3話「救世主の事情」
言った通り私を受け入れてくれた救世主「ナツメ」
彼は彼なりの事情を抱えているらしく力のことを話してくれたからと私にも彼の事情を教えてくれた
その事情とは.....?
「ナツメ….うぅ、うわぁぁぁん!もう嫌だ。苦しい!化け物なんて嫌だ、普通の女の子になりたい。普通になる努力だってしてるのに」
と今まで誰にも言えなかった悩み。願いをぶちまけた。ナツメはただ黙って背中をさすってくれた。
「ナツメェ、ナツって呼んでいい?」
「勝手にしろ琥珀。今日は俺研究員がここに来るまででらんねぇからいくらでも話し相手してやるから。とりあえず落ち着け」
綺麗な髪と整った顔をしているナツはこんなところで私の相手をするほどの人じゃない。それはもちろんいい意味で。私の御世話なんて汚れ仕事みたいなもの。こんな化け物のお世話だなんて。なんでナツのお父さんはナツが嫌いなんだろう。それにナツも17なら嫌われていても家を出て一人暮らしだってできるはずなのに。
「そういえば琥珀って16なんだよな?」
「多分そうだけど」
「の割にはチビじゃね?クマのぬいぐるみ持ってるし」
「しょうがないじゃん….!この子しかお喋りできる子いなかったし。今じゃあ何も出せないけど多分無意識に防衛本能が働いて首輪があろうがなんとしても心を支えるものを出さなきゃって必死だったんだと思う。だから首輪をしてても限界を超えてこの子を出した。職員さんがくるときは音がするから力でこの子も隠すの。身長は多分実験か力のせいだと思う….力だとするならそう言うなんか?栄養っていうの?力にちょっと持ってかれてるみたいな。発動させる力的な感じだと思う」
「あー。うん。悪かったわ」
なんかすごい哀れみの目を向けられた気がするけどまぁいいか
「ナツ…私実験怖い。何するの?明日は」
「俺もあんま聞いてないんだよ。俺は所詮お前のお世話係みたいなもので実験とは無関係だからな、多分盗み聞きしたことあんだけど目的としてはお前みてーのを量産するってことだな」
「こういう力を人工的に作るってこと?」
「多分そう」
ただでさえ今これだけ苦しいのにこんなに苦しむ人が増えるってこと?そんなの、嫌だ。苦しんで欲しいわけじゃない。なんで見知らぬ誰かを苦しめるために私が苦しまなければいけないの。嫌だよ。神様。助けて。ナツも救ってあげて。
「ナツはさ。なんでお父さんから離れないの?もう17なら離れられるでしょう?」
「俺も…管理されてるから」
「え?」
「お前が秘密を打ち明けてくれたんだ。俺もいう。」ナツメside
俺は自由奔放な性格でそれ故に親父が俺がいないところでこっそり母さんや実験施設の人たちと話しているのが聞こえた。それは実験内容と俺を後継にするというもの。実験内容はすごく残虐非道なものだった。その実験が多分琥珀の実験だった。俺はそれを聞いて実験所の後継をするつもりはなくなった。最初は人を救うための実験と聞いて憧れてたのにそんな実験だと知って反発した。弟にも話した。でも弟は親父たちと同じ思考の持ち主だった。俺だけが反発したところで勝てるわけもなかった。俺はちょっと不良気味の頃があったからケンカは強かった。でも大人数名の力じゃあ流石に勝てなくて薬で眠らされた後管理するために俺が気に入ってたピアスと似た形のGPSを作った。それは親父がボタンを押せば電撃を発動させられるもの。
「それそういうものだったんだ小さいね」
「多分ぱっと見装置に見えないのは多分俺が日常生活を普通に送ってるから周りの人目線で変に見えないようにするためだろうね首輪とか明らかに装置をつけてたら絶対通報とかされるだろうし」
「あー、なるほどね、でもそのピアス簡単に取れそうだけど」
「それが無理なんだよ。なんでかわかんねぇけど。うちの研究所なんでかわかんない原理大量にあるからな。」
「確かに、この首輪の原理もよくわからない。私の力普通じゃあり得ないものなのにかなり制限されてるもん。。完全にではないから羽を隠したりはできるけどね。」
俺はその能力が元はどの範囲までなのか今はどの範囲なのか気になって聞いてみた
「うーん。ある程度のことはできる。人消したりもできる。だって私が幽閉された理由は虐められて怒って消しちゃったからだもん。存在ごと消したわけじゃないから一瞬でバレたけど。
今じゃほとんど何もできない。心から本気で望んでなおかつ大規模なこともできない。自分の意思では発動できない。」
とさらっと人を消したと恐ろしいこと言った気がしたけどそんなことを思っていると察されたのかすぐに訂正?的なことをされた
「消しちゃったのは本当だけどちゃんと戻したよ!?研究所の人に私に関する記憶を消せって言われてそれは消しちゃったままだけど」
記憶の消去。首輪さえなければそんなことだってできることを意味している。つまり非人道的なことだろうとなんだろうとその力を持ってしまえば願うだけでできてしまう。そんな恐ろしくも魅力的な力だった。