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「うわごと」/「からの空から」
「うわごと」
オーバードーズで倒れたあの日
本当に死んでもいいと思っていた
いっそ死んじゃえばいいんだよって囁きが聞こえた
気付いた時にはベッドの上だった
死んでなくて残念だったけれど
看護師さんが良かったねって言う
生の喜びを感じた
何かうわごとを言っていたらしい
あれは夢心地 雲の上の快楽だった
「からの空から」
僕らは空っぽだった
青春と言う飴玉を舐め尽くし
何処に行けばいいのか分からなかった
虚実から虚数へ
からの空から 求めていた 何か
眺めていると呆然としてしまうくらいの
碧空に無を見た
もう帰る場所も墓所も無かった
サヨナラさ もう何も始まらない 空は空っぽだった




