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第60話 完全なる決別


「離せえええ、俺はあの『白銀の翼』の、炎剣のジュダル様だぞ!」


 マキナが目にしたのは、両腕を縛られ地べたに這いつくばるジュダルの姿。

 今まさに、王都の監獄に連行されようとしていた。


「黙れ、我らの英雄を襲った大罪人め!」


「フォレストホーン暴走の件も貴様が犯人とはな、観念しろ!」


 ベルフェムトを始めとした騎士団員が暴れるジュダルを押さえ付ける。

 彼はマキナ達の襲撃に失敗した後、あえなく捕縛された。

 そしてマキナ達とニコルの証言もあり、この楽園竜(アイランド・ドラゴン)で起こした悪事が明るみになった。


「ん、マキナ君ではないか。すまん、見苦しい物を見せた!」


「……マキナぁ?」


 ジュダルは顔を上げ、マキナを見る。

 一瞬、マキナを睨んだかと思えば、それはすぐ笑顔に変わる。


「――マキナじゃないかぁ! 頼むよ、コイツら全然話が通じないんだよ、俺は『白銀の翼』のジュダルなのにさぁ! な、お前からも言ってくれよ!」


 何も悪びれずにジュダルは言った。

 この男は、この期に及んでまだ助かろうとしていた。


「頼むよマキナ、『白銀の翼』の仲間じゃないか! 俺達の友情は永遠に不滅だ!」


「……」


 ジュダルは、マキナがこの楽園竜(アイランド・ドラゴン)の人々にとって英雄的存在になったことを騎士団員同士の会話で聞いていた。


 つまり、

 マキナにさえ許しを貰えばどうにかなる。

 そう考えていた。


「ベルフェムトさん、少し時間を貰ってもいいですか? 彼と話をさせて下さい」


「あ、ああ、構わんよ」


 あくまでジュダルは拘束されたまま、2人は向き合う形になる。


「ありがとうマキナ! 分かってくれたんだな、信じてよかった……やっぱり持つべき物は友だ!」


「……」


「お前の言葉なら、この頭の悪い奴らだって理解出来るだろうよ!」


「……」


「黙ったままじゃ分からないって、どうしたんだよ!」


「お前も俺も、もう『白銀の翼』じゃないだろ」


「へ?」


「それに『白銀の翼』は消えたんだ」


「な、お、おい」


「いい加減見苦しいぞ、現実から逃げるな」


「おいおいおい何恐い顔してんだ。もしかして鉱山の時のことまだ勘違いしてるのか、あれは……そう、軽い冗談だったんだ! 久々の再会に舞い上がっちまったんだよ!」


「ジュダル」


 マキナは冷めた目を向ける。


「……2度と俺の、俺達の前に現れないでくれ。それを言いに来たんだ」


「は……」


「すみませんベルフェムトさん、時間をとらせてしまって」


「いや、構わん」


 マキナは背を向け、その場から立ち去る。

 彼は屋敷の庭に戻るまで、振り向く事はないだろう。


「……お、おい、待ってくれマキナ! 嘘だろ、なぁ嘘だって言ってくれよ! このままじゃ犯罪奴隷になっちまうだろ、俺が可哀想だろうが!! なぁおい、マキナ、マキナああああ!!!!」


 ジュダルはギリギリと割れるような歯噛みをする。


「クソがクソがクソが! この先どんな手を使ってもお前の邪魔をしてやる、俺は地獄の底からでも這いあがって来るからなぁ……覚悟しやがれええええええ!!!!」


「こい、大人しくしろ!」


「ああ嫌だああああああああああ!!」


 ジュダルは叫び声を上げながら騎士団員に引き摺られていくのだった。


【※読者の皆様へ】


「面白い!」

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よろしくお願いします!


次回で楽園竜編、終幕です。

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