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裏幻想郷 ~黒死異変~  作者: ザ・ディル
幻想郷 ~序章~
9/50

8話 『黒』に染まった紅い幼き身体


 魔理沙は箒にまたがり速さを維持しながら紅魔館を目指していた。

 今はその手前にある妖精の湖を渡っている。

 だが──

 

 「──なんなのぜ、あれは!?」

 

 思わず声が出てしまう。常軌を逸する出来事が起こっていた。

 妖精の湖は紅魔館を見ることができる。魔理沙はなんとなく目的の場所である紅魔館を見た、それだけだった。

 紅魔館は既に半壊していた。そして半壊した理由は直感的に理解していた。

 

 ──まさか、レミリアが黒死病に感染して暴れているのか? ……いや、アイツは仮にも吸血鬼…………大丈夫だ。

 

 それでも魔理沙は冷静に状況を見ようとする。レミリアが無事では無いことを除いて。

 魔理沙の焦燥感から無意識に箒の速度は無意識に上昇する。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 場所は魔理沙の目指す場所。紅を主張し、吸血鬼が住まう(やかた)──紅魔館(こうまかん)。そこに魔理沙は到着した。

 幻想郷でも最強クラスである吸血鬼。しかし、この状況はソレが否定されるような情景が見られる。それは紅魔館が半壊していることだ。

 魔理沙は箒から()り、走る。

 

 「──くそ! やっぱ遅かったか!」

 

 そこにはレミリア、フラン、パチュリー・ノーレッジがいた。レミリア、フランは互いに血を流し、パチュリーは軽傷に見える。

 魔理沙はレミリアとフランの容態をしっかり見ようとして近づこうとするが──、

 

 「──魔理沙、今近づいては駄目よ」

 

 首もとに何か金属のようなモノが当たりピタッと行動を不能にされた。それを行える人物はいつでもナイフを所持して、時をも操れるヤツだ。

 

 「咲夜……か」

 

 「御名答。だからと言ってお嬢様たちには近づくことは許されないけれど」

 

 「なぜなんだぜ?」

 

 「あら、貴方もパチュリー様と同じ魔法使いだから解るはずなのだけど」

 「……!」

 

 咲夜に皮肉を言われるまでパチュリーが魔法陣を使ってることに気がつかないほど、焦っていた。

 それに気づき、冷静になる。

 

 「……すまなかったのぜ。パチュリーのは……レミリアたちの応急処置用の回復魔法か?」

 

 「えぇ、そうおっしゃってたわ。……魔理沙、この件について何か知ってるわね」

 

 「……あぁ、少しな。異変らしいぜ」

 

 「……そう。……急な事で悪いけれど、私の部屋まで来てくれるかしら」

 

 どうやら咲夜も相当焦っているらしい、そう感じた魔理沙は、

 

 「分かったぜ」

 

 そう言うのだった。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 「魔理沙、この異変について知っていること全部言って!」

 

 部屋に移るや否や咲夜は強く言い放つ。

 

 「……そう慌てんな。……今回の異変は相当なモノらしい。紫までも焦っている節がある」

 

 紫が焦る姿を見せる=幻想郷消滅が目前を顕す、と言っても過言ではない。だが、それは咲夜の不安を(あお)る結果的に繋がってしまい、

 

 「だったら余計なこと言うな! 早く言え!」

 

 咲夜は憤り激しく魔理沙に怒声(どせい)をあびせる。

 普段の咲夜ではここまで精神が不安定になることはあり得ない。精神が不安定になってしまった理由はレミリア、そしてフランがこの異変のせいで大ケガをしたからで間違いない。その八つ当たりを喰らっている。

 魔理沙は咲夜の心情を察して話し始める。

 

 「……この異変は幻想郷では黒死病が発症すると狂暴化する。それを利用しているヤツが異変を起こしていると紫が言ってたのぜ」

 

 「異変を解決するには?」

 

 咲夜は時間が惜しいと感じ、異変を直接解決しようとしてる。だから魔理沙は──

 「……咲夜、そう焦るな。いつものクールさはどこに消えたのぜ?」

 

 「今はっ……! それどころじゃない! お嬢様が、お嬢様が…………!」

 

