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エピローグ

 ……以上が俺の生きてきた全てだ。


 そして、これからのことだ。

 恐らく俺はユリを助けに現れるだろう。ミズキとしての俺が追い付けなかったあの道路に。

 だがお前には間に合ってもらいたい。……いや、最悪間に合わなくても良いのかもしれない。

 俺がユリを助けられたとき、そのあとのことを頼みたいから。


 一番初めのミズキはユリを助けられなかった。だがタイムスリップの機会を得て蒼多射我になった。

 シャガは過去のユリを支え、助け、そして彼女の親友を助けるために犠牲になった。数年後、瑞樹を押し退け色樹菫になった。

 スミレはユリが生まれる前から努力を続け、将来困らないために準備をし続けた。ミズキやシャガがユリと一緒にいられるように、時には自分を蔑ろにしてでも、裏から支え続けた。

 瑞樹はシャガにはなれなかった。だが、残されたタイムマシンを研究し、何十年もかけ、全ての鍵となる遡行石を開発した。


 そんな四人の城井瑞樹の想いを託され、今俺はここにいて、お前もそこに存在する。

 だから、頼む。


 鷹さんはユリの全てをお前に託した。

 蛍さんはお前達が生まれる前からユリとミズキの幸せを願ってくれた。

 操おじいちゃんはお前がユリを幸せにするために様々な手助けをしてくれた。


 だから、本当に頼む。

 ユリを幸せにしてくれ。


 ユリの死の運命は俺が絶対に変えてみせる。だが、その先の未来に俺はいないかもしれない。

 ……ユリを幸せにしてやることは俺にはできないかもしれない。


 だから、お前が! 必ず!

 必ずユリを幸せにするんだ!!

 シャガでもなくスミレでもなくミズキであるお前が!

 高校が始まってからずっとユリの傍に居続け、想いを通わせたお前がユリを幸せにするんだ!


 頼むぞミズキ。お前だけなんだ。

 もう二度と遡行石なんて使わなくていい未来を作るのはお前だ。

 何かに困ったら色樹園を訪ねろ。俺の妻や娘、それに大切な息子達がお前を助けてくれるはずだから。

 罪悪感なんて感じなくていい、俺のことは気にしなくていい。シャガの犠牲もスミレの努力も、瑞樹の全てを掛けた人生も重荷にすることはない。そんなことをしている暇があるならユリを少しでも幸せにする努力をしろ。

 それが俺たちの何よりの願いだから。


 頼んだぞ。





                  紀野菫

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