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裏幻想郷 ~黒死異変~  作者: ザ・ディル
幻想郷 ~序章~
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7話 永遠はいずこへ


 永遠亭に行くためには迷いの竹林を必ず通らなければない。迷いの竹林は多くの幻想郷の住人を迷いに誘う。それを回避するためにカイは妹紅(もこう)に案内をお願いして永遠亭(えいえんてい)まで案内してもらうように頼み、承諾(しょうだく)してもらった。

 

 「しっかし、お前も珍しい人間だよな」

 

 「いや、まだ人間かどうかも分かってはないんだけどなぁ……」

 

 「まぁ、お前の能力は人間が得ることの無いようなモノだもんな。しかもスペルカードルールだったらほぼ最強だからな」

 

 カイの能力──カードを司る程度の能力。一見弱くも思えるがスペルカードルールだけにのっとれば、最強なのは言うまでも無いほどだ。

 

 例えば、スペルカードを宣言するために必ずカードは必要である。だがカイの能力でカードを消されたらどうなるだろうか? 相手は何もすることができないまま負ける。まぁ、幾らか弱点はあるが、それを除いてもほぼ最強で間違いないだろう。

 因みに、相手のカードを消すには多くの時間がかかってしまうので、カイはほとんどしたことがない。

 

 「だけどさぁ、咲夜や早苗とかも人間だろ。それであんな能力はズルいよなぁ」

 

 「そういう欲しがりは誰でもあるもんだな……」

 

 「……もこたんもそう思ったことあるのか?」

 

 「…………お前までもこたん言うようになってきたのか」

 

 「あっ、ダメだったか? じゃあも妹紅に──」

 

 「いや、もこたんでいいさ。……っと、着いたぞ、永遠亭。私はそこらへんにいるから。用事済んだら探して呼んでくれ」

 

 「分かった。じゃあ行ってくる」

 

 「おう」

 

 こうして昔にお世話になった妹紅に一時の別れを告げた。

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 「ここに来るのも久しぶりだなぁ」

 

 カイがそう言いながらやって来たのは迷いの竹林にある永遠亭。昔の日本の文化を模倣(もほう)して──否、昔のままの綺麗(きれい)さを保っている。

 カイには何ヵ月かはお世話になった場所だ。

 それ故に妹紅とも(えん)があったのだ。

 

 「もしかして……カイ?」

 

 そう問いかけてきたのはオッドアイの瞳をもつ狂気の月の兎──鈴仙・優曇華院・イナバだ。

 

 「あぁ、久しぶりだな」

 

 「久しぶりですね。相変わらず妖夢にそっくりですね……。……今日はどうしたの?」

 

 「…………永林に……会わせて欲しい」

 

 「……分かったわ。今から案内するからついてきて」

 

 ウドンゲの後についていき、永林の部屋にたどり着く。

 

 「恐らく、ここにいると思うわ。……失礼します。師匠、『お客様』を連れてきました」

 

 ウドンゲの師匠──八意永林。他者から天才と呼ばれる程の天才。どっかの自称天才の⑨と違い、正真正銘の天才だ。

 

 「あら、カイじゃない。丁度暇を持て余していたところよ。まあ、座ってよ。ウドンゲもね」

 

 「ああ」

 「……!! ……では、御言葉に甘えて」

 

 なぜか、座ってもいいと永琳に言われただけで嬉しそうするウドンゲは、ソワソワしていた。

 

 「それで何をしにきたんだい?」

 

 当たり前のように用件を()くが、恐らく永林はカイがどんな内容を話すのかを知っている。それほどの予測が可能――故にそこが天才と呼ばれる所以(ゆえん)だろう。

 しかし、それでも改めて自身の耳から用件を聞きたいのだろう。

 

 「あぁ、大まかに2つ訊きたいことがある。1つは永林が本当に黒死病だったのかと言うことだ」

 

 「それは私がお答え─―」

 「いいのよウドンゲ。貴方は話を聞いておくだけで」

 

