第67話 帆船作ります!
それから2日後、
港町の海を堪能したマキナ達は、帆船をレンタルするべく港へやって来た。
しかし、
「ヨ、ヨロイ島!? 本気かいアンタら!?」
目的地を伝えると、帆船業者の声が裏返る。
「参ったなぁ……あの辺りの海域は結構危険だろ。船が無事に戻ってくる保証がないじゃないか」
「俺達、ヨロイ島でどうしてもやらなきゃいけないことがあるんです。何とかなりませんか?」
「あそこは海賊が出没するって話だ。知り合いの漁師も目撃してる、悪いことは言わないからやめときなさい」
海賊か、厄介なのがうろついてるな。
帆船業者も、マキナ達のために善意で言ってくれているのが分かる。
だが、ヨロイ島に行けないんじゃクエストどころではない。
「いきなり壁にぶつかったわね……」
「同乗する従業員を危険に晒すことになるのだ、分からなくはない」
「う〜ん、いっそのこと泳いで行く?」
「無理に決まってるだろ」
アリアの提案をぴしゃりと切り捨てるマキナ。
決して自分が泳げないからではない。
ここからヨロイ島までは、魔導エンジンを積んだ帆船でも2時間かかる距離のため、物理的に無理なのだ。
「でもでも、このままじゃミロスさんが活動再開出来ないよ!」
「落ち着け、今考えてる」
そんな時、港に並べられたレンタル用の帆船の1番端に、ボロボロに朽ち果てた帆船があった。
「すみません、あれってもう使わないんですか?」
「あああれね、先日モンスターの被害に遭った船だ。結構良い船だったんだけどな……もう廃棄する予定だよ」
「よかったら譲ってくれませんか? もちろんお金は払います」
「よく分かんないが……どうせ捨てるだけだし、タダであげるよ」
「ありがとうございます」
マキナは【収納】でロープ、布、木材などの素材を取り出す。
「破損した部品は新造、竜骨も取り替えとこう」
続けて【作製】を使用。
朽ち果てた帆船に素材が集まり、見る見るうちに姿を変え、新品の帆船が出来上がる。
「――っええええええええーーーー!?!?」
帆船業者が驚きの声を上げる。
「浸水の心配も無い、寸法も上手くいったな」
「すっごおおおい! 流石マー兄だね!」
アリアが大はしゃぎでマキナをバシバシ叩く。
「元の船の構造が良かった、お陰で組み立ても楽だった」
「ここまでくると何でも作れそうね……」
「君はそろそろ創造神を名乗ってもいいと思うぞ」
「創造神」
流石に行き過ぎだと思う。
「ねぇねぇこの子の名前『すーぱーアリア号』にしようよ!」
いつのまにか船に乗っていたアリアは、船体に頬をすりすりさせながら言った。
「何よその名前、めちゃくちゃ自己主張強いじゃない!」
「ええ〜、じゃあステラちゃんはどんな名前が良いの?」
ステラは少し考え、答えた。
「『リンドヴルム2号』よ」
「船と関係ないじゃん!」
「――まて2人とも、私が良い名前を思いついたぞ」
ベローネが自信満々に答える。
「『とにかくカッコいい号』だ」
「「却下!!」」
アリアとステラの声が揃う。
とにかく、これで無事にヨロイ島へ向かえる状態になった。
苛烈な状況になることが考えられるが、きっと俺たちなら乗り越えられる。
マキナは1人そう思うのだった。
◇
「はい船長、『虹の蝶』がヨロイ島に向かうようですぜ」
その様子を、港町から離れた木の影から望遠鏡で覗く男。
通信用の魔道具で、ある人物に連絡を入れていた。
そして通話先の男は、巨大な船の中にいた。
上半身裸に×印の傷痕、ジャケットを身に付け、頭にはドクロがデザインされた船長帽子を被った男。
宝石で彩られた豪華な部屋に鎮座し、口髭を撫でる。
やがて通話は切れ、船長と呼ばれた男は立ち上がる。
「ってことは、ヒヒイロカネについて何か知ってやがるな……船の出港準備をしろ! 仕事の時間だ!」
「アイアイサー船長!!」
指示を飛ばすと、船員は駆け出し、持ち場に着く。
「へへ、飛んで火に入る夏の虫ってヤツだ。この船長ランザス様が狩り取ってやるよ!」
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