第62話 元鍛冶師の日常
※更新再開しました、お待たせしてすみません(>_<)
よろしくお願いします!!
武闘派ギルド『白銀の翼』の鍛冶師マキナ。
ある日、彼はリーダーのジュダルにクビを言い渡されてしまう。
途方に暮れるマキナだったが、ひょんなことから幼馴染のアリアと再会し『虹の蝶』で冒険者を始める。
ツンデレ槍使い、マイペースな女剣士を始めとした、自身の武器を託せる仲間との出会い。
闇ギルド、Sランクを超えるモンスターとの激闘、ジュダルとの因縁。
退屈からは程遠い、刺激的な冒険者生活。
それは、楽園竜から戻って来た後も例外ではなかった。
「……どうしてこうなった」
ソファーに座っていたマキナは両手を上げながら呟いた。
「――ひゃっはっはっはー!! この俺様に狙われるとは、運の悪い銀行だなぁ!」
顔に刺青の入った大男は店内を闊歩する。
「さっさと出しやがれ、有金全部だ!」
「ひ、ひぃぃ」
子分達は剣や斧をちらつかせ、銀行員に金を出させている。
マキナは楽園竜でのクエストの報酬金の振り込み確認のため、街の銀行に足を運んでいた。
信じられない『0』の羅列を見た後、店内で考え事をしていたら銀行強盗が乗り込んできた。
一体自分が何をしたと言うんだ。
まだ来店して5分も経っていないんだぞ。
そういえば今日の星座占いが最下位だったな、多分そのせいだ。
「――おい、そこの白髪のガキ!」
子分の1人がマキナを呼び付ける。
「俺に何か用ですか?」
「何となく分かるだろ、お前からも金目の物を頂くんだよ」
「運が悪かったな、まぁ諦めろや」
下手に刺激を与えるのは不味い。
マキナは立ち上がり、とりあえず金貨袋を差し出す。
『虹の蝶』に納める為のお金だ、ベローネに下ろすように頼まれていた。
「ほぉ〜お前、結構金持ちじゃねぇか」
「よし、んじゃ背負ってる武器も寄越せ」
「――は?」
「おいおい聞こえなかったのかよ、その立派そうな魔導武器をだよ」
子分はヘラヘラと笑いながら、マキナの肩から覗く柄を指差す。
「何やってんだ、さっさと渡せよ」
「おい、どうしたんだよ」
「このガキが武器を渡さねぇんだ」
ゾロゾロと子分達が集まる。
1人が奪うべく、柄に手を伸ばす。
「痛い目見たくないだろ、なぁおい!」
「汚い手で触れるな」
察知したマキナは男の腕を掴み、万力の如く締め上げる。
「いっ、いでででで!?!?」
そのまま片腕で持ち上げ、叩き付けた。
「な、このガキィ!?」
別の男が斧を振り上げる。
「お前、武器を取ったな」
マキナは背中の魔導武器――炎魔剣イフリートを抜き取る。
灼熱の剣身は、一撃で斧を焼き尽くした。
「は……」
隙だらけのどてっ腹に拳を叩き込む。
男はふっとばされ、白目を剥いて気絶した。
「刃を向けた以上、容赦はしない」
マキナはイフリートを構え、戦闘態勢に入る。
見た限り、飛び道具持ちはいない。
強盗団は自分の周りに集まっている。
客は一ヶ所に集められたため、人質を取られることもない。
「コイツ、もしかして『虹の蝶』じゃねぇのか……!?」
「どけ、俺様がカタを付けてやる」
マキナの胸の紋章を見た子分は青ざめると、リーダーと思われる大男が口を開く。
「随分遊んでくれたなぁ白髪君、そんな君には躾が必要だ」
大男はそう言うと身体中に力を込める。
丸太の様な腕や脚が膨れ上がり、頭の形が変貌していく。
やがて、巨大な竜人の姿となった。
「この俺様の竜化スキルを見られたことを光栄に思え、そしてぇ!!」
大男は店の納品物と思われる巨大な箱に腕を突っ込み、中身を取り出す。
「戦斧ガルグイユ、この武器と俺様の竜化を見て、無事でいられた奴はいねぇ」
大男は、竜化した自分以上の大斧を振り回した。
あらかじめ銀行に武器を仕込んでいたことを考えると、計画的な犯行だったようだ。
何故自分はそんなタイミングで来てしまったんだろう。
「お前の武器は炎の魔導武器らしいな、だが俺の竜の皮膚はチャチな炎なんざ効かねぇ、まぁその前にガルグイユで受け止めちまうから関係ねぇがな」
「来たぜ、親分の竜化!」
「お前死んだぞ、今日は人生最悪の日だったみてぇだな!」
子分達は勝ち誇った顔を浮かべる。
だが、マキナは顔色一つ変えない。
「今、炎は効かないって言ったのか」
「そうだぜぇ、お前は絶対絶命って奴だ」
「そうか」
マキナはイフリートを両手につがえる。
「なら試してみるか」
剣身の炎は強まり、火の粉が舞う。
勢いは止まらず、熱気が溢れ出す。
「は、おい、何だよこれは……」
イフリートは炎を纏い、巨大な剣となった。
その大きさは、ガルグイユを有に超えている。
マキナは一瞬で間合いに飛び込む。
「ちょ、ちょっとまて!? おい、聞いてねぇぞ!!」
「問答無用」
マキナはイフリートを振り抜く。
爆炎を纏った斬撃はガルグイユを断ち切り、その威力は竜化した身体にも及んだ。
灼熱の魔剣の炎は、竜の皮膚すら焼き尽くした。
「――っっっあづいいいいいい!?!?!?」
大男は爆炎に吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられれる。すぐに竜化が解けると、そのままガクリと倒れた。
「そ、そんなぁ」
「お、親分がぁ……一撃でぇ!!」
「次は誰が相手だ?」
マキナはイフリートを構えたまま睨み付ける。
強盗達は顔を見合わせると、そそくさと武器を置いた。
「「「すみませんでしたぁ……」」」
完全降伏の証、土下座で意思を示す。
「最悪の日だ、まったく」
マキナはイフリートを鞘に納めると、静かに呟くのだった。
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