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ちょっと変わった話を差し上げます  作者: 武佐井 玄
赤信号を無視しないでください
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再び目を開けてみると時間はもう23時。ママはまだ帰ってこない。財布から千円抜き取ってコンビニへ向かう。


住宅街だから、夜になると静まり返って寂しい。人通りも少ない。

 

コンビニは百メートル先にあるんだけど、交差点を一つ渡らなければならない。

 

交差点に着いて、すぐ向こう側にあるコンビニに目をやった。今日は何を買おう?


お茶とおにぎりとお菓子でいいっか。それにしても、なかなか青信号にならないなあ。

 

左右を見回したが信号待ちの車などなかった。こんな時間に無視しでも大丈夫だろう。そう決めて歩道を走り渡った。

 

コンビニから出て家に向かうと、また赤信号。人も車もないし無視しよう。

 

家に戻ってコンビニで買った食べ物を食べながら、今日の部活の事を思いだした。楽しかった。

 

ふと、テレビに気付くといつの間にか料理番組をやってる。こんな時間に料理番組?変だなと思いながら見る。

 

「今日はコンビニのおにぎりをさらにおいしく食べられるレシピの紹介をしますね。まずは、、、」

 

料理番組を見終えて、自分も作ってみようと決心した。前々からママにうちの台所もIHにすればいいのに。今時ガスを使うなんて、危険だといつも言ってるけどママはいつもガスの方が料理もおいしくなると一点張り。

 

ガスコンロの前に立って、火をつけようとしたんだけど、ビビビって音がするだけ。もう一回強く捻ってみたとたん、急なめまいに襲われそのまま倒れた。

 

「ススム、ススム!」

 

ママの声が聞こえる。重たい瞼をゆっくり開けてみると、ママの顔が見えた。

 

「ママ。」

 

「ススム、大丈夫?」


「う、うん」


「ちょっと待ってね。すぐお医者さんを呼んでくる」


手で見尻の涙を拭いそのまま出て行った。なぜだろう。

 

ゆっくり周りを見回したら、どうやら僕は今病院にいるみたい。真っ白なインテリア、いかにも病院風。

 

しばらくしてママはお医者さんを連れて入ってきた。僕に軽い診査を施して「もう大丈夫ですよ。ゆっくり休めれば明日は退院できます」とママに言って出て行った。


お医者さんが出て行くのを見てママはベッドの傍に坐った。


「台所で倒れたんだよ。いくら呼んでも反応がないから、救急車を呼んだの」

 

優しく僕の頭を撫でながらママはそう言った。

 

どうやら、僕は料理の途中に気絶したらしい。


それより、今日は二回目もめまいした。どうしてだろう。まさか貧血かな。

 

「明日からは学校へ戻れるから、今日はゆっくりやすんでて」


僕は力なくうなずいた。


「それに、これからは料理はしないこと」


「なんで?」


「ガス、つけっぱなしで、倒れたのよ。大変な事故になったかもしれないよ」


「ごめんなさい」


「もう大丈夫だから」


ママのほっとした顔を見ると、僕の心も安心できた。


よろしくお願いします!

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