15
朝、目を覚めたら気分は優れていた。ママが買ってくれた特効薬のおかげだろう。
明日はオーディションの日、今日はたっぷり練習しないと。
土曜日なので、ママは朝寝坊している。
僕は冷蔵庫にあったサンドイッチを食べた。
ちょうど食べ終わったところへ、カク君が電話をかけてきた。
僕の体調を聞いた。大丈夫と言って安心させ、出発した。
約束のスタジオについた。
リーダらしく、カク君人りが先にきて待っていた。
まだ松葉杖を使っている僕が心配らしく、優しく話しかけてきた。
「足はまだのようだね」
「うん、あとに2,3日はかかるって医者が言ってた」
「今日一日中練習するつもりなんだけど、大丈夫?」
「大丈夫、声はきいている通りもうすっかり治ったから」
「無理して明日のオークションに支障がでたら元も子もない状態になるんだよ」
「うん、体の調子が悪くなったら教えるから、心配しないで」
こんなやり取りをしているとほかのメンバーも来たので、さっそく練習を開始した。
練習は思った以上に順調だった。
そのせいか、カク君の顔には花が咲いた。
「さぁ、もうご飯の時間なんだから、ちょっと休もう」
僕らは一緒に定食屋に入った。
「好きな物を食べて、僕がおごるから」
カク君がよっぽど気分がいいらしい。
和気あいあいな雰囲気の中でごはんを食べてから、午後の練習に取り込んだ。
夜まで練習しようとしたんだけど、明日は100%のコンディションで臨むために、早く切り上げた。
家に帰ったら、晩ご飯の準備はもうてきていた。
「今日の練習、どうだった?」
ママが問いかけてきた。
「よくできたと思うよ」
「明日のオーディションが楽しみだね」
「うん、なんだかドキドキしてきた」
「うちで歌手が現れるとは、不思議だね」
「まだ、決まったわけじゃないんだから。期待したぶん、かなえなかった時の失望感も大きいんだから」
「あらでも、期待したぶん、かなった時の喜悦感も大きいんじゃない?あんたは昔からネガティブなところがあるから、これを際に直しておきなさいよ」
結構簡単に言うけど、性格はそうやすやすと変えられるものではない。
ママの説教が始まりそうなので、僕はさっそく「ごちそうさま」と言って自分の部屋に入った。
「明日何時に起こせばいい?」
「7時~」
でも、心配してくれる人はママしかないことはちゃんとわかっている。
スマホにはカク君からのメッセージが残っていた。
喉を大事にして休んでなさいって。
今日はこの間見たいに熱いから窓を開けるわけにはいかないので、扇風機を使うことにした。
扇風機の風が自分に当たらないように方向を固定して、寝る準備をした。
明日のオーディションが楽しみ。
時計を見たら針が10時をさした。寝るにはまだ早い時間なんだけど、明日のために寝ることにした。
オーディションにうかりますようにと祈りをした。
応援よろしくお願いします!