第73話 マキナ対ガヴェイン
◇
火山に吹き荒れる疾風、それは狼の牙の如き双剣――双牙剣オルトロスによるものだった。
「はああああ!!」
「は、はやい、ぐぁ!?」
アリアの怒涛の斬撃に『鉄血の獅子』は翻弄される。
双剣の強みを活かし、片方で防御しつつ攻撃を繰り出す。
普段はおちゃらけているが、やるときはやる子だ。
「やっぱりアタシにはリンドヴルムが1番だわ!」
竜撃槍リンドヴルムを振り回し大立ち回りするステラ。
竜の如き重い一撃が『鉄血の獅子』を次々薙ぎ倒していく。
「ほらほらどいたどいたぁ!」
「調子が良さそうだな、ステラ」
「もちろん、このステラ様はいつでも絶好調なんだから!」
「私も、負けてはいられんな……!」
ベローネは退魔剣ストームブリンガーを軽々と振るいながら言った。
あらゆる魔法を無効化出来るこの武器は、大剣としてのポテンシャルも高い。
いくら鎧や武器で身を守っても、ストームブリンガーは薄氷の如く砕いていく。
「おかしい、たった3人なのに……!」
「何で倒せないんだよ!」
「ガヴェイン様……ガヴェイン様はどうしたんだ!?」
「お助け下さい、ガヴェイン様!」
口々に呟く『鉄血の獅子』。
「多分、アンタらより大変な目にあってるわよ」
「君たちはまだマシかも知れん」
「なんならマー兄、テンション上がってたもんね」
アリア、ステラ、ベローネは能天気に話す。
そんな中、炎魔剣イフリートとバルトロの銃剣による剣戟が火山に響き渡る。
マキナはいたって冷静な表情だが、ガヴェインの顔には終始汗が伝っていた。
「ク、クソッ、何なんだ貴様は、真っ先に私のところに来て!?」
「その武器、最強なんだよな?」
「な、何を……?」
マキナは鍔迫り合いのまま、問いかける。
「俺は自分の魔導武器が最強だって信じてる、だけどお前はその銃剣が最強だと言った」
「そうだ、それは変わらない事実なのだ!」
「おかしいよな、それ?」
マキナはイフリートの火力を強める。
「最強って言うのはこの世界で1番強いって意味だ、それなのに今この場に最強の武器が2つある」
ガヴェインがジリジリと後退りする。
「俺、モヤモヤしたまま帰りたくないんだよ。この矛盾は絶対に取り払いたい。ヒヒイロカネも大事だけど、これも白黒はっきりさせたい」
マキナはガヴェインを遠くに弾き飛ばすと、イフリートの切っ先を突き付ける。
「俺のイフリート、お前のバルトロの銃剣、どちらが最強の武器か、今この場で決める!」
「ほざけぇ!!」
――ドキュゥン!
――ドキュゥン!
――ドキュゥン!
ガヴェインはバルトロの銃剣を銃に変形させ発砲する。
が、マキナは炎の斬撃で防御する。
「何だと……!?」
「おおおおおおおお!!」
炎を纏ったイフリートで突撃するマキナ。
呆然としていたガヴェインも、それを見て我に返る。
ガキィン!
剣に変形させ、イフリートを受け止めた。
「私を舐めるなよ白髪ィ!」
ガヴェインは渾身の力でイフリートを弾き逸らす。
一瞬、マキナの懐に隙が出来た。
斬り込む絶好のチャンス、だが。
ガヴェインは敢えて銃形態に変えた。
「零距離、貰った!」
確実なダメージを与えるために、至近距離での回避が難しい攻撃にしたのだ。
狙いは、顔面。
マキナは咄嗟にイフリートでの防御を試みる。
「遅いである!」
――ドキュゥン!
バルトロの銃剣の発砲音が響く。
イフリートに触れたのか、辺りに砂と白煙が舞った。
「はははは、手こずらせてくれたな白髪!」
ガヴェインは笑う。
だが、すぐにマキナが白煙を斬り裂いて現れる。
「な、確かに頭を捉えたはずだぞ!?」
「本当に危なかった、あれは直撃コースだった」
「なら何故ピンピンしているのだ!?」
「散々見ただろ、イフリートで燃やしたんだよ」
「あの至近距離での射撃だぞ、いくら何でも魔力弾を完全に焼き尽くせるわけがない!!」
「これは最強の魔導武器だからな」
マキナはイフリートで畳み掛ける。
ガヴェインのバルトロの銃剣が耐え切れず、段々とヒビが入る。
「そ、そんな、我がバルトロの銃剣が!?」
「それ良い武器だな、剣と銃の形態の移行がスムーズだ。銃剣特有のタイムラグが解消されてる」
マキナは剣戟の中、静かに語る。
「最強は俺のイフリートだけど、覚えておくよ」
ガヴェインは吹っ飛ばされるも、ボロボロになったバルトロの銃剣を構える。
「そ、そんな……私は『鉄血の獅子』の精鋭、鉄血の四銃士の……!」
茫然自失のガヴェインに、イフリートの火炎の剣身が眼前に迫る。
「序列いち――!」
火山に爆音が響く。
ガヴェインは気絶し、バルトロの銃剣は破壊された。
完全なる戦闘不能だ。
「ふう〜」
マキナは背伸びをする。
自称、最強の武器対決はイフリートに軍配が上がった。
「何か言いかけてたな、空気読めないって思われたら嫌だな。そういうの凄い傷付くんだよ、俺……」
決死の戦いの後とは思えない呑気な発言をするマキナであった。
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