6話 地獄は汝の場所なりや?
ここは地獄と呼ばれた場所。そこにある巨大な建物が地霊殿だ。かつて地獄と呼ばれていたが今は旧地獄と言われてる。どれほどの努力でここまで成し遂げたかは確かではないが、地霊殿の長である古明地さとりが尽力したのは確実である。
* * * * *
霊夢は守矢神社から博麗神社に戻った。そして博麗神社から地霊殿までは道なりで行ける。しかし、そこに行くまでは奥が永遠と、暗闇のようにしか見えない地下を降下しなければ地霊殿に辿り着くことができない。
そして、地霊殿にたどり着く。そのまま目的の部屋まで急いで進む。
そして扉を開けて部屋に入る。
「私になんのようかしら?」
そこにいたのはサードアイをもつ桃色の髪をして、おっとりとした容姿をしている妖怪──さとりだ。
霊夢は手っ取り早く済ませよそうとして、
「あんたなら心が読めるんだから分かるんじゃない?」
覚り妖怪である古明地さとりは、相手の心を読める。
霊夢はそれを知っている。だから、こんな言い方をした。
「生憎、心を読むのは非常時以外したくないのよね……」
さとりはそう言いながら目を落としつつ、まるで動物を撫でるようにサードアイを触る。
「……じゃあ単刀直入に言うわ。こいしの風邪は治った?」
「えぇ、そのはずよ。今はどこか遊びに言ってるけど……」
「完全に治ってるのよね? そもそも妖怪なのに病にかかるってのはオカシイと思わない?」
霊夢は若干だが焦りを感じていた。紫が霊夢に何も言わないことはいつも通りかもしれないが、紫には焦りや恐怖が垣間見れた。それが伝わった結果、霊夢も焦っている。その焦りという感情が話を上手く伝えにくいことに結び付いていた。
「何が言いたいの? ……やっぱり、心を読んでもいいかしら」
「……まぁ、いいわよ」
霊夢の言い方では伝わらない。それを実感したさとりは仕方無く霊夢の心を読む。
「……なるほどね。そこまでの異変が今、起きているのね。そしてここに来た要件はこいしが黒死病にかかったか否か、ね……。質問に答えるなら、黒死病なんかではないわ、持病よ」
「持病って……。今までそんなことは無かったはずよ」
「持病と言ってもその病にかかるのが十年周期だからね。知らなくても無理はないわ。で、異変を解決するために仲間が必要なのよね。できればこいしを誘いたいようだけど、こいしは今、どこへ遊びに行っているのかわからないわ。……だから、と言ってはなんだけど、代わりに私が行く。問題無いわね?」
「えぇ」
さとりが心を読みながら話すとテンポが速い会話……否、さとりの一方的な話が始まる。
「後、『紫の約束』の件も承諾したわ。しかし、紫は相当酷い状況に追い込まれてるようね。私にまで『紫の約束』を果たさせようとするなんてね……じゃあ、行きましょう、霊夢」
「やっぱあんたとの会話少し気持ち悪いわね」
「奇遇ね。私自身もそう思ってるわ。だから本当はあまり能力は使いたくないんだけどね。今回の異変は使わないと駄目みたいね……」
そう言いながら守矢神社へと移動するのだった。