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『妖精は朝に座っている』

作者:骨の和
最終エピソード掲載日:2026/01/03
町の外れで、小さな靴屋を営む老職人。
夜になると彼は理由もなく目を覚まし、
暗い工房で靴を縫う。
革の感触、針の重さ、指先の痛み――
身体はすべてを覚えているが、
朝になると、彼は何も覚えていない。
目覚めると、
昨日まで途中だった靴が完成している。
自分がやったのか、誰かが来たのか、
彼自身にもわからない。
妻や隣人、客たちは首をかしげ、
やがて誰かが冗談のように言う。
「妖精さんだな」
その言葉は、
原因でも説明でもない。
ただ、その場に置かれた名前だった。
老職人は否定しない。
否定する理由も、確かめる方法もない。
妖精という言葉があることで、
彼は職人であり続け、
町は静かに安心する。
この物語に、
羽のある妖精は出てこない。
出てくるのは、
忘れてしまう手と、
忘れてしまうことを許す言葉だけだ。
妖精は夜に靴を縫わない。
朝、完成した靴のそばに、
人が納得するための場所として、
そっと座っている。
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