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6話 美波が異世界召喚されて49日目

***美波が異世界召喚されて49日目***


『ママ―――好きって言えぇぇぇ!!』


今日も私の頭には娘の声がこだまする。


「はいはい、好きよ」


カツオ事件以来、我が家には一つのルールが出来た。


冷蔵庫の上段、一段だけ異世界の食材を入れていいって決まり。

その決まりを作ってから、パパが嬉しそうに美波にお菓子を貢いでいる。


「美波、今日はパパ休みだったから家にいるからスピーカーで話してあげて」


『了解でーす!パパおつかれっス!』


「美波おつかれ~。どうだいそっちの生活は?楽しいかい?」


パパが嬉しそうに美波に返事をする。今日は二人の会話を聞きながら料理をしようと思う。


『楽しいよ~でもでも、ママとパパに会えないのは寂しー。年末年始の休みこっち来てくれるんでしょ』


「それなんだが、そっちに行っても俺たちじゃ話も出来ないだろう?」


『話?』


「何も言葉の通じないところに行くのは少し怖くて」


『じゃあ電気屋で売ってる翻訳機。イヤホン型とかあるでしょ。安い奴で良いので買ってきておいて。大丈夫言葉判るようにしてあげるから。

無問題でこっちに来てね』


「だけど猫たちも居るし…」


『会いたい!大福と空豆一緒に連れてきて!

――新鮮なカツオで異世界チュール作っておくね』


「……そうか。わかった。ママと一緒に実家には旅行に行くって言っとくよ」


(はい。パパ撃沈。異世界行きは決定だね――ハァ…)


『金塊どう?換金できた?』


「あぁ…とりあえず…出来たけど。大変だったぞ…今後は勘弁してくれ……ホント大変だったんだ…」


『えーーーそうなの?まあ出来たなら良かった。

―――そうそうパパワサビ好きでしょ?』


「おぉ、好きだぞ」


『本わさびっぽいものあるんだけど要る?』


「いる」


『冷蔵庫入れておくね。何個いる?』


「あぁ、ありがとう1個で十分だよ」


『遠慮しないで!いっぱい入れとく!』


「いやいっぱいいらないよ!」


『あとレンコンもあるんだけど要る?』


「レンコン好きだよ。ママも好きだよね」


「そうね」


「なんだい、美波は山手に居るのかい?」


『海だね』


「海の付近でレンコンにワサビ?」


『付近じゃなくて海の中』


「「………」」


パパと顔を見合わせて絶句する。

その拍子に、つい手にしていたサツマイモを足の上に落として悶絶する私に、パパはおろおろするばかり。

こちらは無言で完全にパニック状態なのに、娘の声だけが元気に続く。


『なんか海水の中で冷たい水が噴き出ている所があるんだけど、そこでワサビが取れるんだよ』


(……待って。海水? ワサビ?)


「へ…へー」


『それでーレンコンはその飛び出す水が溜まる所がボコボコしてて、そこに埋まっているんだよ。切ったら穴あるしあれはレンコン。絶対そうだと思う』


「美波…鑑定はしたのかい?」


『え?してないよ。でも食べても大丈夫って言ってた』


「言ってた…だれが?」


『ん?ポーション作り教えてくれた人魚のおばさんが』


「―――――人魚…おばさん…」


(まてまて、パパそこなの?今何個も突っ込みどころがあったでしょ!)


パパが必死に、何に驚けばいいのか、どこに突っ込めばいいのか葛藤している姿を、私ははっきりと見てしまった。

そうだよね。人魚って男のロマンだよね。そうだね。うん。

まぁ娘にはそこんとこ言えないと思いますけどね―――――


パパと美波のおかしな親子の会話をよそに

私はレンコンを使って何を作るか冷蔵庫を開けて思案し始めた。


***

レンコンを1㎝幅に切って片栗粉を付けてカリカリに焼いたものを、甘じょっぱいタレを絡めたレンコン焼き


『ママの料理最高!』


「シャキシャキした食感が美味しいね」


「ありがと、二人とも。でもこのレンコンが美味しいのよ。ありがとね美波」


『え――ママが喜んでくれるなら、人魚のおばさんにまたもらってくるね』


「じゃあ次もらった時は、おすそ分け分も作るわね」


『ほんと!おばさん喜ぶよ。

こっちに来て友達になった子も居てね、その子もこのレンコン好きなんだって』


「あら、お友達が出来たのね。良かったわね美波」


「異世界で一人じゃないのはパパも安心だよ」


「お友達も好きなら、今度はお友達に差し入れ出来る分も作るわね」


『喜ぶ―――。友達のマッテちゃんがね、

このレンコン食べるとお肌がきれいになるんだって言ってたから嬉しいな』


「ビタミンとかそういうのかい?」


「レンコンは根菜だから食物繊維も豊富よね。」


『違う違う、おばさんもマッテちゃんも若返るって言ってた』


「「ん?」」


『そう。こないだ言ってたポーションの材料だから効果抜群なんだよ』


ポーション…

この間言っていたポーションって


エリクサー!!!!


「「大丈夫じゃないぃぃぃぃいぃ!!」」


叫んだね。

今日は美波とパパの会話を聞いて居ようと思っていたのに…

夫婦二人そろってきれいにハモって叫んだね。


我が娘ながら……

最近のやらかし感、ちょっと加速しすぎじゃない?


読んで頂きありがとうございます✿次回24日12時更新です。

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