 咲夜は涙を溢しながら言葉を紡ぐ。まるでレミリアが今にでも死ぬような言い方で、それはとても恐ろしいと咲夜が感じていて、結果的にレミリアが今にも死ぬかもと勝手に思っている。

 魔理沙にはその咲夜の考えを止める方法が無い。そこに――、

 

 「私がどうかしたの、咲夜」

 

 「──! お、お嬢様! ご無事で…………!」

 

 故にこの時レミリアが駆けつけたのは妙運だった。

 

 「あら、心配性なのね咲夜は。あの程度でくたばるワケないじゃない。魔理沙、異変について詳しく聞くわ」

 

 「申し訳ありません」

 「あぁ、ありがとなのぜ」

 

 レミリアの瞳は真剣そのものを物語っていた。いつもの余裕がある表情は無く、本来あるべき姿のような――吸血鬼さを取り戻してるように見える。

 

 「っと、それよりも私の現状を言った方が良さそうね」

 

 「おう、頼むぜ」

 

 レミリアはある程度察しているのか、手で髪を(なび)かせて話を始める。

 

 「分かったわ。私は……3日前に熱が出たわ。それが……今日になったら悪化、さらにお腹の部分から肌が黒くなっていったわ。可笑しいわよね、吸血鬼が病気に負けるなんて。まぁ、それでその黒の侵食が肘まで届いて少し焦ったわ……。……この後はあまり意識が無いわね」

 

 「ではお嬢様、ここからは私が。お嬢様様は急に『黒い球体』を纏って紅魔館を半壊。妹様とパチュリー様が駆けつけ、お嬢様を止めて下さった、こんなところかしら……ね」

 

 「……咲夜。お前はレミリアを止めようとしなかったのか?」

 

 咲夜は魔理沙に対して少しムッとしたが、すぐに何かを思いだし、少し憂鬱な顔をした。

 

 「……止めたかったわよ。でも能力が『黒い球体』には通用しなかったのよ」

 

 その発言に魔理沙は眉をひそめる。なぜなら──、

 

 「それはどういう意味なのぜ?」

 

 能力はどんな格上相手でも発動することは普通はできるはずなのだ。

 

 「そのままの意味よ。能力を使っても『黒い球体』が動くのよ……、時を止めてるのにね。しかも時止めのなかでも私を狙ってくる。ナイフを投げれば『黒い球体』に支配されてナイフが私を襲ってくる。あまりに強すぎて、手が出せなかった……」

 

 「そう……か」

 

 魔理沙は納得する。どんなに忠誠心があるヤツでもここまで不利な状況が(そろ)えば自分から突っ込んで(あるじ)を助けることができない。

 

 「そして私は妹様とパチュリー様にしか頼ることが出来なかったの」

 

 「仕方ないわよ。紅魔館の住人は向き不向きが激しいもの。それに今回の件は私が黒死病を発症してしまったのが原因。咲夜は何も悪い事をしてないわ」

 

 レミリアは咲夜に非は無いと言うがその事に納得しなかった咲夜は、

 

 「ですが、それでも私は何かの役に立ちたかった。それが今回の件での私の……ワガママでした」

 

 「それはワガママではないわ、咲夜。私に忠誠があるからこそ、そう想えるのよ。それだけで咲夜はメイドとして正しい考えをしてるのが分かるわよ。っと話が逸れてしまってすまない、魔理沙」

 

 先ほどの咲夜の憂鬱さは消え、少し喜んでいたように見える。

 そして話は異変の本題の部分に入る。

 

 「いや、問題ないぜ。だがそろそろ本題に入るぜ。私、というか紫たちがこの異変を解決したいと考えている。そのために『紫の約束』……だそうだ。これを言えば解るらしいが、分かるか?」

 

 「……あぁ、そういうことね、分かったわ。じゃあ私は咲夜にお願いしようかな。咲夜はこれから異変解決として魔理沙に同行してほしい。頼むわよ。もしもピンチがあったら、私のメイドとしてクールにピンチを切り抜きなさい! 咲夜は少し堅い部分があるから、今の言葉を忘れないでほしい」

 

 「……承知しました、お嬢様。では行きましょう魔理沙」

 

 「あぁ。それじゃあ、邪魔したな」

 

 こうして紅魔館ではこの異変を解決するために咲夜が参加することになった。

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