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第8話 その頃『白銀の翼』は(2)(追放者side)


「今俺は最高に気分がいい! 小躍りしたいくらいにな!!」


「上機嫌っすね〜ジュダルさん」


「今の俺らなら楽勝っすよ、楽勝!」


 装備を新調したジュダル達『白銀の翼』は討伐クエストの為、砂漠地帯に足を運んでいた。


 討伐対象はサンドスネーク、

 蛇を巨大化させたような姿のモンスターだ。

 長い身体を利用した攻撃は威力も高く、熟練の冒険者でも油断は出来ない。


「にしても厄介払い出来てよかったっすね〜、マキナの奴うるさくてしょうがなかったっすもん」


「終いには「俺がいないと『白銀の翼』は崩壊する」だもんな、一生分笑ったぜ」


「辞めさせられたくないからってあんなバレバレの嘘付くかねぇ普通」


 新品の武器を手に持ち、ゲラゲラ笑う団員達。

 この場にマキナを心配する者は誰1人としていない。


 歩いて10分、団員1人がモンスターを発見した。


「――ジュダルさん、サンドリザードです!」


 サンドリザードはトカゲの姿をした低級モンスター、砂漠地帯では至る所に棲息している。

 目の前には3体。


「よし、軽く捻ってこい!」


 ジュダルが指示を出すと3人の団員が走り出す。


 ショートソード、

 メイス、

 トマホーク、


 団員がそれぞれの武器を用い攻撃を繰り出す。

 3匹のサンドリザードは一撃で討伐された。


 しかし……。

 バキ、バキ、バキン!!


 団員の使った武器が音を立てて壊れた。


「あ、あれ!?」


「そんな!?」


「いつもの感じで使っただけなのに……?」


「――何してんだテメェら!! 買ったばかりの武器を壊すやつがあるか!!!!」


 ジュダルの怒号が飛ぶ。

 以前まで彼らはマキナの高威力と耐久力を兼ね備えた武器を使用していた。そのため普段から力任せな使い方になり、それが知らぬ間に身に付いてしまったのだ。


 マキナの武器でも無い限り、使ってもまた直ぐに壊してしまうだろう。


「もういい、お前らは帰ったら当分雑用決定だ!」


「そんな! どうか御慈悲を!!」


「やかましい! ……ん??」


 ジュダルの近くの砂の地面が蠢く。

 そして勢いよく巨大な蛇の頭が現れた!!


 ジャアアアアアアア!!!!

 サンドスネーク、討伐対象のモンスターだ。

 地面から全身を出すと大口を開きながら『白銀の翼』を見下ろした。


「きやがったなぁ本命が!」


 ジュダルはクリムゾンを両手に持ち、サンドスネークを見据える。


「お前ら、俺が見本を見せてやる!」


「はい!!」


 残りの団員達も各自武器を構える

 『白銀の翼』は大人数で高難度のクエストに挑む形をとっているので、まだ戦える者は多い。


 ジュダルは走り出し、跳躍する。

 狙いはサンドスネークの頭だ。


「これが俺の力だ! 刮目しろ!!」


 そしてクリムゾンを乱暴に突き立てる。


 だが、


 パリィン!


「げぇ!?」


 皇炎剣クリムゾンは、真ん中からぽっきりと折れた。

 先端部が回転しながら宙を舞うと、遠くの方に突き刺さった。


 『白銀の翼』の中で1番武器の扱いが悪いのはダントツでジュダルだった。

 性能が特に秀でていたイフリートを乱雑に振り回していれば大体の敵は何とかなったからだ。


 そのため肝心の剣の腕はまるで身に付いていない。


「はああああん!? ちょっと待ってちょっと待って!?」


 焦るジュダル、そんな彼の説得もモンスターには伝わらない。


 サンドスネークの丸太のような尻尾が無慈悲にジュダルに命中する。


「ぐぴ」


 吹っ飛ばされるジュダル、そして泡を吹いて気絶した。


「ジュダルさんがやられたああ!?!?」


「に、逃げろおおおおおお!?!?」


 リーダーが一撃で倒されパニックに陥った団員達は蜘蛛の子を散らすように散り散りに逃げた。


 武闘派ギルド『白銀の翼』屈辱の依頼失敗。

 しかしこれは崩壊の始まりに過ぎなかった……。

 

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[一言] ふむ 腕がないのに、良い武器でかさ増しされてたのかぁ
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