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~第5幕~

 翌週の日曜、高知市にあるとされる「メアゾの会本部」へ俊一達は向かった。俊一はクラスの人気者だった安藤が謎のカルト教団に入団した経緯を知りたく、ただそれだけでその場所へと向かった。



 青木も初めて行くところらしい。そこは高知市内の繁華街にある古い雑居ビルの1室にあった。俊一がノックすると意外な人物がドアを開けた。



「向井先生!?」



 ドアを開けたのは土佐総心高校で国語教師を務め、図書部の顧問を務める向井であった。穏やかな面持ちが特徴的な還暦をむかえる教師だ。イイ歳にして何をしていると言うのだろうか……



「お~! 西村君も来たのか! これは運命だな!」

「驚いています……図書部の勧誘なら考えてはいたのですが……」

「まぁまぁ、入りなさい。興味を持つも持たないも君達次第だよ」



 部屋には3つのソファーがあり、そこには安藤、2人の女子が腰掛けていた。1人は神流崎という女子になるのか? 話を聴くしかなさそうだ。それより……



「安藤!!」

「西村!?」



 安藤は驚いていた。まさかの出来事だと思っているのだろうか?



「お前、青木と仲良かったのか?」

「2年生になってからな。お前が学校辞めた時に俺はサッカー部をやめたよ」

「すまん。俺こと青木の立場になってくれ……」



 3人の男子は驚きながらも、歓談を交わした。安藤の人間が変わったワケではなさそうだ。やはりこの団体そのものにワケがあるのか……



「安藤君、そのコ達は安藤君の友達?」

「………………」



 一人はストレートロングにして清楚な雰囲気の女子、抹茶色のショートカットが特徴でずっと無表情・無口な女子の女子2人組のうち、よく喋るほうが安藤に尋ねた。この女子こそが神流崎早紀という女子になるらしい。とても休学中にはみえないほど明るく、さばさばした性格が持ち味にみえる女子だ。



「それでは、まぁ、西村君達にも我々の話をしようか」

「お願いします」



 無口の女子がコップにジュースを注ぎ、俊一達に差し出した。向井は穏やかな面持ちのまま話をはじめた。話の内容はあまりに突飛で衝撃的なものだった。



 この地球には「アルタ」という異世界が現実世界の裏にあるらしい。その世界で生きる人間のことをアルタ人と呼ぶらしいが、成人になるに従って現実世界の人間に容姿が似てくるらしい。その成人前のアルタ人なる写真を見せて貰った。それは巷でいうところの宇宙人の容姿そのものだった。




 衝撃的なのはここから。このアルタと現実世界の境を破って、現実世界で生を全うしようとするアルタ人が後を絶たないというのだ。そしてその幼児のときに現実世界へ進出してきたのが……



「安藤!? お前はアルタ人だったのか!?」

「らしいな。物心ついた時から施設に預かれてさ、後になって気づいたのだけど。てへっ☆」

「てへっ☆……じゃねぇよ!!」

「知能は人間の2倍、身体能力も2倍相当に値する。私もアルタ人だ」

「向井先生も!?」

「ただ、私は安藤君のようなアルタ人を呼び戻す事を本業としているアルタ人になる。いわば異世界スパイみたいなものかな」

「待って、それじゃあ何で安藤はアルタに戻らずにここにいるの?」

「察しがいいね、青木君。我々はアルタでも特別優良とされる子孫の“メアゾ”を探すために結成された『メアゾ』の会なのだよ」



 突飛だった。とても信じられない話だ。



「すいません、先生。とても俺は信じられない。みんながイカレ狂ってこういう話をしているとしか見えない……」

「何か見せたら、信じるのかね?」

「え?」

「カナミアン、境を出現させなさい」

「かしこまりました」



 無口の女子は急に手話のような芸当をみせると、彼女の横から大きなブラックホールを生みだした。



「これは!?」

「アルタへ繋がる空間だよ。普通の人間はこの空間に入ることで身がもたず消失する。アルタに長いこと生存している者でないとこの芸当はできない。君たち、この話を安易に話せば我々がどうするか、わかっているよね?」

「うふふ、大変なことに巻き込まれちゃったね~」



 俊一も青木も言葉を失った。しかし俊一は振り絞って重い口を開けた。



「わかりました。メアゾの探索、手伝います」



 その瞳に迷いはなかった――



∀・)読了ありがとうございます!また明日に続きます!

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