一歩
始まりは夜だった
気付いたら薄暗い小道を歩いていて、綺麗な星空を眺めていた
どこまでも広がる真っ黒な夜空を見ていると、
なんだか途方も無い気持ちになって
そんな私の目の前を、冷たい風が通り抜けて行きました
朝が来ない、なんてことはなくて
春風に揺れるカーテンの隙間から、光は差し込んでいた
『Have a nice day.』なんて言葉 空っぽ
いつも笑っている友達が眩しくて 劣等感
(中略)
今日も勝手に日は暮れる
たった一人の帰り道 夕日が私を照らして
一歩を踏み出そうとしたその先に、
私の形をしたカラスの死体が横たわっていた
一日の始まりが朝と決めたのは、一体、どこの誰なんだろうか
何かから逃げ出すように、星空が見える場所へと駆け出した
「明日が来なければいいのに」なんていう、決まり文句
――夜こそが、居場所だったのに
今日も星を眺めながら、
一歩、一歩 あの時のニヒリズムを
一歩、一歩 あの頃の劣等感を
一歩、一歩 明日への橋渡しにして
今日も、一歩、一歩
再び、朝がやってきて
タオルケットにくるまれた小さな夜を
「おやすみ」なんて言って寝かしつける
昼の月は、どこか寂しげだった