突然の異世界
ある日の出来事、それは突然起こった。
「あなたを迎えに参りました魔王様」
頭には角がありメイド服を着た女性が窓ガラスを壊して部屋に入ってきたのだ。
「ふぇ」
テレビゲームをしている途中だったのでコントローラーを手放してしまった。
「失礼します」
こちらまで歩いてくると、抱かれてしまう。
「暫しお休みくださいませ魔王様」
抱かれた瞬間に眠気が襲ってきた、最後に見たのは部屋に異空間に行くワームホールが形成されてそこを通っている所だった。
「正男、起きるんだ正男」
男の声に呼ばれて起きた。
「君は一体」
呼ばれた声に反応したがそこには青い火の玉が浮かんでいるだけで、辺りは暗かった。
「俺はジャンダイド大陸の魔王の魂だ」
「魔王、俺の部屋に来たメイド服の女性は」
「俺の配下だ、元々俺は勇者に殺されて魂だけどこかの世界の子供に入ったんだが、どうやら見つかったらしいな」
「ここはどこ」
「俺の魂の中だ、ここなら誰にも聞こえないし問題ないと思ってな、それでなんだが正男、お前魔王になる気はないか」
「はあ、魔王」
「ああ、さっき俺は殺されたって言っただろう、実は俺も不死身じゃなくてな、魂だけの存在になっちまってな、復活は無理らしい、配下に見つかると思ってなかったからな急な頼みですまない」
「魔王になってどうすればいいのさ」
「それはだな」
すると青い火の玉の上が急に光り出した。
「ああ、遂に成仏の時か、まあそれは配下のあの女に聞いてくれじゃあな正男、お前の中結構居心地良かったぜ」
「いや、ちゃんと説明してよ」
「ひゃっどうしました魔王様」
さっきの暗い所から、急に明るい所で目が覚めた、さっきのメイド服の女性がビックリしたような顔でこちらを見てきた。
「俺は一体誰だっけ」
素性を知られたら何をされるか分からないので記憶喪失だと思わせる。
「魔王様、もしやゲートを通っている途中に記憶が」
メイド服の女性は、近づいて来ると頭を撫でてきた、すげえいい匂い。
「魔王様が目覚められたがすぐに医者を呼べ」
メイド服の女性は大声を出すと、数分後、部屋の扉が急に開き、頭に角がある男性や女性達が押し寄せてきた。
「魔王様、よくご無事で」
「魔王様これ、私達の部族で作りました、クッキーです、良かったらお食べ下さい」
「あのーちょっと通してくれないかな」
右往左往しながら白衣を着た人がこちらに着くなり息を切らした。
「はあはあ、ちょっと急に呼ばないでくださいよ、それに私が来るときはこんな人だかりが多い場所に呼ばないでください」
「ほら、お前たち魔王様は、今から検査してもらうんだ、お祝いはまた今度だ」
「そんな」
メイド服の女性が押し寄せてきた人達を追い払う。
「お久しぶりです魔王様」
白衣の女性に挨拶をされる。
「じゃあ診てみましょうか」
白衣の女性は、よく医者が使っている聴診器を取り出していた。
「魔王様服をたくし上げて下さい」
言われた通りに上げると、白衣の女性の聴診器が胸に当たる。
「心拍は正常ですね」
「どうやら魔王様は自分が何者か覚えてないらしい」
「記憶喪失ですか、ちゃんとゲートを通る時に、確認はしましたか」
「ああ、だがやはり人間の体では難しくてな、もしかしたら負担がかかったのかもしれない」
「一応調べてみましょうか、魔王様失礼します」
すると白衣の女性におでこをくっつけられる。
「記憶も正常ですね、どうやら魔王様は嘘を吐いている率が高いですね」
「バカな何故私達に嘘を吐く必要がある」
「それは聞いてみないと」
白衣の女性とメイド服の女性が一斉にこちらを見てきた。