 「すみません!」

 

 「いや、謝るほどでもないけど……。それで、本当に黒死病を発症したかどうかだったわね。結論から言えば……発症したわよ」

 

 「──!?」

 

 カイは正直驚いていた。永林が本当に黒死病にかかるなんて考えてなかった。

 

 「何故、という顔をしているわね。私は黒死病にかかった。それ以上でもそれ以下でもないわ」

 

 「…………じゃあ1つ聞かせてもらうが、黒死病は幻想郷でかかった場合、見境なく暴れる症状が出る。もっとも、数日以上の月日が経たないとそうならないらしいが……、永林はその症状が出たのか?」

 

 「出てないわよ。その前に自分で治したからね」

 

 カイは永林が黒死病を自分で治せたことに関しては疑問はなかった。

 だが、カイには他に気になる部分があった。

 

 「そもそも……お前は黒死病にかからないんじゃないのか? というかどんな||病<<やまい>>《やまい》にも『普通』であればかからない、そのはずだが……」

 

 「あれはただの|病<<やまい>>では無いということよ。感染源は恐らく『裏』、よね」

 

 「──! 永林は裏幻想郷の存在を知っているのか?」

 

 カイは驚くしかない。というのも裏幻想郷を知っているのは紫とその式神である藍だけだと考えていたからだ。

 

 「勿論よ。だけど、あまり詳しくは知らない。話は少し戻るけど、貴方の反応から感染源はやはり『裏』で間違い無いのよね?」

 

 「あぁ、紫がそう言っていた。恐らく間違いはないだろう」

 

 「そう……か」

 

 永林は肩を落としていた。だが、カイはまだ疑問が解消できていない部分がある。

 それは、

 

 「……まだ永林が||何<<なん>>《なん》で黒死病にかかったのか聞いてないぞ」

 

 「それか……、簡単なことだ。『裏』からかかる病は本来は『虚』の部分だ。本来はかかることが無いが、何らかで『虚』の一部が現実になってしまった。『虚』は本来、現実と(まじ)わることは無い。だから私は黒死病にかかったのよ」

 

 「長いな。端的に言えば、イレギュラーが起きて黒死病にかかったってこと、か?」

 

 「そう捉えてもらって構わないわ」

 

 カイは永林が黒死病にかかったことにある程度納得し、次の質問に移る。

 

 「……分かった。じゃあ、2つ目だ。紫から言われたんだが『紫の約束』、だそうだ。俺は意味が分からないが……永林なら解るだろ」

 

 「分かるわよ。…………そうね、ウドンゲにしようかしら」

 

 「──? 師匠、それはどういうことでしょうか?」

 

 ウドンゲは先ほどまで部屋にいただけで、一言も話せずモジモジしていた。そしてようやく私の出番っと思ったのか心を弾ませて永林に笑顔を見せる。

 

 「貴方はこれから異変を解決してきて」

 

 「へっ?」

 

 ウドンゲはすぐに硬直する。今の会話でどうして異変解決の話になるのか分からなかったからだ。

 

 「……もう一度言うわ-」

 「──いっ、いえ! 大丈夫です。…………でも、今の会話から何故異変解決になるのですか?」

 

 「『紫の約束』が誰かに異変解決の協力をしてほしいってことだからね。それでウドンゲに異変解決の協力をしてもらいたい。……貴方にしかできないことよ」

 

 「えっ、私にしか……ですか! もちろんやりますよ!!」

 

 「……ありがとう」

 

 ウドンゲは上機嫌になっていた。師匠である永林から「貴方にしかできないことよ」などと言われれば永林のために全力を尽くすし、何よりも師匠からその言葉を出されては嬉しくないはずがない。

 

 「決まったな。俺と一緒に守矢神社まで来てくれ、ウドンゲ」

 

 「分かったわ。では師匠、行ってきます」

 

 「──いってらっしゃい」

 

 こうして永遠亭では、異変解決をするためにウドンゲを連れてくのだった。

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