2
一緒に教室に入ったらマイとアヤが面白そうな顔をしてこっちを見ている。見なかったふりをして自分の席に座った。
「どうだった?」席にすわるなり、マイとアヤが寄ってきて状況を聞いた。
「何もなかったよ」
「本当なの?」マイが信じられないように言った。
「本当だってば」
「手繋いだりしなかった?」
マイとアヤは興味津々だ。
どうしようと思った時に、チャイムがなった。
「時間だよ。早く席に戻って。さあ、早く、早く」
つまらなさそうにマイとアヤが自分の席に戻った。
休憩時間にもいろいろと聞かれるのに間違いないだよね。ごまかしできるなにか別の話題があればいいんだけど。
先生が入ってきたので、教科書とノートを取り出した。お父さんからもらった万年筆を使おう。
うそ!インクがないじゃないの?お父さんったら、一緒にインクも買ってくれればよかったのに。お昼のときに買いに行こう。
一時間目が終ったら、マイとアヤがすぐ私の傍に来た。
「ね、ね。何を話してたの?」マイが尋ねた。
「そうね、、、来週テストがあるからちゃんと復習をしなさいって」マイとアヤをみてにこにこした。「先生がさっき話したじゃないの。」
「そんな話じゃないよ。もう~しらばくれて」アヤがオサムのほうをちらりと見て続けた。「今朝、オサムと何を話したかだよ」
「本当になにも話してなかったよ」
「本当?」マイが聞いた。
「本当に本当。オサムは何か話かけてたけど、全部聞き流した」
「え?もったいない」アヤが残念そうな顔をしている。
「あっ、聞きたいんことがあるんだけど、万年筆用のインクいない?」
「ないね」マイが言った。
「あたしにもないよ。ていうか、このクラスで万年筆使ってる人、いるの?」
「そうだよね」がっかり。早く使いたいけど。
「校内の売店にはないかな?」マイが何気なく言い出した。
「そんなもん、ないと思うけど」アヤが答えた。
「でも、私行ってみる」そう言って立ち上がった。
「でももうすぐ授業始まるよ」マイが時計を見ていった。
「走っていくから、大丈夫」
「廊下は走っちゃいけないよ」
教室を飛び出していく私に向かってマイが叫んだ。
「わかってるわよ」
こういい捨てながらも、走り続けた。
しかし、マヤの言ったとおりだ。売店の優しいおばあさんはいかにも残念そうにないと言ってくれた。
教室に戻ると、マイとアヤが同時にこっちを振り向いた。買った?と問う顔をしている。かぶりをふって自分の席に戻った。
机の中から本を取り出そうとしたら、指先を刺された。手をには画鋲が人差し指に刺された。ぴくっとしただけで以外と痛くはなかった。
ゆっくり画鋲を抜いて机の上においた。誰が私の机の上にこんなものを置いたかな、と思っていると、人差し指が刺された傷口から血が滴り落ちた。
一滴、二滴とゆっくり机の上に敷いたノートの上に落ちる。
赤い血。小さい頃から赤色がすきだった。見つめると夢見心地になってしまう気持ちが好きだ。
ノートの上に落ちて徐々に広がっていく血を見つめながらある思いが頭の中をよぎった。血をインク代わりに使えるじゃない?
面白かったと思っていただけましたら、広告下の【☆☆☆☆☆】より評価していただけましたら、創作活動の大きな励みになります!