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「春は怖い」/「いっそ一緒に死のうか」
「春は怖い」
春は怖い 色々な物が動き出す
車輪は錆びついているけれど
漕ぎ出せない船もあるけれど
傷だらけの心で人を見下し
治癒を計るなんて僕には出来やしないから
君は僕を傷つけて笑いながら淫靡に誘う
狂いから狂いへ 花が舞う
虫けらなんだ
傷は癒えても心は満たされない
だから正義の為に旗を掲げるんだ
「いっそ一緒に死のうか」
僕も君も辛くって
いっそ一緒に死のうかなんて
笑いながら話していた
追い詰められた小鹿の様に
僕ら逃げ惑うしか術を知らなくて
何も出来やしない
いつも不安で
結局人を傷付けるくらいならと
自傷行為ばかりしていた
少し二人に慣れてきた頃に
悪魔が嘲笑うようにカラスの群れを寄こす