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マイナス五十度のクーラー

作者: 鉄 竜太

家のクーラーの温度をどこまで下げられるか試したらマイナス五十度までいけたので、しばらくこのまま動かしてみようと思う。

クーラーの風があたるところは空気中の水分が一瞬で飽和状態になるので、白い雲のような道が現れ、しかもその水は一瞬にして凝固する。部屋の中で雪が降り始めた。

部屋の壁や天井がミシミシと怖い音をたてはじめる頃には僕は持っているだけの上着という上着を何枚も着込み、南極観測隊みたいな格好で布団に潜って震えていた。

少し前に淹れたコーヒーはカップの中でカチコチに凍っている。

しばらくすると、段々眠くなってきて、この部屋も逆に暖かいんじゃないかという気がしてきた。これはいわゆる「寝たら死ぬ」やつだ、とギリギリ残った理性でわかった。クーラーを止めなくては。

クーラーのリモコンは幸いにも手の届く場所に置いてあった。僕は震える手で置いてあるリモコンの停止ボタンを押すも、反応しない。リモコンがクーラーと逆を向いているから信号が届かないのである。

それではと思ってリモコンを持ち上げようとするが、持ち上がらない。凍って床とくっついている。

「冗談じゃない。こんな時に働かないでどこで働くんだお前は」と、僕は歯をガタガタさせながら言って、リモコンを床から剥がそうと力一杯引っ張ったら、プラスチックが砕ける音と共に電池が宙を舞うのを見た。支えが無くなり勢いよく枕に後頭部を打ち付けた僕はいよいよ気絶して……




……夢か。そうだ僕は風邪をひいて、熱さまシートを額に貼って、氷枕まで用意して寝ていたんだ。クーラーも二十七度。普通だ。

よかったよかった。


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