7話「思い込み」
ナツメは裏切らない。絶対に。そう思い込んでいた。
思い込みは時に絶望に変わる、
それを実感したんだ。
私はこの場所で…たった1人生きてきた。外の世界なんて知らず。味方もいない。そんな世界で。だから普通の女の子なんて知らない。でも……それでもこれより苦しいことはないと思うから….何があっても普通の子でいたいってこれからもずっと願い続けるよ、私は。
そして今日も実験が続く
「おーい。No.76実験だ。ナツはここで待ってろよ〜、後で別のやつが飯持ってくるから」
「あぁ…」
「そういえばナツってあのボタン使ったのか?電撃スイッチ」
「え…?電撃スイッチ?ナツメ?」
「使ってないよ。か….そいつ俺に何もしてこなかったし。早く実験行けよ….」
お互い関係はバレてはいけない。
だからわたしはナツじゃなくてナツメって呼ぶしナツも琥珀とは呼ばない
「つーかさぁ?バケモノの分際で俺を呼び捨てにすんな。せめてナツメ様とかつかなんなら名前呼ぶなよ。ご主人様とでもよべ。あーそれもなんか嫌だな。まぁ考えとくワ」
いや….仮に目の前に職員さんがいるからいつもの通りにできないからってここまで….え?それにボタン持ってるだなんて初耳だよ?え?ナツメ….?
「ボタンって…何よ。うぅ」
耐えきれず涙を流す
「私さ、あなたが仕事でイヤイヤ来てて私のこと大嫌いってわかってるけどそれでも…..私は話し相手が欲しかったのに…」
「俺がオメェの話し相手?するわけねぇじゃん。馬鹿じゃねぇの?」
「ナツメは非常だなぁ。まぁ行くぞバケモノ。これがお前の現実。運命だ」
ナツメside
バレちゃいけない。最近クロウからのLINEでこう来てたんだ
「ナツメ。お前実験動物と馴れ合ってないか?あの化け物と馴れ合ってる可能性があるっていろんなやつから言われるんだがお前のスマホに試しに盗聴機能をつけたら馴れ合ってる喋り声が聞こえるんだが??」
「親父…いや。クロウ様そんなことないっすよ。あれは化け物を騙してるだけ。一時の幸せを与えて不幸のどん底にさらに落としてやろうって思って」
「そうか。ならいいんだが。もうやめろそれ。」
「っ…わかりました」
俺は管理されてる。それは琥珀も同じ。だから俺は琥珀のためにも琥珀が苦しまないためにも突き放すしかなかった。俺のことを嫌いになれば….大丈夫なはず。ごめんな琥珀
「待てよ職員さん?(ポチッ)」
「うぅ!ああああああ!うあ。やめ」
「これでわかっただろ?あの時間は偽物。俺はお前が大っ嫌いだ。」
「ナツ….メ…」
「ナツメやりすぎ笑。こいつと一緒にいなきゃいけねぇのお前だろwんなことしたらお前気まずくなるんじゃねぇのw」
「いいんですよ」
「そうか、じゃあなナツメ」
「はい」
琥珀本当にごめんな
ただ演技をするナツメとその演技が伝わらない琥珀、
2人の気持ちは少しずつ.....ズレていってしまう、