「可愛い衣装&ドキドキレッスン イチャイチャの真骨頂」
数日後、しおりは地下アイドルのレッスン場を再び訪れた。
今日はまどかから「衣装合わせをしてみませんか?」と誘いがあったのだ。
スタジオの鏡の前にずらりと並んだ可愛い衣装の数々に、しおりは「これ…どれも可愛い…!」と目を輝かせる。
レースのついたスカートや、ふわふわのフリルブラウスなど、自分には似合わないと思ってきたアイテムばかりだが、まどかは「しおりさん、似合うと思います!」と熱心に勧めてくる。
「え、でも私、ストリート系の服ばっかだから…似合わなかったらどうしよう」
しおりがそう呟くと、隣にいたメンバーのリナが「大丈夫大丈夫、背丈もちょうどいいし、きっと可愛いって!」と大げさに頷いてくれる。
半ば押し出されるようにして試着室に入ると、甘い系のトップスとフレアスカートを身に着けることになった。
「うわぁ…可愛いけど、恥ずかしい…」と鏡を見て赤面するしおりに、リナや他のメンバーが「きゃー!似合ってる!」とはしゃぎ声を上げる。
その歓声に、しおりもまんざらではない気分になり、「ありがとう…でもほんと、変じゃない?」と何度も確認してしまう。
そこへまどかが近づいてきて、しおりの肩にそっと手を置いた。
「全然変じゃないです。むしろ、もっと自信持ってください」
そう囁かれたとき、しおりはドキリとして心臓が高鳴った。
間近で見るまどかの瞳は、優しさと少しの緊張が混ざっている気がする。
「しおりさん、その衣装で踊ってみませんか?私は衣装の動きやすさを確認したいんです」
まどかが控えめに頼むので、しおりは「う、うん…わかった」と答え、音楽がかかるのを待つ。
曲がスタートすると、思いきりヒップホップの動きをするにはスカートがひらひら揺れすぎて、なんとも落ち着かない。
しかし、その新鮮さがかえってテンションを上げてくれる。
メンバーたちも一緒になって振り付けを合わせてくれ、スタジオ内はまるでミニライブのようだ。
「あはは、なんか楽しいね、この衣装!」としおりが笑うと、リナが「でしょ?やっぱり女の子らしい服って盛り上がるよ!」とウインクする。
踊り終えると、まどかがぱちぱちと拍手して「すごく映えますね、しおりさんが踊ってくれると」と声を弾ませる。
「その衣装、めちゃくちゃ似合うし、なによりダンスがもっと華やかに見えます」と彼女が顔を近づけて言うので、しおりは思わず頬を赤らめてしまう。
「そ、そうかな…ありがとう」
目が合ったまどかと数秒ほど見つめ合ってしまい、しおりは胸がざわつく。
周りのメンバーは「おー、何その空気感!」と冷やかしてくるが、しおりとまどかは苦笑しつつも否定はしない。
レッスン後、しおりは「こんなに可愛い女の子がいっぱいなのに、男性スタッフが少ない環境って最高かもしれない…」と内心で幸せをかみしめる。
とはいえ、自分が本当にアイドルとしてやっていけるのか、まだ先はわからない。 でも、今はその一歩一歩が楽しくて仕方がない。
まどかと一緒に衣装を片付けながら、しおりは「もっと練習して、みんなに負けないように頑張ろう」と小さく息を引き締めた。