9話 美波が異世界に召喚されて63日目 後半 最終話
***美波が異世界に召喚されて63日目 後半***
『ママァァァ美波に好きって言ええぇぇ―――!!』
「美波。今いるところに正座なさい」
『え?…え?』
「座った?」
『あ、はい。
ママ?どうしたの?猫妖精が何かした?
失敗したの?怒ってるよね?』
「そうね。怒っているわね」
「美波、流石にパパもあきれているよ」
『え?何?どうして?あきれるって何に?』
「最初に言っておきます。
パールちゃんとスノーちゃんはお仕事しっかりやってくれて
パールちゃんのお掃除は完璧。スノーちゃんは空豆と大福を従えるまでになりました。2匹ともとっても優秀です」
『良かった。二匹ともお仕事上手なんだよ』
「そうね」
『うん。……?なんでママ怒ってるの?』
「美波、パールちゃんが掃除してくれるからと、服は脱ぎっぱなし、物は置きっぱなし、食べた食器は放置。
神だろうが何だろうが、自分が出来ることは自分でする。ママはそう育てたはずよ!」
『………はい』
「スノーちゃんに、毎日私のご飯を一口ずつ食べさせて、味の再現を頼んでいたみたいね。」
『うん』
「美波あなた一口ずつで味が再現できるの?」
『私は、出来ないけどスノーならいけるかと』
「もう一口と言われても絶対あげなかったそうね」
『そっそれは…だって…ママの料理は美波のものだし…』
「それだけじゃないわね。美波…カツオ捕っても、魔獣を捕って来ても、果物を採取してきても全部スノーちゃん達、妖精に丸投げらしいわね」
『え…えっと………そうかも?』
「美波、幸い今回の年末年始のお休み長くて助かったわ。
しっかり美波の日頃の生活を見て、指摘していくから覚悟なさい」
『えぇぇぇぇぇぇ!!!』
「さぁ美波」
『はい』
「今すぐそちらに行きます」
『え待って、明日じゃないの?ほらスノーにも晩御飯の用意してもらってるでしょ』
「収納済みよ」
『ママたちの支度だって』
「帰宅後すぐに終わったわ」
「お土産の焼き菓子から、地方菓子、駄菓子までお土産もパパがしっかり用意してるよ」
『こっちはまだ用意は―――』
『パールたち妖精が完璧に準備できております』
『パール…』
「さぁ、行きましょう」
『ママ昨日まで尻込みしてたのにどうして…』
「あなたのお部屋を見るのが楽しみだわ」
『!!!!!』
「ガスの元栓よし。戸締り良し。こたつも消したし、大福と空豆も準備オッケーだよ」
「美波私達今冷蔵庫の前に居るの。よろしくね」
『なんかめちゃくちゃ準備良くない?』
「結構前から美波にせっつかれていたからね」
美波は呻きながらも覚悟を決めたのか。
『うぅぅぅぅ……じゃあ冷蔵庫開けて、荷物もってね』
そう言うと、冷蔵庫の中に黒い空間が出来ているのが視界に入った。
空豆と大福の唸り声が辺りに響く。
二匹ともキャリーバッグに入ってもらっておいて良かった。猫の唸り声が響く中、
その黒い空間を見ていると、だんだん空間が大きくなって冷蔵庫から溢れたと思ったら私達を包み込んだ。
ジェットコースターに乗った時みたいな風圧と浮遊感を感じとっさに目を瞑ってしまった。
しばらくして、閉じた瞼の向こうが明るくなっているのに気づき、目を開くと
長い銀髪の髪を風になびかせた女性が立っていた。
その女性は、感極まったように大きな目の紫水晶の瞳に涙をためて両手を広げ私たちに抱き着いてきた
「ママ!パパ!会いたかったよぉぉぉぉ!!」
その声はまごう事無き愛娘、美波の声
「美波…なの?」
「美波だよ!忘れたの!」
「忘れたも何も…黒髪がなんで銀髪になってんの?」
「あぁ、これ魔力焼けで色が抜けちゃったんだよ」
「美波?なんでそんな宝石みたいな目になってるの?」
「これはね~神格化した時に
宝石みたいにきれいな女神になりたいな~って
思ってたらこんな風になったの」
「その身長も?」
「そうそうほら私ちびだったから、どうせなら160㎝にはなりたいって思ってたの」
「お肌も綺麗になってるわね」
「うふふ、もち肌もちもちよ」
私たちに抱き着いて嬉しそうに笑う美波。
異世界転移させられたなんて意味の分からないこと言いながら
二ヶ月。
声だけで繋がっていた時間―――
黒髪黒目の153㎝の娘が、銀髪紫目のもち肌美人に変貌していても―――
私は、考えるより先に美波をぎゅっと抱きしめていた。
「無事に生活していて
美波が笑って言ってくれていて良かったわ」
「ママ―――」
私たちはお互いが抱きしめ合った。
それを見たパパが嬉しそうに二人を包み込むように抱きしめてくれてみんなで笑い合った。
「ほんとこういうの久しぶり」
「だね」
「ふふふしょっちゅうやってたもんね。ギュウって」
「えへへ、パパ、ママだーい好き」
「はいはい、私も大好きよ美波」
「パパも、美波もママも大好きだよ!二人とも愛してるぞ!」
離れていた2カ月、でもそんな長い時間も家族のハグであっという間に日常に戻る――。
そう。日常に。
私は美波の両肩をガッシっとつかみニッコリ笑う。
「さぁこれから美波の自室拝見行きましょう~~~」
「マッママ!!そんないきなりお宅訪問しなくても!ほら素敵な庭の案内も」
「あとで良いわ」
「美味しいイチゴも実ってるよ!ささハウスに!」
「ビタミン採るのは朝が一番よ。さあお部屋に行きましょう!」
「!!パパァァァ!!!助けて―――!!」
美波に助けを乞われた、娘大好きなパパ。私が視線をパパに向けてニッコリ笑うと、パパもへらっと笑い、美波に小声で言った。
「美波、異世界行ってもママが最強なの変わらないから諦めろ」
「そっそんなぁぁぁ!!!」
その叫び声は、まだきちんと確認していない異世界の空に、元気よく響き渡ったのだった。
(完)
読んで頂きありがとうございました✿本文は簡潔になります。
後日番外編をアップしたいと思います。
お付き合いいただきありがとうございました(●´ω`●)




