~第1幕~
学校で変な噂話があがった。それも1つや2つじゃない。「UFOが学校屋上に降りてきた」とか「宇宙人とメールで交信ができた」とか。
西村俊一はそんな急にあがった都市伝説の数々を馬鹿馬鹿しく思っていた。
彼はサッカー部で活躍する一生徒だったが、試合でアキレス腱を断裂してしまった。長い入院生活から学校へ帰ってくるも、サッカーへの情熱はすっかり冷めてしまう。気がつけば、彼はサッカー部を退部して帰宅部になっていた。
クラスで仲良くする存在も変わっていた。
「でさ、その神流崎の携帯に『ここはどういうところなの?』とか『何を食べて生きているの?』とかいう内容のメールが届いていたっていうのよ!」
こうやってはしゃいでいるのは同じ班の青木幸助。彼はその見た目からわかるヲタク系の生徒だ。かつては話すことすらなかったが、今では体育の授業でもマンツーマンを組む間柄だ。
ふと、教室のまえのほうをみると、サッカー部や野球部の連中が和気あいあいと歓談している。その周りにイケイケな女子の連中がまた歓談している。
その誰もが最近話題の都市伝説で盛り上がっていた。
自分が学校にもどってくるまでに何があったのだろう? 俊一は深く考えれば考えるほど自分が情けなくなっていた。
「おい! 話きいているのか?」
青木は眼鏡越しに怒った顔を露わにしていた。
「ああ、ちょっと最近寝不足気味だしな。神流崎って誰だよ?」
「だよな! 例の噂の数々が気になって夜も寝られないよな!」
「いや、そういうワケじゃないのだけど……神流崎って誰さ?」
青木との会話は常に主導権を奪われっぱなしな俊一だった。
「隣のクラスの女子さ。近所の神社で巫女さんやっているっていう」
聞いたことがない名前だが、噂の渦中にあるということはもはや校の有名人になってしまっているのだろう。俊一みたく華やかな舞台から地味な舞台に降ろされていくのも悲しいが、それとは違った意味で大変だろうと俊一は想った。
「そうか、でもそのメールって誰かの冷やかしじゃないか?」
「アドレスがぐちゃぐちゃだったって話だぞ?」
「そうだとして、そのメールを受けたのは神流崎さんって女子だけなのだろ?」
「おう、そうだが?」
「神流崎さんは今どうしているの?」
「学校に来てないらしいけどさ……」
「ほら、そうやってお前らが人の話を祭り上げすぎたから、そういうことに……」
「彼女はメールの話をした翌日から学校に来なくなったらしいぞ」
「え」
ニンマリとした青木は確信をもって話を続けた。
「ほら、西村も興味がでてきただろう?」
俊一は「べ、べつに興味なんかねぇよ」と窓をみた。今日は快晴だ。それだけで今日は良い1日だと思う事にした。今興味が湧くものなんて彼にはなかった――
∀・)こんばんわ!本作はポカ猫様主催「ジャンルシャッフルなろうコン」に応募する作品になります。本日より12月1日まで毎日19時に更新します!久しぶりのローファンタジーで試行錯誤しながらの執筆でしたが、楽しんで貰える人に楽しんで貰えたら何よりです。優勝?まぁ、運がよければってことで(笑)反響があるようなら、続編も考えたいと思います!では12月までごゆるりとお楽しみください☆彡