10
昨日の夜、久しぶりに早くねたから、いつもよりずっと早く起きてしまった。
ジュースを飲もうと厨房に入った。ママはまだ起きていない。
それもそうだ。今は朝の5時。起きるには早すぎる。
こんなに余裕のある朝なんて、生まれて始めてだ。
厨房の椅子に座ってスマホをみていたら、いつの間にかママが入ってきた。
「あら!今日はどうしたの?こんなにも早く起きるなんて、体が痛い?それとも?」
「ただ早く起きただけだよ、そんなに驚く必要ないでしょう」
「そりゃ驚くわよ。早く起きたんだから聞くけど、何が食べたい?」
「うん~豚骨ラーメン!」
「朝っぱらから豚骨ラーメン食べる人なんていないよ」
「食べたいものと言えといったのはママだよ」
「だから朝ごはんにふさわしい食べ物だよ」
ママの朝ごはんにふさわしい食べ物とはやっぱり食パンだ。言いたくないけど、ほかの食べ物を言っても却下されるのは目に見える。
「食パン」
消え入りそうな声で僕は言った。
ママは急に表情が明るくなった。
「そうよね、やっぱり朝は食パンだよね」
ただ簡単に作れるだけでしょう。
でも正直、ママの作った食パンをいくら食べても飽きないのは確かだ。
ごはんを食べ終わってから余裕をもって家を出た。
なんだか、自分がとても熱心な学生になったような気分で、浮かれている。
よろしくお願いします!