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第64話 大海のミロス


 そのニュースは『虹の蝶』を、いや王国中を激震させた。

 新聞の一面は大海のミロスの話題で埋められ、様々な憶測が飛んだ。


「ふへ、ふへへ……」


 翌日の昼もアリアは放心状態のままだった。

 アリアだけではない、『虹の蝶』の冒険者の大半の生気が抜けていた。


「俺、何を生きがいにすれば良いんだよ……」


「ミロス様、嘘だと言ってよ……」


 ファン達は項垂れ、ギルドホールにどんよりとした空気が流れる。

 あの活気溢れる『虹の蝶』の面影はもはや無かった。


「ほら、肉でも食べて元気出せよ」


「ありがとマー兄……」


 アリアは巨大骨付き肉に口を付ける。

 勢いは無く、普段10本は食べるのに今日はまだ4本しか食べてない。


「うう、何故だか塩辛いよぉ」


「めちゃくちゃ重症じゃないのよ」


 物珍しそうにステラが呟く。

 元気の塊のようなアリアがここまで弱ってるのは見たことがない。


「『虹の蝶』でこれだと……クフラル王国全体で影響が出てるんじゃないか?」


「王国のギルド全体のクエスト達成率が3割減少したらしい、ちなみに我々『虹の蝶』は2割減だ」


「ウチでもまだマシなほうなのね、まさか1人の歌姫の活動休止でこんなことになるなんてね」


 ステラの言うことはもっともだ、この影響力は馬鹿にならない。

 冒険者の採取アイテムが流通する市場にも大打撃になるはずだ。


「アタシも誰かのファンだったらこんな感じになるのかねぇ、想像出来ないわ」


「む、それならステラは私のファンじゃなかったのか?」


「なんでアタシがアンタに夢中になるのよ、ライバル同士でしょうが」


「ライバルとして私を常に意識してる――つまりは夢中ということだからてっきりファンだと……」


「そんなわけないでしょ!」


「ふふ、さては照れ隠しだな。相変わらずステラは可愛いな」


「勘違いも甚だしいわ!」


 にぎゃあああ、と叫ぶステラを、ベローネはニコニコで見つめる。

 2人の相性の良さは相変わらずだ。


「マキナ、今アタシとベローネが仲良いとか思ってないわよね……?」


「思ってないぞ」


心の中を見透かされ驚いたが、平常を装いながらマキナは答えた。


『――ザザッ、お待たせ……しまし、ぐすっ! お昼の……うう、クフラル王国で今1番熱いニュースをお知らせ、あの歌姫、大海のミロスが……活動休止……! うわあああん!! 何で、何でこんなことに……!』

 

 魔導拡声器から放送が流れる。

 鼻水を啜り、涙声でニュースが読み上げられる。


「うわああん」


「悪夢だ、これは悪夢なんだ……」


 生気を失った『虹の蝶』の冒険者も泣き出す。


「びえええ」


「アリアがこんな調子じゃ、今日のクエストは無理そうだな」


「今日は休みにしよう、明日も様子見だ」


「帰ってゆっくり寝なさい、きっと時間が解決してくれるわよ」


「あうう、ごめんねぇ皆……」


力なく答えるアリア。

そんな時、マキナ達のテーブルに受付嬢がやってきた。


「よかった、皆さんお揃いですね!」


「どうかしたんですか?」


「実は皆さんに指名のクエストが入ったんです」


「あー、えっと……それは嬉しいんですけど……」


マキナはグロッキー状態のアリアに目を向ける。


「こんな状況なんで、今は厳しいんです」


「絶賛ミロスショック中なのよね」


「内容を聞いたら、アリアさんも飛び上がると思います」


マキナは耳打ちされた内容に驚愕する。


「え!?」


――これは大海のミロス様からのクエストです。

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