、ごめんなさい。兄さん」


「さて、このおっさんをどうするかだな」


 負傷し、何もできない状態のアルカージーは2人に命を乞う。


「やめてくれ……金なら払う。何でも用意してやる! だから、命だけは……」


 ジナイーダはゆっくりとアルカージーに近づいて、彼の腹に一発ジャブをくらわす。


「うっ」

 

腹に重い拳の一撃を受けたアルカージーは立つこともできず、そのまま倒れる。


「欲しいのはあなたが地獄に落ちるそれだけよ」


 そう言って、彼女は、倒れた彼の背広を掴み引きずり始める。


「よせ! な、何をする気だ!」


 彼女は答える事なく、そのままエレベーターの前まで彼を引きずった。

 エレベーターを停止延長させ、ジョゴフが乗ってきた車のトランクからC4爆弾がたくさんはっ着けられた防弾チョッキを彼に着せる。

 エレベーターの手すりにワイヤーロープをくくりつけ、彼のチョッキにその火薬性フラググレネードをチョッキに挟む。

 くくりつけていたワイヤーロープをそのままグレネードのピンに結ぶ。

 結び終えた後で、ジナイーダは彼の耳元で囁いた。


「エレベーターを呼んであげたわ。乗りたかったんでしょ?」


 必死に抵抗しようとするが左手と左足だけではなにもできない。

 動くのは口だけだった。


「くそ! 今に見てろ! 私の部下が、貴様を殺すぞ!」


 ジナイーダは停止ボタンを解除した後で、最高階である階のボタンを押し、エレベーターのドアを閉める。

 余裕があるのかエレベーターが昇り始めてもワイヤーロープは、そのままゆっくり、摩擦の音を出しながら、上がっていく。


「はなせ! くそ! 放せ!!!」


 ジナイーダはジョゴフが乗っていた警察車両に乗り込み、地獄と化した駐車場を後にしていく。


「さぁ、行きましょ。ジョゴフ捜査官?」


 ジョゴフはにっこりと笑顔を妹に向けた。


「ああ。それと一つだけ。俺はもう捜査官じゃない」


「そうね。兄さん」


「これで、捜査情報をメールに送る事もしなくていいしな。楽になった。さぁ、急ごう」


 彼女は車に乗り込み、シートベルトをする。


「少し飛ばすぞ」


「分かった」


 彼はアクセルを踏み、車を発進させる。サイレンを鳴らしながら警察車両は勢いよく、地下駐車場から出る。

 残ったのはアルカージーただ一人だった。



「くそっ!! くそ!! くそ!!」


 地獄へのカウントダウンは刻々とエレベーターのデジタル表示の数字がアルカージーに告げる。

 ワイヤーロープの張りが限界に達し、次の回数にエレベーターが到達したとのをデジタル数字盤が表示した。


 《19》 → 《20》



 何かが抜ける音がアルカージーの耳元へ響いていた。

 目を向けるとワイヤーとグレネードのピンがエレベーターのドアに引っ掛かりそのままエレベーターの開閉部に引っかかった。


「はっ」


 その瞬間、彼の心に恐怖と動悸が柔らかく止まる。荒い呼吸も一瞬にして停止した。

 真っ白い閃光と赤い光と火炎が、アルカージーを一瞬にして包み込む。数秒後、地下駐車場の出入り口から、黒と灰色の煙が大きく吐き出されていった。



 ジョゴフが運転する車で、ゆっくりとジナイーダは目をつむる。

 疲れたのか、殴られたせいなのか。ジョゴフには分からなかったが、それもどうでも良かった。2人の仕事は終わったのだから。

 彼は、アクセルを強く踏み、車に唸りを上げ、ロシアの車道を走行する。

 ジョゴフは夜のビル群を見つめながらハンドルを切った。


                         END

            


はい・いかがでしたか? 楽しんで頂けたら嬉しいです。今回はお題系で、色々ワードが出てきて難しかったですが楽しかったですよ。

まぁ、次は余裕を持って完成させたいですね。今回は締め切り1日前完成でしたので焦りました。


読んで頂きありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  前回の文頭・文末企画のときもそうでしたが、お題の使い方が今回もお上手でした。決め台詞はもちろんのこと、肉体派なのに猫のデッサンをするのが日課なジナイーダとか、爆弾の使い方とか、物語のアク…
[良い点] カオスなお題に苦しんだ者として言うと、決め台詞の使い方が巧いなと思いました。これだと、ジナイーダを男口調にする必要がなくなりますもんね。 [気になる点] 誤字脱字はちょっと気になります。 …
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