9
カク君たちを送ってから一人でデモ曲を聞いていた。
ふと時計を見たらママが出てからもう2時間は過ぎてる。何を買ってるんだろう。そう思いながら、自分の部屋に入って歌の練習をした。
腹がすいたので部屋を出たら、ママはもう帰っていて台所でご飯作ってる。
「歌い終った?」
僕をみてママは微笑みながら言った。
「ご飯食べてからまた歌うの」台所のテーブル前に坐って聞いた。「何作ってるの?」
「シチューだよ。」
「ママの手作りなの?」驚いた。ママの手作りなんてめったにたべられないから。
「まさか、もちろんインスタント。」
それもそだね、手作りなはずないんだもんね。ちょっぴりがっかり。
「何の曲歌ってるの?」
「僕部活入ったって言ってたよね」
「うん」
「今週の日曜日にオーディションがあって、その曲の練習」
「すごいね、頑張って」
「必死にがんばるつもりだよ」
僕はご飯をさっさと済ませて、また部屋にこもった。
それからずっと歌い続けた。これでばっちりだと思ったところで今日はやめた。ベッドの上に転がって暇してる時、メールが来た。ガク君からだ。
歌の練習の具合について聞いた。やはりリーダーは違うと思う。
友達からメールもらえるなんて、うれしいものだね。初めてそう思うようになった。
読んでいただきありがとうございます。